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持続可能な社会を目指して、モノタロウが取り組む「SDGs」とは~第1回ダイバーシティ&インクルージョン部会編~

※本記事の内容は取材時のものであり、組織名や役職等は取材時点のものを掲載しております。
※表紙の写真はSDGs D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)部会の第2期メンバーです。​

モノタロウは創業以来、「資材調達ネットワークを変革する」を企業理念に仲間とともに日々挑戦と成長を続けて参りました。SDGsの取り組みについては、よりよい未来に貢献できるよう社内で議論を重ね、当社における重要性と社会からの期待度の見地から、以下の5項目にフォーカス。それぞれの実現・発展に向けた部会を運営し、推進しています。

①環境や人権に配慮した産業社会の発展に向けたサプライヤー様との協調
②気候変動対策としての二酸化炭素排出量の削減
③ダイバーシティ&インクルージョン
④リサイクル・廃棄物削減を通じた資源循環型モデルの実現
⑤環境配慮型商品の開発と提案

今回はSDGsプロジェクト発足の背景や、その中のダイバーシティ&インクルージョン(以下、D&I)部会について、サステナビリティ委員会(※) 事務局の平尾さん、D&I部会のメンバーである山田さん、渡辺さんにインタビューしました。

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写真左から順番に
渡辺さん:経営管理部門 法務グループ所属
平尾さん:経営管理部門 IR・広報グループ所属
山田さん:カスタマーサポート部門 部門長

(※)サステナビリティ委員会
代表執行役社長以下のメンバーで構成されるSDGsプロジェクトの中核組織です。取締役会への定期的な報告と議論を行いつつ、各重要課題に関する4つの作業部会を下部組織に持ちます。

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※参照:当社HP サステナビリティ | 経営方針 | IR情報

 SDGsプロジェクトの発足

ーーSDGsプロジェクト発足の経緯について詳しく教えてください

平尾さん:
SDGsが世界的な関心を集め、企業に対してもそれが求められている中、モノタロウとしても何か取り組めないかという意見が社内から挙がり、プロジェクトを発足することが決まりました。プロジェクトでは、まず「SDGsとは何か」から勉強を始め、その中で自分の業務や会社の事業とつながる点は何かを考えていきました。

モノタロウの事業形態はECであり、その枠組みの中でいかにアクションを起こせるか、そして、先ほど述べた5項目の課題を整理し、4つの部会①CO2排出削減・資源循環部会、➁サステナブル調達推進部会、③D&I部会、④環境配慮型商品部会に振り分けることからスタートしました。


D&I部会とは

ーーSDGsプロジェクトとしてD&Iに取り組むことになった経緯について教えてください

山田さん:
モノタロウには「他者への敬意」という行動規範があり、それは文化として十分に浸透しています。そのため、他社と比べるとかなり風通しが良い企業だと思います。それは働いていても実感するところです。そのためか、多様性を認める文化が既にあると言えると思います。

一方で、現在右肩上がりで事業が成長しており、従業員数も年々増えてきています。それに伴い、従業員が持つライフスタイル・価値観・経験もより一層多様化しています。こうした成長環境下にあるからこそ、様々な社員の意見やアイデアをまとめボトムアップで事業を進める施策を促進することは、今後のモノタロウにとって非常に重要なことです。このことから、企業としてさらなる成長を遂げるにあたって、D&I部会が立ち上がりました。

渡辺さん:
ちなみに「ダイバーシティ」は「多様性」、「インクルージョン」は「包括」を意味する語で、D&Iはすなわち個々人の属性やライフスタイルなどにかかわらず、誰もが互いを尊重し認め合うことを意味しています。


ーーD&I部会のメンバーはどのように決まったのでしょうか

山田さん:
「SDGsプロジェクトが発足するので、興味がある方はいらっしゃいますか」と社内公募したところ、ありがたいことに40名以上の方々がご応募してくださいました。そして、プロジェクトメンバーの中からマテリアリティのそれぞれの項目を重要と考えたメンバーごとにチーム分けし、初期段階である第1期のメンバーが決定しました。

