全体の姿勢と口元の姿勢

武術研究家のモノノフです。引き続き歯並びと姿勢について投稿していきたいと思います。口元の姿勢が乱れると歯並びが乱れるということは前の投稿でなんとなく分かっていただけたかなと思います。

口元にも正しい姿勢があり、それは唇、頬、舌が絶妙なバランスで保たれています。唇は閉じ、舌は口蓋に収まり、舌の先は上顎前歯の歯茎の根元あたり、上下の歯と歯は1,2mm開いているのがいいとされています。さて、歯科医師もここまでは分かっています。僕が問いたいのは歯並びに必要な『筋肉のバランス』は

首から上だけの問題か?

ということです。歯並びに『筋肉のバランス』が大事なのは僕もなんとなくわかります。それを首から上だけでなんとかなるもんかというのが問題なのです。正直そんなわけがありません。それで知り合いの歯科医師に問うてみました。「子供の頃からの姿勢が原因じゃないのか?」と。歯科医師の答えは「それに関しては僕もそう思っているが、科学的根拠(論文)がなく、歯科医師の立場上関係あるとは言えない。」というものでした。なるほど、歯科医師も立場があるのだろう。

EBMと言って科学的根拠のある医療を提供しないといけない。そうでないとオカルトな心霊療法と境目がなくなってしまうとのことでした。

そして、数日後、知り合いの歯科医師から連絡がありました。「歯並びと姿勢の関係する論文があったぞ!」と。調べてくれたのか気のいいひとだな、とか思っていたんですが、なんと2020年の春に出た論文らしく、歯科医師の中でも知られていないし、世間では一般的とは言い難いだろうということでした。ただ、その先生が身体の全面の直筋群の関係などの話もされているそうなのです。姿勢が悪いと胸郭の動きが悪くなり、酸素の吸収効率なども悪くなると。苦しいのでより空気を取り込みたくて口呼吸になりやすく、猫背だと顎も前に出てバランスをとるので、さらに口呼吸になってしまうとのことでした。そして、口呼吸になると舌が口蓋に収まらないので、歯並びも悪くなるという流れです。猫背になると口が開いてしまうし、姿勢を正すと勝手に口が閉じるのです。これは自分の身体で試したところ確かにそういう感じはありました。みなさんも試してみてください。

東洋医学では臓器を五行に分けています。木、火、土、金、水の五行というものがあるのですが、それに肝、心、脾、肺、腎と割り振られています。これらには相克関係というものがあり、左にあるものが右にあるものを強くします。肝が上がると心も上がるみたいなことです。詳しくは東洋医学の臓器の概念の投稿をしますので、そちらでお願いします。

ここで肺は腎の機能をあげる効果があります。逆に肺の機能が下がると腎の機能は下がります。つまり呼吸がうまくいっていないと、腎の気が下がるのです。

東洋医学における腎というのは生きるために必要な根源的なエネルギーを作る場所です。生気や精気みたいなものもそうですし、やる気なんかもここに関係してきます。最近の子供はやる気がないとか、異性に消極的とかいうのも呼吸に関係するのではないかと僕は考えています。そしてその呼吸の良し悪しは姿勢の良し悪しに関係があるのです。

確かに姿勢が悪いと気の巡りも悪いです。姿勢がめっちゃいいうつ病のひとはみたことがないです。精神を病んでいるひとはそれまで姿勢が良くても患っている時は猫背で小さくなっているものです。

幼児教育が大事というのはわからなくはないのですが、子供のうちは姿勢を正す方がよっぽど大事で、それには運動が必要なのです。家で勉強で座らせるぐらいなら、外で走り回った方がいいのです。最近は公園で遊んでる子供がスイッチを持ち寄って対戦していたりしますが、そういうことではなく、自然の中を季節を感じながら走り回ることの方がよっぽど大事なのです。

結論としては全体の姿勢と口元の姿勢をつなぐポイントは『呼吸』であるということです。

これはシリーズ化してもう少し掘り下げていきたいと思います。

モノノフ







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?