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待ちぼうけのコーヒーボトル

「予定、調整するよ」とか「連絡する」とか。

そういって連絡が来たことなんてない。いつも私が催促する形になる。
きっと私とのトーク画面を閉じたら、もう会話の内容なんて忘れているんだよね。

あなたからの連絡が来ない日、トーク画面を見ながらストックしているブラックコーヒーのボトルを1本飲む。

・・・苦い。私は普段、飲まないんだけど。

「予定してた日、どう?」「約束の日、明日だけど?」
催促なんて本当はしたくない。

私は待てない子だと鬱陶しく思われてるのかな、って考えたら
「はは・・・」って乾いた笑いが出た後に、深く湿った息が出る。

どれだけ待っても連絡をくれないのに?
これまで幾度も予定の時間、予定の日が過ぎても連絡くれない前科があるのに、次はくれるかもって期待をずっと持ち続けて、黙って待っていないとダメなの?

あの頃はまだ、何かあったのかもしれない、なんて心配すらして待ってた。だけど「なんで連絡くれなかったの?」と聞くと不機嫌になるのが嫌で、予定の話なんてなかったことにして、また新たな約束をする。

「わかった、予定しとく」「また連絡する」

と、いつもの言葉が返る。そしてそれに「絶対だよ」って効力の無いお願いをする、何回も繰り返してきたやりとり。


「急かさないでくれ」なんていうけど、私にだって同じ時間が流れていて、それをいつ来るともわからない連絡の為に調整しながら過ごしたくないんだよ。
連絡を催促すると、たぶん余計に連絡をくれなくなるってわかるんだけど、こっちだって予定がある。
私の時間を無駄につかわないで・・・段々そんな風に思うようになってる。
けど、催促することで待ちぼうけじゃなく、会えるかもしれないって期待の方が勝ってしまう。

あなたとの予定や連絡を気にせず、自分は自分で予定を決めて過ごせばいい、いわゆる”自分軸”で生きないと幸せじゃないなんていうけど、あなたと過ごす時間が大事だから、それが出来ずについ、あなたとの不確定な約束を優先して合わせようとしてしまうんだよ。

それは、私があなたをすごくすごく好きだからなんだよ。

…そう、ほんと、どうしようもない理由。

あなたからしたら「知るかよ」ってことなのかな。
私だけなのか、二人の時間を大事に思っているのは。

・・・なんて、もう行動でわかりきったことなんだけど、「会う時間、作るよ」って言葉にまだ騙されていたいんだよ。それが唯一、あなたから私へ向けられる好意、、、だと思いたいから。


いつ会えてもいいように、あなたの好きな飲み物をあなたの為に用意して待っている。そんなこと、いつまで続けるんだろう。

そう思いながらスマホの画面を消す。
今日、私は最後のコーヒーボトルを開けた。

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