3ヶ月間豆腐しか食べなかった偏食の話
こんにちは、モンブランひとみです。
もうすぐ3歳になる息子は偏食です。
特定の食べ物しか食べられません。
食が細いわけではなく、量はしっかり食べるのですが、同じものをひたすら食べます。
・トマト
・かぼちゃ
・のり
・しらす
・卵
・アンパンマンのレトルト
基本的には食事内容はこれです。
これでも一時期に比べて食べてくれる物は増えました。
そしてきっと偏食に悩む方からすると、
「これだけ食べてくれればマシだよー!」」
と叫びたくなると思います。
それくらい、偏食を心配する親の心は深刻なんです。
息子の偏食全盛期
私が息子の偏食で禿げるくらい悩んでいたのは、
1歳前後の時。
今思い出しても頭痛がするけれど、息子は3か月間「豆腐」しか食べなかった時期がありました。
お米すら食べない。
パンも食べない。
それまで大好きだったはずのバナナも食べない。
唯一食べるのは、なんの味もつけてないただの冷ややっこ。以上。
親としては子供の食事って言いえないくらいプレッシャーを感じるもので。
自分が食卓に出したものしか子供は食べられないし、体も脳も急激に成長している子供の栄養面が心配になる。
こんな大切な時期に豆腐だけで大丈夫?
貧血にならない…?
脳みそまで豆腐になっちゃわない…?(ならない)
当時は本気でそう心配してました。
少しでも栄養のあるものを食べて欲しくて手作りしたり、毎回工夫を凝らして違う料理を出してみたり。
だけど、息子はほんっっっとうに一口も食べず。
食べないどころか皿ごと床に捨てたり、顔に塗ったり。作ってはひとくちも食べられないまま捨てる毎日に疲れてました。
食べないのに机と床を掃除するのも悲しかった。
あぁ私は掃除をしながら歳を
とっていくだけの人生なんだ…
いやほんとあの頃は大変だった。
まだ育児1年目だった私は肩に力が入りまくっていて。息子のことになると、どうしても手を抜けなかったんですよね。
「豆腐しか食べないなら豆腐だけ用意すればいいんだから楽じゃーん」
と、今なら思えるのだけれど。
当時は「今日こそは食べてくれるかもしれない」
そんな期待を捨てられなかったんです。
「保育園に行けば他の子に影響されて食べるようになるかも」
育児に疲れを感じていた私は仕事復帰を決意。
息子は保育園に入園しました。
保育園の入園理由が偏食って聞いたことない。
でもあの頃は必死だったんです。
育児を楽しめなくなっている自分も怖かった。
だから親子共々外の世界へ飛び出そう、と。
結果、作戦は大成功。
息子は保育園の給食を完食できるようになりました。始めは全然食べなかったのだけれど、徐々に食べられるようになって。はじめて「完食」の報告を聞いたときは喜びと安堵で泣きそうになりました。
偏食と発達障害
息子の発達障害がわかったのは1年後の2歳3ヶ月の時。
診断がついたとき
「極端な偏食は発達障害もひとつの理由だったのか」
と気づきました。
発達障害の子供の半数以上は、何らかの偏食があると言われています。
その理由は大きく分けると3つ。
①感覚過敏
②見通しの難しさ
③こだわり
①感覚過敏
「感覚過敏」とは、発達障害の特性のひとつ。
発達障害の人は感覚刺激が人よりも敏感と言われています。(感覚過敏とは真逆の「感覚鈍麻」な場合もあります。)
聴覚、視覚、味覚、嗅覚、触覚、痛覚など、感覚の敏感さが特徴です。
そのため食事でも
・色や形状といった見た目に敏感
・匂いに敏感
・口の中での触感に敏感で、痛みを感じやすい
などの影響があり、それが偏食に繋がると言われています。
人によって不快に感じる感覚は様々で、揚げ物が痛くて苦手な人もいれば、ペースト状の食感が苦手な人もいます。
ここで大切なのは、決して「わがままではない」ということ。猫舌の人が熱いものを食べることができないのと同じで、体の反応のひとつなのです。
それを知っておくことは子供のためにも大切です。
②見通しの難しさ
「見通し」とは、先を予測することです。
発達障害の特性に、見通しを立てることが苦手というのがあります。
「イマジネーションの障害」とも言います。
