1皿目 富士の裾野の大衆の味―食事処いづみや|元気の出るカツカレー
「ほんとによくカツカレーを食べるよね」
かれこれ10年以上、一緒に取材で全国をまわっているチームのメンバーにそう言われて、はじめてふと考えました。
旅先で、カツカレーをよく食べるのはなぜだろう――
旅の途中、ランチ、はじめての店。特にご当地メニューや郷土料理も見当たらない。それなら、大好きなカレーを頼んでおけばハズレはない。でも、ただのカレーでは少し寂しい。そんなとき、いつも注文してしまうのがカツカレーでした。町の食堂や道の駅、ドライブインで食べるカツカレーは、その土地の日常を味わいつつ、ちょっと贅沢な感じもして、満足感も得られる、幸せな食べ物だと思うのです。
そんな全国で出会った“元気の出るカツカレー”を紹介していきます。
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富士の裾野の大衆の味
富士山麓のまち、富士吉田。さまざまな店が軒を連ねるレトロな商店街の道の先に、どーん!と富士山が見える、他にはない風景で知られる本町通り。この通りから富士急月江寺駅方面へ歩いて2〜3分の場所に、「お食事処いづみや」はあります。
お店の外観も、店頭に出ているメニュー(なぜか英語表記!)も、どこからどう見てもザ・定食屋。日替わりは焼き魚定食で、ネットの書き込みにはお魚が美味しいと書いてあります。でも、もちろん今日も頼むのはアレ。店内の壁に貼り付けてあるメニューをチェックしていくと……ありました、カツカレー900円。
スプーンはよく冷えたグラスの水の中にドボン。昔はこのスタイルが多かったですよね。郷愁を誘います。
カレーはうすい茶色で、家庭のカレーを思わせる見た目。カツを際立たせるために具がほとんどないルーを使うお店もありますが、ここのは具がゴロゴロ。特にサイコロ状のじゃがいもが存在感を見せています。
さっそく一口……うまい! 辛さはひかえめで、フルーティーな後味。カツは1cm超え。カツカレーには十分な厚さです。サイズも大きい方でしょう。そしてやわらかい。マヨネーズのかかったキャベツが添えられているのも、お店の心遣いという感じでうれしいですね。
熱々のカレーとカツを順番に口に運び、キャベツで一休みしつつもスプーンは止まりません。あっという間に完食しました。
ちなみに、他のメンバーが頼んだ「上とんかつ定食」は、かつ専門店にも負けない堂々の分厚さと美味しさだったそうです。カツカレーもうまいはずです。(記・T郎)