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地方の中小部品メーカーにとってコロナはチャンス?!(4)

地方の中小部品メーカーにとってコロナはチャンス?!(1)、 (2)(3)からの続きです。


デジタル時代の魅せるスキルと発信力

自社の技術や特徴をオンライン上で魅せるスキルと発信力が求められるようになってきました。

リアル商談で使っていた資料やリアル展示会のパネルを、そのままオンライン画面上で共有できるようにするだけでは不十分ということです。

プリントアウトして配布していた資料に対し、画面上で提示する資料の作成ノウハウ、例えばフォント、色の使い方、画面上の配置など、デジタル時代ならではのプレゼン資料作成術に慣れておく必要あります。動画の活用も進んでくるでしょう。

それだけでなく、資料の提供の仕方、目的によって表現を工夫し効果的に発信する必要があります。ネット社会となり、顧客の購買プロセスが多様化してきたことが影響しています。

「プッシュ型」「プル型」営業スタイル

営業スタイルとして、「プッシュ型」「プル型」という言葉を耳にするようになってきました。直訳すると「プッシュ(Push)」=「押す」、「プル(Pull)」=「引く」です。

企業側から積極的に営業をかける従来の方法が「プッシュ型」。これに対し、顧客が自社の製品やサービスに興味を持ち行動を起こして頂けるよう喚起するスタイルが「プル型」になります。「プッシュ型」は企業主体の営業、「プル型」は顧客主体の営業と言えるかもしれません。(因みにテレビCMや新聞広告などは企業側が一方的に情報を発信するので「プッシュ型」になります。)

部品の調達に際し、以前は新規案件であっても、発注側担当は過去に取引のあった部品メーカーや馴染みの商社営業マンに先ずは問合せをしていました。発注側の会社概要を承知されていてあらためて説明する面倒がないことと、取引実績ある会社で何かと安心という面からです。

ところが最近では、発注側は問合せ前にネットで多くの情報を入手するようになりました。しかも検索対象は取引実績のある企業ばかりではありません。問合わせするのは、ネット検索以上の情報を得たい、もしくは商談を進めたいという段階です。

この傾向は、コロナで対面での商談が難しくなってから更に強まりました。部品メーカーや商社が訪問営業を控えている間、発注側担当者は在宅リモートワークでネット検索し、問合せ時点ではすでに候補を絞っているという具合です。

このような時代では、ネット上で自社の製品やサービスを見つけて頂かない限り、候補として取り上げられもしないということです。ここが「プッシュ型」と「プル型」の大きな違いです。ネット上でいかに顧客側に見つけていただき行動を起こしてもらう(問合せいただく)かということが重要です。

このことはオンライン展示会やビジネスマッチングサイトでも同様です。従来展示会では、見学者はあらかじめお目当ての企業をピックアップしそのブースに向かうこともあれば、会場内で目に留まったブースに立ち寄ることもありした。今後はオンライン上で、自社のブースに見込み顧客候補を引き込むことを効果的に行う必要があります。

「プル型」営業における活動

では、見込み顧客や協業パートナー候補に自社を見つけて頂くにはどうすればよいのでしょうか?

こちら側の意図をしっかり固めることと、相手側の立場になってコンテンツを充実させキーワードを考慮することです。こちら側の意図とは、直販を増やしたいのか、販売代理店を獲得したいのか、技術を軸とした協業パートナー探索をしたいのかなどです。
何となく会社の知名度アップに繋がればぐらいでは、コンテンツは一般論になりがちで、見込み顧客や協業パートナー候補のネット検索には引っ掛かりません。

例えば、特定な加工技術に特徴を有する企業が、部品加工の新規案件獲得を目指しているとします。この場合、発注側の立場や目的を意識しながら、分野、加工、材質、サイズ、精度、納期、数量、実績といった情報を、より具体的に根拠を添え掲載すると効果的です。
競合と比較して加工精度が高く、これをセールスポイントとして案件獲得を増やしたいという意図があるとします。この場合には高精度な加工ができる部品メーカーを探している発注側の立場になり、競合を意識しながらコンテンツ、キーワードを練るということです。

デジタルマーケティングにおけるSEO的な考え方が参考になるでしょう。(SEO:Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)。検索エンジンの検索結果ページで、ホームページが上位に表示されるようにするための手法)

ホームページ作成にあたりこれまで外部業者にお任せで、外部業者も企業の技術を深堀り理解せず、どんな製造業にでも当てはまるような文言を並べて作成しただけのホームページは結構あります。
「先進設備と熟練スタッフの技を融合し、高精度・高品質な製品を通じてお客様の企業活動に貢献いたします。」とか。残念ながらこのような文言ではネット検索にはまず引っ掛からないでしょう。

ただし「低コスト対応できます」といった表現を積極的に発信すると、そのような目的の顧客に見つけてもらい易くはなりますが、地方の中小部品メーカーでのビジネスの進め方としてはどうかとは思います。

オンライン展示会では会場内の検索機能が備わっていて、キーワードは登録されている中から選択ということがあります。このような展示会ではGoogleやYahoo!といった検索エンジンでなく、展示会独自の検索機能を理解し、見学者の行動を予想しながらコンテンツを工夫することになります。

ITリテラシーについて

デジタル活用というと、真っ先にITリテラシーのことを思ってしまいがちです。ツールの使いこなし面ではもちろん大切ですが、デジタル苦手意識が強過ぎず、ほどほどのスキルと好奇心あれば(これが大切)大丈夫です。

肝要なのは顧客視点での提案力やマーケティング思考といった、アナログ対応時でも必要とされていた要件です。デジタルならではの工夫は必要ですが、本当に必要な土台の部分としては、多様化してきた顧客の購買プロセスを踏まえた顧客視点での提案力やマーケティング思考になります。

土台の部分がプアーにも関わらず、ITリテラシーにしか関心無い方には難しいでしょう。経営者にこのような方はいらっしゃらないのですが、外部人材を活用して補強しようとする際には要注意です。ITリテラシーは高いけれど土台の部分がプアーな方の採用にはお気を付け下さい。

昔から顧客視点思考でやってきた方は、あまり恐れることはないでしょう。

コロナをチャンスと捉えよう

コロナで大きな打撃を受けた地方の中小部品メーカーは多いと思いますが、仕事のやり方や働き方を見直す機会として前向きに捉える余裕ができれば、大きく前進です。この際、デジタル活用もポイントですが、先ずは自社の仕事のやり方を再点検することからです。

コロナを機に挙げられた数々の問題は、実はコロナ前からの潜在的な課題が浮き彫りになったケースが多いものです。10年掛けて徐々に縮小していくと予測していた売上が、コロナにより数カ月で減少したいう例も聞きました。

仕事のやり方に変えていくにあたり、一気に変わらなければならない状況となった際、一時的には歪を生むかもしれません。
このような時に重要なのが経営者の覚悟とブレない考え方になります。

新たな販路開拓方法実践にあたり、経営者が悲壮感を持って臨むのでなく、コロナはチャンスと捉え前向きになって進めることで従業員も変わっていきます。

ビジネス

今回は、地方の中小部品メーカーの特に販路開拓について「コロナはチャンス」ということを述べました。世の中は日々変化してますが、「コロナはチャンス」という思いは増々強まってきています。

ここまで読んで下さり、ありがとうございます。
以上です。

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