見えないものを想像力で補うことが苦手なんです。
予測が立たない状況、想像ができないことは不安になります。
例えば調理前のにんじん。
これを見ればにんじんだと一目でわかる。
だけどカレーになってしまうと、どれがなんの食材だかわからない。
もしかしたら「食べ物」だということもわからない場合もあるかもしれない。
こんな風に見通しを立てる苦手さが、偏食の原因になっている可能性もあります。
同じ理由でチャーハンやみそ汁が苦手な子もいます。色々な食材が混ざっていると、不安になってしまうんです。
チャーハンの場合は触感の異なる物が同時に口に入るため、その感覚の気持ち悪さという「感覚過敏」も理由かもしれません。
③こだわり
「こだわり」は発達障害の特徴として有名です。
想像力で補うことが苦手なため、先の見通しが立たないことに不安を感じやすい。
だから一度経験して見通しが立つことだけを繰り返す傾向にあります。
安心を得るために、同じことを繰り返す。
それが発達障害の「こだわり」や「常同行為」の理由です。
決まった食べ物だけを繰り返し食べることは、ホッとすることでもあるんです。
偏食にどう対処するか
では発達障害の子の偏食にはどんな工夫ができるのか。例えば以下のような方法があります。
①調理動画を観てみる
今はYouTubeなどにたくさんの動画があります。
調理過程を見せてくれる動画もあります。
見通しの苦手さがあるならば、食材が調理の過程で形を変えていくことを動画を通して学んでみましょう。
「にんじんは輪切りにするとこんな形になるんだ。」
「火を通すと色が変わったり、縮んだりするんだ。」
これは「視覚支援」という手法です。
言葉で説明するよりも、視覚で伝える方が伝わりやすくわかりやすいですよね。
特に発達障害の子の場合、想像することが苦手です。
動画ならば想像力で補わなくとも事実がしっかり伝わります。
②一緒に調理をする
動画よりも高度になりますが、一緒に調理してみるのも一つの手です。
食材を自分で調理すれば、どんな風に変化していくのかを体感できるし、調理の過程で食事への愛着が持てるかもしれません。
我が家は子供が小さく、発達障害ゆえの危なっかしさがあるのでまだ実践できませんが、いつかチャレンジしたいと思っています。
③食べられる食材を少しずつ形状変化させる
いま安心して食べられている食材がを少しずつ形を変えてみると、こだわりを軽くすることができます。
例えばフライドポテトだけを食べる子ならば▼
こんな風にお気に入りの食材を少しずつ変化させてみて、「形がかわってもおいしい」を実感させてあげると食べられるものの幅が広がります。
最後に
私が育児で大切にしたいと常々思っていることは
「心の余白をもつこと」です。
子供がのびのびと成長していくためにも、
親こそのびのびと楽しく余裕をもって生きていたいな、と。
親の心のゆとりが子供の安心感につながり、
子供ののびやかな成長の糧になると感じています。
でも子供の偏食に悩んでいた頃はそんな余裕はありませんでした。常に頭の中は不安でいっぱいで、視野も狭くなっていました。
今だって偏食以外のことでもそうなります。
偉そうに言うつもりはなくて、私も毎日必死に育児する親のひとりです。
でも、なるべく冷静さは持っていたいなと思っています。
そのためにもたまには肩の力を抜いて、深呼吸して、しんどかったら一緒に2時間昼寝したり、夕食はUber Eatsで済ませたり。
自分に甘く過ごすことで、ふと思い込みの蓋が外れたりもするんです。
「食べなくたって良いじゃん?」
と思えたらこっちのもの。
子供ってとても敏感です。
親の必死さはすぐに伝わるし、子供にとってはやっぱり怖い。食事が苦痛になってしまうくらいなら、親子共に好きなことだけして楽をしていいと思います。
3ヶ月豆腐しか食べなかった息子も、今日も元気です。それが誰かの励みになると嬉しいです。
余談ですが…
いまの息子は豆腐をまったく食べません。
きっと一生分食べ尽くしたんでしょうね(笑)
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