現在の活動は第2期と当社では位置づけており、、第1期から継続して参加しているメンバーと新しく加わったメンバーの両方がいます。具体的な施策に落とし込むのが現在のフェーズの為、現メンバーは実務担当者が中心です。D&Iの理念としては社員全員の課題を包括していきたいのですが、現在は障がい者雇用、社員の成長支援、福利厚生、人材育成などへの対応を優先的に進めるため、メンバーもそれに近い担当者で構成されています。具体的には人材開発・人事・労務の担当者です。

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誰もが活躍できる環境を目指して

ーーD&I部会で目指していることについて教えてください

渡辺さん:
一般的にD&Iは女性活躍・障害者雇用・多国籍・LGBTQなど、何かしらの社会的カテゴリーかつマイノリティに即した活動が多いですが、モノタロウではそうした活動に限定していません。当部会ではダイバーシティそのものの意味に立ち返り、一人ひとりの個性や専門性を認め合い、そしてそれをお互いが活かし合うことを目指しています。

ーーどのようなことが議論されているのでしょうか

平尾さん:
初期での議論ポイントになりますが、「あらゆる従業員へ適切にアプローチできるか?」でしたね。会社の規模がどんどんと大きくなるにしたがって働いている方々の、例えば国籍や年齢などもより一層多様化してきています。
部会としては「『他者への敬意』の理念は浸透しているけど実際問題としてはどうなんだろうね」「海外の方も一緒に働いている中で、日本人である私たちが気付かない不安とかあるんじゃないかな」というところからまず議論を展開しました。
やる気や熱意があれば誰もが活躍できる環境こそがD&Iにおける目標であり、それを達成することが社会へのメッセージとなり、また会社への貢献になると考えています。

D&Iのスローガン 【MoRE!】とは

ーー掲げている 【MoRE!】というスローガンについて教えてください。

渡辺さん:
モノタロウらしさといえば、すでに何回か出てきている「他者への敬意」、またそれを端に発する「認め合う文化」です。これらを武器にして、一人ひとりの個性を認め合い、活かし合う職場を作ることがモノタロウにおけるD&Iだと言えます。
そこで、私たちは目指すべきD&Iビジョンを「熱意と資質を持っていれば、誰でも能力を発揮し、活躍できる企業に」「多様性をはぐくむ社内風土の醸成」に設定しました。
そしてこのビジョンを実現するために、第2期プロジェクトで提唱したのが「MoRE!」です。「MoRE!」には以下の3つのスローガンがあります。

文言入り

これらのスローガンを作った背景には、D&Iはあくまで一般的な用語なので、それとは別にモノタロウのD&Iの当事者である私たち自身が、私たちらしい言葉で、D&Iの意味を伝えられる合言葉が欲しかったという理由があります。そこで、MonotaROの強みである認め合う文化(MonotaRO Recognizes Each other’s differences)の頭文字を取り、この文化をさらに深化させ、「もっと(more)みんなが働き続けたいと思える会社を作ること」にコミットするという意味を込めてMoRE!を提唱しました。

「RE」が大文字であることにも意味があります。たとえば、MoRE!を推進するために必要な価値観を再定義し、課題となっている仕組みを改善していきたい(RE-newal)と考えています。また、さまざまな理由でブランクがある社員も含め全社員に対し、スキルの再教育やキャリアの再開発(RE-skilling・RE-training)を実施し、個人のさらなる成長機会を創出していくことも目標の一つです。
そのようにして、私たち一人ひとりの個性がより輝き、そのエネルギーがモノタロウの成長を支えること、そして事業を通じて社会に貢献し続けたい、という思いが「MoRE!」には込められているのです。

ーーとても想いが込められたスローガンに感じます!それはどのような流れで形作られたのですか?

