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2023年詩

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#明日

165「詩」深夜

165「詩」深夜

午前零時を過ぎ
星と星が響き合う音が聞こえたら
言葉にならない言葉に気づきなさい

月の光を集め
掌いっぱいに満たしたら
見えない道の行くへに気づきなさい

しじまの中に響く
天から降り注ぐ天使たちの声に
注意深く耳を傾けてみなさい

明日は
ほんの少し
明るくなる

きっと

139「詩」満月

139「詩」満月

満月が
光る

夜道を行く人が
少しでも歩きやすくするために
待っている人のもとに
迷わず辿り着けるように

眠りについた人が
ゆっくり身体を癒せるために
やってくる明日に
新しい自分を描けるように

祈る人たちの願いが
少しでも遠く神さまに届くために
どんなに小さな願いも
見失わないように

138「詩」空

138「詩」空

仕事が終わって
外に出ると
一日を労うような空が広がっている

僅かだけどお金を稼げたことに感謝し
疲れた足を引き摺りながら
家路につく

空が争いのない地上を祝福し
明日に導いている

武器の行き交う地上では
涙ぐむ人々に
ただ寄り添うことしかできなかった空

悔やむように
茜色に 

124「詩」真夏の夕暮れ

124「詩」真夏の夕暮れ

それでも
なにか贈り物はある

理由もなく
このままで大丈夫だと思う

うんざりするほどの暑さの中で
今日一日精一杯働いた

夏の日の夕暮れ
空が
疲れ切った身体を労っている

思い出したくないことは
思い出さなくていいのだ
そのままそっと
そこに残しておけばいいのだ
重たいものはそこに残して
自分だけ歩いていけばいいのだ

予想もつかないほど心踊る贈り物が
明日
見つかるかもしれない

明日見つ

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100「詩」林檎酒

100「詩」林檎酒

 区切りになる100作目に何を書こうか考えました。去年10月、また詩を書き始めました。最後に書いた詩から30年近い月日が流れていました。
 今年の目標として、詩の推敲は二の次にして、200作品書くことを掲げました。
 半年近く経ってやっと辿り着いた100作目。

書けなくなる前の最後の詩は信濃毎日新聞主催のコンクールで優秀賞をいただきました。その詩を引用して、100作目にしたいと思います。
28年

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99「詩」ろくでもないこと

99「詩」ろくでもないこと

ほんとうは
ろくでもないことばかり考えている
ばれないように
上品そうに振る舞って
ろくでもないことを考えているのを
かくしている

人と比べたって自分が変わるわけではない
そんなこと
ちゃんと知ってるのに

医者になった友だちがポルシェを
ドイツにオーダーしたってメールが届く
そんなことでちょっとだけ
ちょっとだけ暗い気持ちになってしまう

豪華な料亭のお節料理を囲んで
笑っている家族たちの写真

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