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或る日本人の6/7生記「商売も塞翁が馬。」

商売も塞翁が馬。  第2話
■ビジネス人生3/6■

https://note.com/montegucci319/n/na7a8b1428392 からの続き

母親の保証人をしたことで借金抱えたままじゃ お金返すのに 時間がかかるし  先も見えない。かといって 資金がないから 店もできない。給料だけじゃ なかなか浮かばれない。ま、それでも腐らずにガードマンのバイトで月400時間以上働きましたよ

その警備会社の部長より多い給料をもらって 少しは、返済のめどがついた頃、  今度は派遣先のホテルからフロントとして引き抜かれて正社員になりました。

喫茶店で接客業をしていたわけですし、まだ若いですし、商売志向の男ですから知りたいこともいろいろあってフットワークも悪くないわけです。そこを気に入られて、ガードマンからホテルで給料もらって借金返す事になったのです。ホテルフロントとして 半年ぐらいした頃に 今度は、珈琲の修業をした珈琲店の女性オーナーから呼び出されました。

その女性オーナーの実家の企業が新しくビジネスホテルをするという事で そのホテルの開業企画を担当しろと、半ば命令みたいなものでしたww

100室程度のビジネスホテルでしたが   駅から歩いて10分、温泉が出るという事で 建物の建築からグランドオープンまでさせてもらいました。地元鹿児島では、そこそこの企業で建築を担当したゼネコンも清水建設。

その女性オーナーは、離婚して実家のその企業の役員に収まっていて、完全に経営側として動いてくれるホテルの事を分かる身内の人間としてワタシを抜擢したわけです。

といってもワタシもまだガードマンからホテルに勤めて出してたった半年、    しかも20歳になったばかりww     今考えても、よくもまあ声をかけてくれたものですなw

とはいえワタシをホテルの勉強をさせる為に 清水建設に頼んで130室ぐらいのビジネスホテルへ研修させたり、九州から山陽、関西、東京のビジネスホテルから帝国ホテルまでレポートするのが目的の出張という形の泊まり歩きをさせてもらった事はその後のビジネス人生にとって、とてもいい経験になりましたね。 

開業前には、20歳そこそこのワタシが会社側として、オープン時の支配人の採用面接にも参加するなど、今でも普通考えられない事も経験しました。         だって 自分の上司になる人間の面接に参加した上に採用する事をするんですからw、結果、市内中堅の300室前後の観光ホテルのワタシの17才年上で38才のバンケット部長を支配人として採用決定しました。   それでその後ワタシは、自分も参加した採用会議で意見を言って決めたキャリアもホテルの知識も上のその上司の支配人のもとで開業から部下としてホテルフロントとして働くことにww

準備室から入り開業したそのホテルは、温泉で有名な鹿児島なのに価格優先で出張者向けにリラックス出来ることを考えることが少なかったビジネスホテルの中で宿泊客専用のゆっくりした温泉浴場付のという事で客からの評判もよく、稼働率90%を超える成績を残しました。今でも稼働率は落ちていないそうです。それはワタシとしても誇れる事ですね

そのホテルの前、ガードマンのバイトからホテルの仕事をしていた頃のワタシは、 質屋通いをするのが趣味でした。。。(笑)といっても

借金を返すために質屋に通っていたわけでなく、質流れの掘出し物を探すのが趣味になっていたのです。

特にオーディオに興味のあったワタシにとって、通常地方で売っていないような当時有名なタンノイ・JBL・マッキントッシュといった海外メーカーのスピーカーやアンプは、喫茶店をやっていた頃からワタシにとっても垂涎の的だったんですよ。かと言って、さすがにそういうものは、新品ではなかなか買えない高価な代物でしたので質屋巡りをしてさがしていたりしてたのです。

ホテル勤めというのは、ナイトと業界用語でいう夜勤の業務があります。今そう呼ぶと思いますけどね

夜⇒ナイトと 騎士⇒ナイト をもじったものじゃないかと思うのですがね、未だに調べちゃいませんがw          ナイト明け(夜勤明け)はチェックアウト10時の後処理が終わってだいたい午前11時上がりでした。

