バレエと武術の身体の使い方の違い
僕の研究の中でバレエダンサーと武術の達人は非常に近い身体の使い方をしているということを言ってきた。
理由はヒトという動物の身体の能力を最大限に活かそうという点で共通しているからに他ならない。
しかし、明確に使い方が違う部位がある。
それは
膝🦵
だ。
バレエは膝を最大限伸ばそうとする。
反張膝という過伸展している膝が良いというひとさえいるほどだ。
実際は反張膝だとケガのリスクがあるので、しっかり指導した方がいいのだが、そういうひともいるぐらいだ。
武術では原則膝を伸ばし切ってはいけない。
理由は前蹴りなどの時に伸ばし切った膝は皿の方向から叩かれると簡単に関節を壊してしまうからだ。
武術と芸術の差がここに出てきた。
武術には敵がいるのだ。
そして膝が伸び切っていないというのはリスクもある。
うまく角度をコントロールできていないと、
かかとに力が流れず、膝に力が集中してしまい、
膝を壊すのだ。
多くの武術家はこれで膝を壊している。
身体の使い方がなまじうまいだけに生み出される力の出力はめちゃくちゃ大きいのに、膝がうまく使えていないことによって膝にダメージが溜まってしまうのだ。
膝を伸ばし切る伸ばし切らないには見た目の美しさや、使い所に差はあるが、
一つ重要な要素がある。
それは
かかとで重力を受け取ることだ!
ほとんどの重さはかかとで受けて、動くための力だけに
身体の力を使うべきなのだ。
重たい身体の重さを急に動かそうとした時に膝の怪我は起きる。
かかとを使うことがしっかりできてから、
足の母指丘や、指先まで力を使えるようにしなくてはいけない。
そこまで使えているのに、かかとが使えていない時に、
膝を壊すことが多い。
自分の体重はかかとで受ける方がいい。
バレエであれば1番の立ち方とプリエを延々としてきたはずだ。
僕はそれをかかとで立つ練習だと捉えている。
それができていないのに、トウや背伸びの足の位置(上足底が返っている状態)で動き回ろうものなら足首を壊すことは間違い無いだろう。
空手であれば三戦や、基本練習で立ち方は厳しく言われるのだが、
指導者もどれほど意味わかっているひとがいるのかわからない。
バレエはワガノワメソッドのような教育理論がある。
ある天才が育てるためのメソッドを考えたのだ。
武術にはあまりそういったタイプの天才は生まれていない。
僕が知っている育てるためのメソッドを見事に作ったと思うのは、
塩田剛三先生ぐらいでは無いだろうか。
ただ、養神館の型があるのだが、
それの本当の意味をわかって練習しているひとはおそらく数人だろう。
僕も少しはわかっている気になっているが、おそらくまだその深奥は見えていないと考えている。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?