ものづくりテラス

メーカーでの商品企画を通じ感じることと小売店ビジネスについてお伝えしていきます。

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最近の記事

モノは作るだけでは売れません。

近年インターネットやSNSの発達で、各々の持っている強みを活かし協業することが当たり前になりました。 一方そうでない業界では未だ分断されたままです。そしてその溝は時間が経てば経つほど深くなっていきます。 これまでの製造業はモノを作るだけで良かった。 小売店はモノを売るだけで良かった。つまりは自分達ができること一つに特化しておけば良い時代でした。しかし同時に溝ができ分断されてしまいました。 日本の町工場でも同じようなことが起こっています。地域による分断、生産者と販売者の分

    • 扇風機の歴史と機能 ~家電製品の基礎知識~

      扇風機は安価で省エネな家電製品であり、手軽に使用できるため、暑い季節には欠かせないアイテムです。最近では羽根がない扇風機も登場したり、遠隔操作やタイマー機能など様々な機能もつくようになりました。今回はそんな扇風機について解説していきます。 扇風機の歴史 扇風機の前身はうちわや扇であり、古い中国の絵には、高官が美女や近侍に大扇(おおおうぎ)をあおがせる姿が描かれています。江戸時代から明治時代にかけ、「うちわ車」が絵に見受けられるようになります。 明治18年(1855年)に

      • 乾燥と加湿器 ~家電製品の基礎知識~

        秋になると訪れる乾燥。気温が下がり、空気が乾燥することで様々な健康上のトラブルが生まれます。人の健康・快適性を守る理想的な温湿度は、季節で変動はありますが、温度は18℃~28℃、湿度は40~60RH(relative humidity=相対湿度)の状態と言われています。今回の記事では、湿度が引き起こすトラブル(特に乾燥)と対策として生まれた加湿器について解説していきます。 湿度と菌の関係性 冒頭でも述べましたが、相対湿度で40%~60%の状態が理想と言われています。ASH

        • 企画できる人材の必要性.~今後小売店、メーカー、問屋に求められる人材~

          日本の小売店とメーカーは共に育ってきました。メーカーがモノを供給しなければ小売店は生き残れず、小売店がいなければメーカーはお客様に商品を届ける手段がありませんでした。 また、高度経済成長期ということもあり作れば売れる時代でした。しかし現在では高齢化や人口減少など、メーカーや小売店にとっては非常に厳しい時代に突入しています。 更には、Amazonを筆頭にオンライン販売が当たり前になり、 ”小売店だけ” ”メーカーだけ” で戦うことがより厳しくなりました。そのため小売店やメ

        モノは作るだけでは売れません。

          賄賂⁉︎小売店ビジネスにおけるリベート(割戻)とは。

          「リベート(rebate)」という単語は、「手数料/謝礼金/賄賂」といった意味を持ち、ビジネスにおいては「支払い金額から一部を支払者に返金する」「売上を割り戻しする」といったことを意味します。日本語では割戻(わりもどし)と呼びます。あらかじめ割引するのではなく、支払いの後に割り戻します。日本特有の商習慣でありますが、流通業者とメーカーの間では当たり前のように行われています。 リベートの種類 目的・機能から以下の大きく 3種類に分類しました。 ・販売促進を目的としたリベート

          賄賂⁉︎小売店ビジネスにおけるリベート(割戻)とは。

          水筒(魔法瓶)の歴史と製造方法

          一つの商品が出来るまでには様々な技術・人が関わっています。普段生活していてこの商品はどのようにして製造されているか気になる方もいるかと思います。今回は皆様が一度は使ったことがある水筒(魔法瓶)の作り方について説明していきます。 魔法瓶の由来と歴史 魔法瓶とは内瓶と外瓶の二重構造でその間を真空状態にすることにより熱の移動を防ぎ長時間保温・保冷できるようにした容器 。魔法瓶の由来は、1873年イギリスの化学者・物理学者ジェームス・デュワーが真空容器による初めての放熱遮断実験に

