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7月11日(土)受診

9時半の診療開始を待ってかかりつけのクリニックを受診。

体温40.6℃(猫の平熱は38.5℃まで)。
3.6kgあった体重が3.2kgまで減っている。
一通り診察した先生は
“これは嫌な感じがするね。風邪症状がなく表情もいいのに熱が高い。内臓からきている熱のような感じがする。抗生剤が効けばいいけど、効かないようであれば伝染性腹膜炎のドライタイプかもしれない。”
とおっしゃった。

伝染性腹膜炎…ねねちゃんを引き取った頃に調べてなんとなくは知ってはいた。
伝染性腹膜炎(FIP)は猫コロナウイルスによる感染症で、コロナウイルス自体は多くの猫が保有しているが、一部の猫で何かのきっかけで発病するらしい。予防できるワクチンはない。
ウエットタイプとドライタイプというものがあり、ウエットタイプは腹水が溜まってお腹ぽよぽよになるるしい。予後が悪く悲惨な亡くなり方をしそう。

猫にとってタチの悪い感染症として猫白血病や猫エイズがあるが、たまたま6月に保護主さまから”ねねちゃんを保護した地域で猫エイズ陽性の子達が見つかっており、念の為ねねちゃんももう1度検査しておいた方がいいかも”と言われて検査したばかりだったので、これらの感染症に関しては安心していた。
しかもこれらの感染症ならまだ打つ手がある。

防ぎようのないFIPは1番発症して欲しくない感染症だったが、なんにせよマイノリティに入るのが得意ねねちゃんはいつか発症するのではといつも頭の片隅で恐れていた。

FIPだった場合どう対応するか獣医師に尋ねたところ、“対症的な治療をしていくしかない。抗生剤が効けばいいんだけど…。今日は検査ができないので月曜日また来てください。”と言葉を濁された。
ごはんを食べないねねちゃんが高熱で体力を消耗して衰弱していくのが心配であったため、元(人間の)看護師であることを伝えて家で抗生剤と補液用の点滴を持ち帰った。

帰宅後、ネットで改めてFIPについて調べた。
どのサイトにも致死率100%で有効な治療法はなく、発症後9日以内に亡くなることも多いと記載されていた。
予後が悪いことは知っていたがまさかそこまでとは…。

FIPだったらねねちゃんは近いうちに間違いなくこの世からいなくなってしまうのか?
色々異常なところを抱えながらそれでもなんとか元気にやってきて、このまま無事に1歳を迎えられるかもしれない、とようやく未来のことを考えられるようになった矢先。
本当にFIP であれば事実上の余命宣告である。
とうとうこの時が来てしまったのか…と思った。

しかし調べていくうちに、Mutianという未承認薬があることを知った。未承認薬ゆえに獣医師も知らなかったり知っていてもホームページに治療法として記載できないようだった。
一方で治療期間は8週間で、未承認のため治療には100万円ほどかかり、処方してくれる病院は国内に6か所程しかないようだった。

100万円…血統書付きでもない元保護猫に出す費用として現実的と思えなかった。
しかも日本国内にたった6か所。きっと遠方に違いない。
見ている間にもますますぐったりとしていくねねちゃんを連れていけると思えなかった。

本当にFIPであったら諦めるしかない。
今までも今日が最後かもしれないと1分1秒を大切にしてきた。
亡くなったとしても後悔はひとつもない。

とにかくこれが致命的ではない感染症によるもので、抗生剤が効いて月曜日までに熱が下がること、食べないねねちゃんの体力が月曜日まで持つことだけを祈っていた。

ねねちゃんが死んでしまうかもしれない恐怖であまりに心細く、保護主さまFIPが疑われることをお伝えしようかとも思ったか、確定診断もついていないのにお知らせしてもご心配をお掛けするだけだし、何より人に話すことでFIPが現実になってしまいそうでできなかった。

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