見出し画像

【エッセイ】東京は怖いって言ってた



~皆様クイズです、新宿駅はあることで世界一となりギネスブックに載っているのですが、それは何でしょう?~











正解は、乗降客数だそうです。


1日320万人、年間で約13億人の方が
電車に乗ったり降りたりしているそうです。


とんでもないでございますね。


私は人口5,000人もいない村で
生まれ育ったので
すごい人数だなと感じます。

初めて1人で電車に乗って
東京に行った時は
あまりの混雑ぶりに気を失うところでした。


そんな満員電車にまつわる
エピソードを今回お話しさせていただければと思います。


皆様、今日もまた聞いていただけないでしょうか?







大学生になり上京したばかりの頃です。


当時私はイヤホンをつけて
電車に乗り大学に行っていました。


前述した通り
東京の電車はものすごい乗車率ですので
いつも押し潰されていました。


私は電車に乗る時に
必ず気をつけていることがあります。







それは痴漢に絶対疑われないようにすることです。




上京する前に
家族みんな寂しい気持ちを抑えながら
笑顔で見送ってくれました。


友達や野球部の後輩達
地元の誇りだと
東京に行く私を応援してくれました。




そんな私が
痴漢などで捕まってしまえば
末代までの恥です。


そして、
何より女性を悲しませる男なんて
私のポリシーに反します。


絶対に痴漢なんかしません。







ただ疑われてしまう可能性もあるので
それだけは本当に気をつけました。



ただでさえ
目つきがまるもっこりのように
やらしい目をしている私は、
常に細心の注意を払い
手は必ず誰もが見えるような位置で
腕を組んだり吊革を掴むようにしていました。


そして、どこで誰がどのような体勢をしているのかも必ず確認します。






この日は、隣に
リクルートスーツを着た女性がいました。


東京の電車に乗る時に
気を抜けばアウトです。

私は痴漢とは程遠い硬派な男に見えるように男らしく腕を組み仁王立ちをしました。




しばらくして
電車のドアが開き多くの方が電車から降りました。
隣にいたリクルートスーツの女性もこの駅で降りるようです。


私の降りる駅は、まだまだ先なので
降りる方達のスペースを空けて
電車に残ろうとしました。


しかし、
なぜか体が勝手に動くのです。


私はまだ電車にいたいのに
なぜか引っ張られるように
体が動き電車から降りようとしてくるのです。


誰も私の体を触っていません。





何が起きてるのでしょうか!?





よく祖父は「東京は怖い」
言っていました。


でもなぜ怖いのかいつも教えてくれませんでした。


もしかして
東京が怖いというのは
こういうことだったのでしょうか?






東京という場所は
見えない不思議な力で体を操られる
恐ろしい場所だったのでしょうか?




私はこれから東京の操り人形として生きていかなければいけないのでしょうか?



お父ちゃん、お母ちゃん、姉さん、弟、じいじ、アッチャン、シュウくん、カズマくん、今までありがとう…

私は今日から東京の操り人形として生きていきます…






私は見えない不思議な力で
どんどん体を出口へと引っ張られていきました。




されるがままに
体を操られているなかで
あることに気付きます。




私の体は、先ほど隣にいた
あのリクルートスーツの女性の方向に引っ張られていることがわかりました。






なぜかというと










私の耳につけたイヤホンのコードが
女性のカバンにガッチリと引っ掛かっているからです。



私は耳からイヤホンが外れるのが嫌なので
耳にしっかり引っ掛かるタイプのイヤホンをしていたので、なかなかイヤホンを外すことはできません。



女性は私のイヤホンのコードが
カバンに引っ掛かっているとは知らずに
涼しげな顔で電車から降りようとしました。




私は、この女性に
犬の散歩をされるかのように
引っ張られていきます。




このままではこの女性のストーカーになってしまうので必死にイヤホンのコードを
カバンからほどこうとしました。







しかし、
それに気づいたのか
女性は振り返り私を見ました。





世にも恐ろしいものを見た時の顔をしていました。





当然です。




後ろから前屈みで
ティラノサウルスのような歩き方で
まりもっこり顔した男が
必死にカバンを触ろうとしてきているのですから。





もうこれは一種の犯罪だと思われても
仕方ありません。


私は女性に通報されて
一生牢屋の生活になること
覚悟しました。





無駄な抵抗だとわかっていながらも
女性に
「イヤホンが…、イヤホンが…」
と涙目になりながら何が起きたのか話そうとしました。




すると、その女性は
全てを察してくれて
「あ!ごめんなさい!」と謝りながら
イヤホンをカバンから外してくれました。


大変申し訳ないことをしてしまいました。





数日後、地元に帰省したとき
田舎のみんなに東京は怖いけど
優しい人もいるって熱弁しました。






高校生の頃にも電車でやらかしたエピソードがあるので、もしよければこちらもお読みください↓↓


この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?