          水筒(魔法瓶)の歴史と製造方法

          メーカー希望小売価格とオープン価格

          小売店やテレビ通販などで『メーカー希望小売価格から●●%OFF』という表記を見かけます。円安の影響もあり価格に対する基準が揺らいできているような昨今では、今まで以上に目に留まるかもしれません。しかしこの表記はかなりグレーな部分もあり、一度世間的にも問題視された過去があります。 メーカー希望小売価格とは メーカーが小売店に対し、消費者に対しこの価格で売ってほしいという価格の目安を示したものである。ただし、このメーカー希望小売価格のとおりに販売するかどうかは各小売店の自由であ

          メーカー希望小売価格とオープン価格

          値入れとは

          小売店はメーカーや問屋(卸売業者)から商品を仕入れ、消費者が購入した時にお金に変わります。小売店にとって仕入値は商売を行うにあたり生命線であるため、メーカーや問屋にも厳しく条件を求められる。そういった条件面での話でよく使う言葉が値入れです。また仕入れた商品全てが販売に繋がる訳ではありません。値段を大幅に下げ販売を行う。その際にメーカーや問屋には値引き(処分費)が求められます。今回の記事では値入率や処分費について解説します。 値入と粗利益の違い 値入れ 売価を設定する際に想

          町工場の消費者向け商品開発について

          日本のものづくり中小企業(町工場)は、後継者不足や下請け問題など様々な問題を抱えています。他の業界を経験した後継者が新たな取り組みとして消費者向け(to C)商品の開発を行い、下請け脱却を目指している姿も見かけます。しかし商品開発や企画を行った経験がないため苦労している企業も多く存在しています。今回の記事では私が町工場の商品開発を見て感じることを記載します。※全社がそうであるとは思っていません。 町工場のto C向け商品開発の目的 企業によって様々な目的があると思いますが

          町工場の消費者向け商品開発について

          小売店と問屋(卸売業者)とメーカー。小売店やメーカーが問屋を通すメリットとは。

          小売店やメーカーにとって重要な存在である問屋(卸売業者)。名だたる大手メーカーでも小売店との取引時は問屋を使う企業が多い。今回の記事ではそんな問屋の存在について解説していきたいと思います。 小売店と問屋とメーカーとは 小売店 生産者や卸売業者から仕入れた商品を最終消費者に販売すること。百貨店やホームセンター、スーパーマーケット、コンビニエンスストアなどを指す。 問屋(卸売業者) 商品を製造するメーカーと商品を消費者に販売する小売業を介して、商品の円滑な流通を促す中間流通

          小売店と問屋(卸売業者)とメーカー。小売店やメーカーが問屋を通すメリットとは。

          小売店とのOEM・ODM

          小売店のPB化比率の向上に伴い、OEMやODMを強化する企業が増えてきました。ここでしか買えない状況を作り出したい小売店。メーカーにとっても確実に売上になるため悪い話ではありません。今回はそんなOEM・ODMについて解説していきます。 OEMとODMの定義 ◆OEM(Original Equipment Manufacturing) 委託者のブランドで製品を生産すること、または生産するメーカのことです。 ◆ODM(Original Design Manufacturin

          小売店とのOEM・ODM

          返品とは ~委託と値引きとの違い~

          小売店にとって逃れられないリスクは在庫です。メーカーには様々な小売店との取引があるため、商品を製造してもどこかの小売店が買い取ってくれる可能性はありますが、商品を買い取った小売店は基本的には消費者にしか販売することができないため、売れ残ると価格をディスカウントし販売することになってしまいます。しかし商品を仕入れなければ売上を作ることができません。そのような状況下で商売を行っているからこそ、小売店はメーカー・問屋に対し返品、委託、値引きを求めます。 返品とは 商品の展開期間

          返品とは ~委託と値引きとの違い~