渡辺さん:
部会の第2期キックオフにあたり、まず女性管理職比率や外国籍採用の状況など、いわゆる一般的なD&I指標を調べました。その結果、ほとんどの数値が全国平均以上だったのですよね。

それまで会社として何か明確なアクションを取ってきたわけではないのに、そのような結果が出たのは、「他者への敬意」がまず企業理念として存在し、それを受けごく自然に「その人そのもの」へ向き合ってきたからでしょう。お互いのバックグラウンドや専門性を皆が認め合い、多様な価値を生み出しつつ企業成長を続けてきたということが、定量的な事実から明確になったのです。

そのため、障害・性別・国籍といった社会的カテゴリーに固執するのはモノタロウに合わないし、企業としての良さをかえって損ないかねないと私たちは考えました。
特定層の誰かではなく、もともと違う個性を持つ従業員一人ひとりこそが、D&Iの当事者であると明確に定義したわけです。また、その違いこそが会社にイノベーションをもたらすものであり、もっと個性を活かし合える環境を作っていきたいと考えました。

そのような思いを自分たちの言葉で表現すべく生まれたのが「MoRE!」でした。
「MoRE!」では数値目標にこだわらないこともポイントです。なぜなら、MoRE!が浸透し、モノタロウで働く一人ひとりの意識の深化、行動変容の結果として、D&Iに関連する指標はおのずと改善されるものだからです。

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ーー数値目標を掲げて目指すのではなく社内風土にフォーカスを当てているわけですね

渡辺さん:
そうですね。もちろん数値目標をまったく気にしないわけではありませんが、こだわらないようにしています。あくまで数値は、社内風土がよりよくなっていく過程で達成されるもので、モノタロウにとってのD&Iのゴールではありません。あくまで私たちが目指すのは、全社員がもっと活躍し、事業を通してその力を社会に還元できるよう、会社として成長し続けることです。このようにゴールとプロセスを明確に分けて考え、今よりもっと成長するために何が必要かを見極めるというスタンスは、まさにモノタロウらしい考え方だと思います。

取り組み内容について

ーー実際のD&Iの取り組みで、モノタロウならではの特徴はあるのでしょうか

渡辺さん:
「特定の社会的カテゴリーに特化したアクションプランを立ち上げる」「障害者雇用を何パーセントにする」といった特定層に対する打ち出し方に偏らないようにしていることです。
一人ひとりちがう個性をもった社員全員がD&Iプロジェクトの主役であり、当事者であるというメッセージが企画を通じて伝わるように心がけています。

山田さん:
そうですね。ちなみに障害者雇用だけ少々特殊で、これは法定雇用率が決まっているんですよ。もちろん企業はそれを達成しないといけないわけでして、それはSDGsやD&Iとは別の「義務」として定められています。
ただし、部会としては観点が異なっていて、「義務で決まっているから障害者雇用を促進しよう」というわけではありません。
特定の属性が云々ではなく、それぞれが一つの個性であり、互いの違いを皆が積極的に活かし合い、能力を発揮できる環境にしていきたいと考えています。
せっかく当社に縁があって入社された方々なわけですし、全員が働きやすい環境でありたいよね、ということです。

ーー実際にどのようなこと取り組んでいるのでしょうか

山田さん:
まず挙げられるのは障害者雇用の促進です。具体的にはオフィスの階段の両側に手すりがあるか、
実際の道幅はどうかなどのユニバーサルデザインの状況調査を全社、全拠点で行い、整備をどこまで進められるかの検討を始めたところです。障害者雇用だと、どうしてもアルバイトスタッフが多くなってしまうのですが、正社員としてもモノタロウにコミットしていただけるよう、採用手法を検討したり求人を拡大したり、また障害を抱える方でも働きやすい職場環境を整えていっています。
ユニバーサルデザインは誰にとっても使いやすいものなので、仮にモノタロウの社員が病気やケガをしたときでも、その後も働きやすいと考えています。

他には座談会も実施しており、その一つとして、ライフイベントに応じた働き方の変化をサポートする内容もあります。今年開催した「子育て座談会」はとても好評でしたね。また、対外的な発信にも取り組んでおり、3月9日には「えるぼし」3つ星認定(※)の取得に関するプレスリリースも行いました。「えるぼし」はモノタロウの企業姿勢を体現する公的認証の一つであり、そういったものの取得をPRすることで、社員にもD&I理念が浸透し、そして多様な人材との新たな出会いにつなげられるだろうと考えています。

