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バレンタインと催眠術

あと、数日でバレンタインですね。
バレンタインといえば、愛の日です。
この特別な日に、
愛が実る人。
愛が叶わない人。
愛を確かめる人。
様々な愛のカタチが出来上がるのでしょう。

~皆さんは、今までバレンタインでどのような愛のカタチを作ってきましたか?~

私は、バレンタインに苦くて苦くて苦くて苦くてそしてさらに苦くて、今思い出すと吐きそうになるぐらいゲロ不味い愛の思い出があります。


あれは、高校1年生のバレンタインデーでした。
当時、私には好きな人がいました。
笑顔が素敵で、クラスの人気者のミサコちゃんです。
そんな、ミサコちゃんが私に気があるという噂が広まりました。
私は、人生の絶頂でした。
初めての彼女ができるかもしれないと心が踊りました。

バレンタインデー当日、私はウォークマンでお気に入りの音楽を聴きながら電車に乗り学校に向かいます。
混んでて座れませんでした。
仕方なく吊革を掴み、立つことにしました。

しかし、その時奇跡が起こりました。
なんと私の前にミサコちゃんが座っていたのです。

ミサコちゃんは私に気づくなり、前髪を整えていました。女性は好きな人の前では前髪を整えると聞いたことがあります


当時、私は坊主頭でしたが
急いで私も前髪を整えました。
心臓がバクバク高鳴ります。
私の心臓は口からだけでなく、耳、鼻、尻、ありとあらゆる穴から飛び出しそうなぐらい暴れていました。

私は、青春を力いっぱい噛み締めていました。
しかし、突然電車が大きく揺れたのです。
緊急停止ボタンを誰かが押したようです。

私は、突然の揺れに転びそうになりました。
なんとか耐えましたが、ウォークマンがポケットから飛び出てしまいました。

私の耳を起点に、イヤホンに繋げられたウォークマンがミサコちゃんの目の前に宙ぶらりんになりました。
ミサコちゃんは、宙ぶらりんのウォークマンを右、左、右、と目で追いかけます。

今の私は、まるで5円玉を紐で結び揺らす催眠術師です。
しかも、私は当時萌え萌えアニメの曲にハマっていたので、ミサコちゃんの前で揺れるウォークマンの画面には萌え萌えポーズの美少女が映し出されていたのです。

ミサコちゃん、お願いだからそんなにマジマジとウォークマンを見ないでください。



その後、私とミサコちゃんの関係がどうなったのか言うまでもありません。

私は、バレンタインデーになる度に
淡い恋を思い出し苦しくなるのです。

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