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「全国最中図鑑」35 加賀八幡起上もなか(石川県金沢市)

金沢には「加賀八幡起上おきあがり」という有名な郷土玩具がある。
「八幡宮」という名の神社が全国各地にあることは皆さんご存じだと思うが、そこに祀られている八幡様とは一体誰のことか、ご存知だろうか。
実は八幡様とは、第十五代天皇・応神天皇のことなのである。
応神天皇は生まれたとき、深紅の真綿の産着に包まれて顔だけ出した姿で寝かされていた、というエピソードがある。金沢には昔、加賀安江八幡という神社があったのだが、その氏子の一老人がその姿をかたどった起上り人形を作り、毎年正月に献上していた。これを、神社を訪れた人々が拝受し、子どもたちの幸せを祈るお守りとした、と伝えられている。
「加賀八幡起上もなか」はこの人形を模したもので、深紅の産着姿の赤ちゃんの形をした皮に、北海道産小豆を使用した小倉あんを詰めた、小ぶりで愛らしい最中である。金沢では出産祝いなどによく用いられる人気の商品。
最中を包む和紙も上品で、6個入りの赤い箱も可愛らしく、大人でも、いただくとちょっと嬉しくなる最中だ。


金沢うら田
石川県金沢市御影町21-14


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日本を代表する和菓子の一つである「最中」。香ばしいパリパリの皮とともに餡を頬張れば、口の中にふわっと広がる品のよい甘さ。なんとも幸せな気分になるお菓子です。編集スタッフが取材の途中で出会った最中のなかで、ユニークで忘れることのできないご当地最中を紹介していきます。



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