という事は、なんと昼から自由時間があるんですよ。これは、わりと時間を有効に使える。その夜勤明けで帰宅前の時間を使っての質屋巡りが日課になっていましたねw

もちろんステレオ以外にもいろいろ商品が並んでいます。時計などもたくさん並んでいます。今のブランド買取買取の店みたいなもんですな。

ホテルマンやってましたので      カッコつけて懐中時計なんかを手に入れました。お客様から時間を聞かれた時に ベルトにつけたチェーンを引いて、懐中時計を引張りあげ、時計を見る仕草が なんとなしにカッコよく思えたんですww。

セイコーの懐中時計でしたがそうしたものも質屋の金融流れで手にいれていました。

ある時、同僚である先輩のフロントマンが「いい時計をもっているよねー」    と聞いてきました。          (以下「」は相手『』はワタシ )

『いくらだと思います?』

「君が持っているんだからねー     上手な買い物しているんだろw?     4万円ぐらいかな」

『いやー、これ新品で買えば5万5千円。  でもこれ、中古の新品同様で1万8千円で 買ったんですよ』

「え?中古なの?              へー、中古に見えないねー」

『そりゃそうですよ。中古って     新品は使ったらその時から中古。    中古になっちゃえば後はずっと同じww』

「あ、そうか、あはは。何処で買ったの?」

ひとしきり、質屋めぐりをしている事、 家にあるもののほとんどが 新品で買っていない事。。。等々、自慢げに話しました。

そうすると、その年上の同僚が     「僕もいい時計が欲しいんだけどさ、  デパートや時計屋に見に行っても    値段もいろいろだし、フロントやってるとだと下手に安いのつけられないしね~    分かるだろ              なんかよさそうのないかな?      君、探してくれないか?」       と言うのです。

そこで、予算を聞いて 探してあげる事にしました。報酬が目的じゃないですよ

予算は3万円               なじみの何軒かの質屋のオヤジ達に 

同僚から頼まれた事、           予算は3万円ちょっと見栄えのするもの  という条件を出して

「いいものがあったら、また僕が来た時に教えてください。それまで気にしておいてくださいね」と頼むと         知ってる質屋のオヤジ連中みんな

「いいよ わかったよ、         お得意様の頼みだからねえ」と        言ってくれました。

それから1週間ぐらいした頃、     一軒の質屋で

「いいのがはいったよ。本当ならこれ4万円の価値は充分あるんだけど ま あんただから 3万円にしとくよ」

『じゃ、おやっさん 3万円預けとくから 同僚が気にいるかどうか 持って行って気にいったらOK、だめなら返すって それでいい?』

「あんたなら後でいいよ。勤め先も知っているし、いつも買ってもらってるからさ」

という事で 次の日その時計を持っていって、当の同僚に見せました。

「えーー これ本当に3万円でいいの?  これさーホントに中古なの?いいねえ  ピカピカだよ」

『質屋のオヤジが言ってたんですけど  一般使用のものじゃなく、金融流れの業者モノでわりに大量に入ってきたらしいんです。なんでも、専門の買取に来る業者が来る前に僕の為に別にとっておいてくれてたらしいんですが どうします?』

「そなの?!買うよ、買う買うハイ3万円 実はね昨日パチンコで稼いだのよ    このためだっただな。。。運命的だw   ぐふふ しかもこれ定価知ってんだよね ぐふふ」

ものすごく嬉しそうですw       よっぽどですww           その場でお金をワタシに渡して その時計を早速手に嵌めてホテルのレストランの女の子に見せびらかせに行きましたwww

ワタシは用事もなかったので取って返して質屋に代金の支払に行きました。

『おやっさん 売れたよ。           ねー 少し負けてよー』

すぐにお金をもってきてくれた事と預けてすぐ売れた事にびっくりしたオヤジが

「あんた結構商売うまいねー       まー、あんただからねー、        いつも買ってもらっているしねー    こうやってお客さんまで紹介してもらって 分かった!じゃ いままでのお礼も兼ねて 大奮発!今回特別に2万5千円にするよ  それでいいかい?」

