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返品とは ~委託と値引きとの違い~

小売店にとって逃れられないリスクは在庫です。メーカーには様々な小売店との取引があるため、商品を製造してもどこかの小売店が買い取ってくれる可能性はありますが、商品を買い取った小売店は基本的には消費者にしか販売することができないため、売れ残ると価格をディスカウントし販売することになってしまいます。しかし商品を仕入れなければ売上を作ることができません。そのような状況下で商売を行っているからこそ、小売店はメーカー・問屋に対し返品、委託、値引きを求めます。

返品とは

商品の展開期間が終了した後にメーカーに商品を返すこと。商品を納品時にお金が発生(小売店→メーカー)し、返品時にもお金が発生(メーカー→小売店)します。返品条件は小売店にとっては在庫リスクを抱えずに売上を作ることが可能なため魅力的な条件です。反対に、メーカーにとっては様々なリスクが伴います。店頭での販売時に傷がついたり、運送時にパッケージ破損を起こすなどで商品を再販できない恐れがあります。

返品条件時に注意すべき点

展開期間
開始日と終了日を明確に定め、発注停止日も決めておく必要があります。商品に左右はされるが、返品率を減らすためにも終了日の一か月前を目安に発注を停止してもらう。

返品時の送料
小売店に商品を提供する際はメーカーが負担するが、返品時は小売店と要相談。小売店が負担してくれる可能性もあります。

値札シール
パッケージに値札を貼る小売店があります。粘着度次第では剝がれず不良の原因に繋がる恐れがあるため、値札シールは貼らずに販売を行う。

委託とは

小売店が商品を預かり、売れた時点でメーカーが販売先にお金を支払う方法。テレビ通販ではこのパターンが多い。返品との違いが少し分かりにくいですが、返品条件は先に小売店が商品を仕入れることになります。そのため在庫は小売店側に移ります。委託の場合は小売店が在庫として仕入れるのではなく、メーカーの代わりに販売し、販売手数料という形で売上を立てます。

返品と委託でのお金のやり取りの違い

<返品>
販売時にお金が発生し、返品時にもお金が発生。

Ex.
小売店に1,000個納品。
★お金が発生。小売店 → メーカーに支払う。

販売期間が終わり400個売れ残りメーカーへ返品
★お金が発生。メーカー → 小売店に支払う。

返品がくると小売店への支払いが発生するためお金をプールしておく必要があります。

<委託>
売れた際にのみお金のやり取りが発生する。

Ex.
あるテレビ通販企業が、商品を1,000個自社の倉庫に納品してもらう。
★この時点ではお金は発生しない。

番組が放映され600個の販売に成功。
★この時点でお金が発生。テレビ通販 → メーカーに支払う

売れ残りの400個はメーカーの倉庫へ戻す。

返品や委託は小売店からすると在庫リスクが無く販売に専念できるためメリットはありますが、メーカーにとってはリスクが伴うビジネスになります。

値引き(処分費)とは

返品や委託はメーカーにとってリスクが大きいため、小売店のリスク軽減のため売れ残り在庫に対してはメーカーや問屋が小売店に対し処分費を渡すという形が一般的です。値引きの考え方は下記の記事を参考にしてください。

まとめ

小売店へ納品した商品が価格を下げずに完売することが理想ではありますが、必ずしも全ての商品がうまくいく訳ではありません。そのため返品、委託、値引きといった条件が存在します。小売店に商品を採用してもらいたいという気持ちは分かりますが、小売店側の立場になり提案することも重要です。

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