見出し画像

自転車旅日誌 / 2021年12月29日

キリスト教会の町San Javeirを越えると、そこからは砂地と丸石の入り混じる未舗装路になった。昨日キャンプした所が川縁の気持ち良い所だったため、昨日は遅めの出発で1日の走行距離27キロ。これじゃ遅すぎる。予定通り進まないと食料と水が足りなくなるからということで今日は早めに走り始めたけど、結局走行距離32km。時速約5kmで、さほど徒歩と変わらん。思っていたより進みの遅いオフロード。でかい石とか急な段差で何度も転倒して足をすりむくし打ち付けるから痛いし10ℓの水が容器の中で動くから邪魔だし、1日目はかなりへこたれたけど2日目は少し慣れて楽しくなってきた。やはり転倒はするけどバランスの取り方が分かってきて、下り坂はかなりアドレナリン出て気持ち良いし楽しい。いけるかいけないかギリギリの所を攻めて、攻略出来た時は喜びの雄叫び。30kmしか進んでないけど。舗装路の半分の速度ということになる。ということでこのまま進んだら餓死してしまうので、当初の予定を変更して途中から国道に合流して近道することにした。潔さが大事。明日の夕方には舗装路に戻れるはず。

相方は2日目の主に下り坂で相当苦戦して転びまくってて。こんなの無理だし、南米なんて行けない。やめたい。早く終わらせたい。て泣きながら叫んで塞ぎ込んでた。ああなっちゃうとどうしようもないし、なんて声かけたらいいかも分からない。自分があの立場だったら、結局自分で解決するしかないことは知ってる。同情されても意味がない。実際に励ましても否定するし、助言してみても無理だと断るし、やたらと攻撃的でこりゃ手に負えないと思い、付かず離れずのところをしばらく走ってたら、少し慣れてきたみたいで半泣きながらも頑張ってた。しかし相方の態度の悪さに段々腹が立ってきて、あっちの気分が回復した頃には自分の我慢も限界にきて気が塞ぎ込んでしまい、ムスっとしてjobinを爆音で聞きながら黙々と一人で走ってしまってた。理由がなんであれどちらかがが怒ったりふてくされたり負の感情を見せると、必ず相手も何かしらの形で負の感情を見せてくる。逆もしかりでこれはどんな時もそうで、どちらかだけが完全に間違ってることはまず無いためか、どうしても気に入らなくて仕返しみたいな事をしてしまい、非常に消耗する。

2日間ほぼ2人きりで、唯一会った人といえばアメリカから来てた玄人感満載でかなり洗練された印象の自転車ツーリストカップル、ローガンとヴァージニア。それから発情期の雄犬と妊娠した迷いヤギ。雄犬は発情しまくっててベタベタしてくるし、迷いヤギは必死に仲間を呼ぶためか悲痛な叫び声をあげながらさまよってて、異常な光景。あとは牛の死体を荷台に積んだトラックともすれ違ったけど、運転手が満面の笑顔で手を振ってきて妙に不気味だった。すれ違った先には民家はないから、あの牛は捨てに行くんだろうか。ハイウェイの道沿いで頻繁に死んだ牛を見るけど、あれは誰かが捨てているのか、車に轢かれた牛なのか。海沿いには漁でとれたような大量の貝殻や魚の骨がそのへんに捨ててあるし、国道沿いには車から投げ捨てられた空き缶等はもちろん、時には土木作業で出たであろう砂、砂利、コンクリの様な産業廃棄物までそのへんに捨てちゃってることを考えると、牛もそのうちの一つなんじゃないかと思ってしまう。都市に近づく毎に増えるゴミ、ゴミ、ゴミ。気が滅入る光景。明日で未舗装路は終わって町に入れるはず。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?