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9歳のボクが考えた不思議な話【おらぁ天下のとんち者】

とーんとむかし、よくとんちがきく彦九ひこきゅうというものがいた。
その彦九ひこきゅうは、むかしいた彦八ひこはちというひとよりとんちがきくということで、彦九ひこきゅうばれるようになったとか。


彦九ひこきゅう

話目わめ「タオル」

あるところに、本当ほんとうなまもの長者ちょうじゃさんがいた。

みんなはまえから、この長者ちょうじゃさんをはたらものにしたいとおもっていた。

そこで、とんちの彦九ひこきゅうさん。

長者ちょうじゃさんのところって、「召使めしつかいにしてくれ」とたのんだ。

長者ちょうじゃさんは「いいだろう」と、彦九ひこきゅうさんを召使めしつかいにした。

それから風呂ふろはいるまでは、順調じゅんちょうにいった。

ところが、長者ちょうじゃさんが風呂ふろからがるときに、「タオルってこい」とった。

すると、彦九ひこきゅうさんはなにおもったか、かみに「た」といういて、それをった。

そして、それを長者ちょうじゃさんのところってった。

「どうぞ。 タオルをってまいりました」

「ありがと・・・ってこれはタオルじゃないぞ!」

「はい! おおせのとおり、『た、る』をってまいりました」

これには長者ちょうじゃさんもビックラこいて「うむむむむ」とった。

「なるへそ。 た、という文字もじって『た、る』タオルか・・・」

「あの・・・」

「なんだ?!」

ひとつおねがいがあるんですけど」

「よい。 かなえてやろう」

「これからはなまもの卒業そつぎょうして、はたらものになってください」

かった。 これからはなまもの卒業そつぎょうする」

そのさかいに、長者ちょうじゃさんは町一番まちいちばんはたらものになったとさ。

あっぱれ!
彦九ひこきゅうー。


話目わめ「マスカット」

彦九ひこきゅうさんの評判ひょうばんは、とうとう殿様とのさまみみにまでとどいた。

「ほほう。
 そんなにとんちがきくならちょっくらためしてみよう」

そんなこんなで彦九ひこきゅうさんは、殿様とのさまのお屋敷やしきにやってた。

「よくてくれたな」

「あいあい」

「ところで彦九ひこきゅう、マスカットをってきてはくれんか」

「はぁ、マスカットとはなんでしょうな」

このときは、マスカットという物自体ものじたいがないから、くびをかしげる彦九ひこきゅうさん。

「それをかんがえるのがおまえ仕事しごとじゃろうが!
 どあほ!!」

そうわれてはしょうがないと、彦九ひこきゅうさんは「明日あしたまでにってきます」とっていえかえった。

「マスカット、マスカット、マスカット?」

かんがえていると、「いらっしゃーい、新鮮しんせん美味おいしいピチピチのますだよー」というこえがした。

「そうだ、それだ!」

彦九ひこきゅうさん、なにをおもったかそのますって、それをふたつにった。

それを殿様とのさまところってき、「マスカットです」とったからたまらない。

「なに?!
 これがマスカットか?!
 おのれ!!
 わしをからかいおって!
 くびあぶないぞー!」

「まぁ、いて。
 わたしはますをカットしたんだから、これは正真正銘しょうしんしょうめい鱒カットマスカットですよ」

殿様とのさまは「うむむむむ。こいつぁ本物ほんもののとんちものだ」とって、さっきのおこがおはどこへやら、すっかりご機嫌きげんになって、彦九ひこきゅうさんに小判こばんたせていえかえしたとさ。

「おらぁ、天下てんかのとんちもの!」

まちには、鼻高々はなたかだかある彦九ひこきゅうさんの姿すがたがあった。




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