『お、ラッキー いいの?やったー!  言ってみるもんだねww』

「どうせ、あんたさァ。ただ働きだろ? 人よさそうだし            手数料ぐらい取ってもバチ当たらないよ。

 ありゃあねー ホントの話で 最低でも4万円。時計店で新品で10万以上するんだ。    我々、金融品流れの店でも5万で充分売れるんだから・・・。

 まあ あんたには、いつもいろいろ買ってもらっているし           今日は それも入れたお返しっ事で」

と、そう言うじゃありませんか

その同僚は、3万円ですごく喜んでくれて ワタシのほうが嬉しくなっちゃうぐらいでしたが、今度は質屋のオヤジまで    喜んで嬉しそうに5千円くれた。

何も商売するつもりでもなかったのに。。これって手数料になるのかな?何なのかなと思いつつ、家に帰りました。

次の日の朝、仕事場で

「昨日はありがとう。昨日渡そうと思ってたんだけど、皆に見せている間に    君いなくなっちゃててさー        時計の値段の事は皆には秘密だよ。   君ペラペラ話しちゃうからなー」だってw

でもなんと5千円もくれたんです。

ん?口止め料かww          それとも 単なるお礼か?       その辺ちょっと考えましたが 、      手数料を要求したわけでもないし、   向こうからの申し出だし・・・・。    結局、合わせて                 1万円ワタシの手元に残りました。

商売をする気もなかったのに      ワタシの手元にお金がなんと1万円    それも買った方も売った方も        両方とも喜んでいる。

正直、不思議な気持ちでしたね~

家に帰って手にした1万円を眺めながら       ぼやぁー、と考えてみました。

今日は なんの元手も要らず      目の前に1万円入った。

パチンコで儲かるなんて          学生の頃みたいにはできないし。。。

売上にしてみると同僚は3万円払って   自分にさらに5千円払ったんだから         売上としてみれば3万5千円

ワタシに残ったのは1万円       とすれば、原価として考えれば2万5千円

喫茶店みたいなサービス業には、     店や設備の投資がいる。でも今日は何も仕入もしていないし、店もない。      投資もしていないし 仕入もしていない。しかも 皆喜んでくれた。         

喫茶店をしている時は           仕入をする時にいいものを安く     他にない材料や他にないものを探すのに

福岡まで行って遊んだ情報や       皆の読まない業界紙で情報を得て     流行を予想して新しいメニューを開発して流行らせた。

独身会社員向けの焼きそば味スパゲティや         近所の会社向け会議用珈琲出前サービスもそうだ。

麻雀屋を開いたのもカツ丼や出前サービスが狙いだった。

でもその為には いろんな投資が要った。でも今日はお金がかかっていない。

何故だ?????           それなのに3万5千円の売上に対して   1万円も残った。

30%近くも残っている。        普通の販売業は25%ぐらいの粗利。。。 しかも仕入や在庫がいる。

仕入も在庫も要らないのに30%も利益が残り、仕入先も販売先も喜んでくれる。

しかも両方から文句を言われない。。。。今まで考えもしなかったお金の残り方だ。手数料というわけでもない。      なんと、どっちからもお礼という形。。。

なんで?なんで?

ぼやーっとそんな事感じながら     またその次の日。。。

ワタシが出社すると、          あれだけ 自分からワタシに秘密だと  言った同僚が 皆にネタをばらしたらしく 他の先輩の同僚や女性スタッフから

「僕も時計が欲しいんだけどさー      よさなそうなのはある?」

「君オーディオが趣味なんだってねー?  僕も好きなんだよねー。        JBLかタンノイで掘出し物ないかなぁ」

「冷蔵庫が壊れちゃってちっちゃいカワイイ2ドアの冷蔵庫ってないかしら」

しまいにはベッドメイクのおばちゃんまで

「アンタ商売してるんだって?     何があんのよ~」

と朝から大変ww人気者。       なんじゃこりゃあww なんでこうなるの?

と、まあ、こういう事で          気づきがあったのが、ワタシが若かりし頃の本格的にビジネスを始める出会いと  言えるじゃないでしょうかね。     まるで、たまたま虻がよってきて    それを簡単に邪魔者と追い払わずに   手に握ってた藁しべに結びつけたと   いうことでしょうかねえ、       それが後に付加価値となっていくのです。

ま、その時は最初から狙っていたわけじゃないですが

【第3話に続く】


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