(※)「えるぼし認定」とは「女性活躍推進法」に基づき、一定基準を満たし、女性の活躍促進に関する状況などが優良な企業を認定する制度です。

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渡辺さん:
社外への発信は、従業員の家族の目にもとまるきっかけになるんですよね。たとえば、「お父さんはこんなところで働いているんや」とか「結構いいところで働いてるんやな」と家族の方に思っていただければ、それが従業員の誇りにもつながるかと思います。

山田さん:
社内報に関しても、家に持って帰ることができるような媒体・デザイン・内容にしたい、という案が委員会内で上がりましたね。それはつまり、従業員の家族がモノタロウについて知る機会を設けたいという狙いがあるからです。

私たちが目指すこれから

ーー様々なことに取り組む中で注力していること・楽しみにしていることはありますか

平尾さん:
子育て座談会は面白いなと思っています。また、無記名のアンケートでは様々な属性の方とのかかわりへの不安点を書いていただいたりするなど、今まで把握しきれていなかった声を拾えたことは有意義に感じています。アンケートで実際の声を聞き、そこから具体的に役に立つ改善点を探る、というのは皆が求めていたものではないでしょうか。D&Iの実施となるとどうしても人事や総務などから従業員への通達になりがちですが、アンケートならその懸念が少ないです。同じ会社の制度を使っていてもそれを便利に思っているかどうかには個人差がありますし、一人ひとりの意見を拾ってくれる場はとても貴重だと思います。

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ーープロジェクトを進めるうえで大変に感じることとやりがいを教えてください

平尾さん:
SDGsプロジェクトが発足した当初は何から取り組めば良いかがまったくわからなくて、その頃は大変でした(笑)。今はプロジェクトの発足から1年が経ち、ようやくプラン実行のフェーズに入ってきたところで、とても楽しみに感じています。
今後はプロジェクトが持つ目的の意味や進捗具合の社内への共有が必要だと考えています。また、事務局としては、社内外への開示をより迅速に行わなくてはいけないと思っています。

山田さん:
「モノタロウにとってのD&I」を定めることが大変でしたね。
他社と同じことをしても、それがモノタロウの社員にとってもベストかどうかはわかりません。今は「では、これからはこれを実行しよう!」という楽しみがあります。

渡辺さん:
D&Iって抽象的で、概念的な部分もあり、形が捉えにくいですしね。
理念的なテーマは結果が出るまでに時間がかかってしまうので、その分だけテーマや意義の設定には気を配りました。皆さんも各々の業務があるわけで、その中でなおかつD&Iも意識するとなると大変なことです。いかに従業員を巻き込んでいくか、皆さんにとっての自分事にしていくかということには非常に悩みましたが、社会的カテゴリーを前面に出すのではなく、多様性を個性と捉えて、「D&Iはもともと違う個性を持つ従業員全員が当事者で主役なんだ」というように発想を転換してからはうまく進むようになりました。

ーー今後取り組んでいきたいことはありますか

山田さん:
前回の座談会では妊娠や出産、そこからの職場復帰をテーマにしましたが、ほかのテーマでも今後実施していきたいと思っています。
不妊治療や障害者への接し方を知りたいという意見がアンケートでも多くありました。
そうなると、どうしても社会的カテゴリーが話題になってしまうのですが、あくまで部会としては「皆にとって平等性が高いもの」を構築したいと考えています。そのため、さまざまな視点を取り入れつつ施策を企画・実施していくのが理想です。

また今後の体制としては、人事系の部門に限らずメンバーを募りたいと考えています。座談会をはじめとした各種イベントの企画運営に取り組みたい人、座談会のテーマに合致する経験やスキルを持つ人などと一緒に活動したいです。
モノタロウのD&Iは従業員全員が当事者であることを大事にしているので、社内広報でメンバーを集め、その方々と共に取り組みたいと思っています。また、CS部門や物流部門のようなアルバイトスタッフさんが多い部門の人々にも携わっていただきたいですね。社員はもちろんのことアルバイトスタッフさんにとっても良い環境とは何かを考え、体制を整えていきたいと考えています。

ーーありがとうございました!

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