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わたしと東京


夕焼けに染まったビル街を横目に東京を去る道の途中。

昔はこの街から離れるのがとてつもなく嫌で、よく泣いてたな。


私は結構最近まで、東京という街を神格化しすぎていたようにも思う。

就職や勉強もこの街でできなきゃだめ。
この街はモノも人もすべてがきらきらしていて、ここにいれなくなった私はだめなやつ。

きっとそんな風に自分の中で、勝手な偏見を作り上げていたようにも思う。


実際その偏見は、東京を離れて半年以上もの間、私を苦しめた。

東京に来てはやっぱりいいな、と思い、そこを離れればすべてが色を失くしたように思えていた。

それは時折、自分が望んでやっていることさえも、たいしたことないと思わせた。


今回東京に来る前、とにかくすべてが嫌になっていた。
体調も微妙で、なんだか課題も仕事もはかどらず。
将来何がやりたいのかもわからないまま、今をひたすらに過ごす日々は 私にとって苦痛な出来事でもあった。

どっと疲れが出て、4月から変わった新しい環境に とにかくいろんなところで気を張って緊張していたんだなと感じた。
そんな中迎えた今回の東京行き。

今までは東京に向かう途中、行ってから そのすべてがキラキラしていた。

しかし 今回は違っていた。
見慣れた街の景色ではあったが、なんだか「すごい」とか「特別感」というのはずいぶん減った。

東京についてからもだ。周りの人のきらきらとそこに付随していたと思われる自分に対する劣等感みたいなものも、全くなくなっていた。

よくわからないけど、一言で言うならば大したことなかった。

なぜかはあまりわからないが、私は私で今「やりたいこと」があり、東京という街にいなくともそれに「向き合うこと」ができていたからなのではないかと思う。


それに、街にいきたいからいくのではなく、そこに会いたい人がいるから会いに行く。その目的も違うからだろうか。

今回も、みんな歓迎してくれて、応援してくれて、元気をくれて。
私が東京という街に就職してから知った「冷たい場所」という東京の裏の顔をも払拭する出来事であふれていた。


辛い思いを抱きながらも、勝手に自分の中で神格化させた東京という街が、いつしか特に大したことはないが「自分がリフレッシュできる場所」に変わったようにも思えた。

長年のしがらみみたいなのがなくなって、なんだかそれが嬉しかった。


やっぱり今でも、利便性や快適さから、再就職は東京がいいな、なんて思う。

それはそれでいいだろう。

この先も、この東京という街が私の目にどんなふうに移っていくのか楽しみだ。



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