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エッセイ

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#旅

旅から眺めるエコ④:省パッケージコスメ

2022年の9月にフランス、イタリアを訪れた際、「旅から眺めるエコ」と題して、いくつか環境に関するトピック(ゴミ削減など)をお届けしたが、今回はその2023年版。 私はオーガニックやナチュラルなプロダクト、もしくは環境に配慮したコンセプトを持つお店が好きで、旅先で覗くの楽しみの一つにもなっている。 今回(2023年9月)のフランスとイタリア旅行では、あまりお店を見て回る時間もなかったのだが、その中でも気になって購入したものがあり、紹介したい。 それは省パッケージのプロダ

エコチャレンジ: 布のテーブルナプキン

生活や旅の中で、エコについて考えたことや選択を不定期に文章にしています。今回はティッシュペーパーの代わりに布製ナプキンを用いる試みです。 1. 日本のティッシュペーパーは安すぎる?こないだ、ティッシュペーパーの値上げに関する記事に付随して、そもそも外国ではティッシュが高いというコメントがあった。その人はアメリカを例にとり、箱ティッシュの3個パックが5ドルほどで、日本の倍近くする。日本では高品質なティッシュが安価であるが故にティッシュの消費量が多いとあり、なるほどなと思った。

マティス展:ペルピニャン〜コリウールの思い出

上野でマティス展が20年ぶりに開催されているというので、フランスへの懐かしさから観に行った。 *** 南仏のプロバンス地方(エクス・マルセイユ地域)に住んでいた時に、スペインに近い西側沿岸の街を何日間か旅行した。友人と一緒に出発し、途中から別れて一人ペルピニャンに滞在し、フォービズム発祥の地と言われているコリウールを訪れた。 カラフルな家々が立ち並ぶ町並みは、フォービズムの色彩に影響を与えたと言われているが、小さな入江の静かな町というほかは、これといった印象もなく、劇的な

旅から眺めるエコ②:詰め替え、量り売りの店

ベルガモの街は、丘のふもとにある駅を中心とした新市街・チッタ・バッサ(低い街の意、ベルガモ・バッサとも)と、世界遺産である丘の上の城壁都市チッタ・アルタ(高い街の意、またはベルガモ・アルタ)とに分かれている。ガイドブックに載り、主に観光客が訪れるのは主に旧市街チッタ・アルタの方であるが、夕方駅についた後、宿泊したホテルのあった新市街を散策してみると、かわいいカフェや、セレクトの本屋、ギャラリー、などこだわりのありそうな、個人の店が点在してなかなか楽しい。(ただし、地方都市なの

ナタリーとの再会

マルセイユに着いたので、エクスにいるナタリーに連絡をいれた。 南仏のエクス・アン・プロヴァンス(通称エクス)に留学していた頃の、かつてのクラスメートはもう散り散りになってしまって、エクスで会えるのは、語学学校の担任だったナタリーだけになってしまった。 大柄でマットな肌、黒髪のショートカットのナタリーが、ゴルチェのGパンを履いて大股で教室に入ってくる姿が今でも目に浮かんでくる。彼女の講義での言葉はいつも、フランス語の教職や文学への愛が溢れてキラキラしていた。そんなナタリーと卒

旅のはじまり

いくつもの昼と夜との境を横断していく。 刻々と変わりゆく世界の中を、船は進んでいく。 今回の旅はそんな風に感じながらはじまった。 機内食のフォーク類からプラスチックが一掃されていた。メインの皿など、機能的に必要なものには残されていたが、フォーク類は木製、それらをセットしている袋は紙製になっていた。朝食はマチのある紙袋の中に、紙のランチボックスに入ったホットサンドやフルーツ(こちらはプラ容器)などがセットされており、何だかピクニックのようでかわいらしい。経費節減か、食事の味は

団子坂巡り(鷗外記念館を目指して)

根津の駅から千駄木へ続く坂道(不忍通り)をぼちぼちと上がり始めたが、車が多くせわしい割に歩道が狭い大通りよりも、脇道からのぞく住宅地に引き寄せられるようにして、フラフラと道を逸れていくのは常である。店や、その他特段見るものがなくとも、知らない土地の、人々が生活している界隈というのは、心惹かれるものがある。その先に何か素敵なモノが待ち構えているような気がして心が踊り、いそいそと足を踏み入れるのである。 根津には前の晩についたばかりで、地図上の位置関係は把握していても、現実の方

サンドイッチ_1

フランスに行く楽しみの一つは食べ物で、やはりパン、チーズ、ハムなどはうまい。味の密度が全然違う。そして日常食なので安い。 そしてバター。ブルターニュの塩がたっぷりと効いたバター。それらを使ったクッキーなどの焼き菓子。そして、種類が豊富で値段も手頃なハチミツ。 パン、チーズ、ハム、バターなどの基本食は、混ぜ物が全然入っていない。原材料はいたってシンプルで、素材の味がする。 それらを総動員してつくるサンドイッチもこれまたうまい。 日本にいるとサンドイッチなんて食べたいと思わない

行動する国、フランス

https://jp.reuters.com/article/france-protests-poll-idJPKBN1O30S0 そういえば、フランスという国に興味をもったきっかけはデモだった。 初めての海外一人旅。憧れの南仏と、落ちこぼれの第二外国語と。 3月のコートダジュールは曇り。 閑散期の静けさと、グレーの海に拍子ぬけ。 そろそろ進められる、旅の歩み。 ニースを拠点に各駅停車の電車で、周辺の村を回る。 何も起こらないけど、一人異国にいるというだけで、相

パリ 始発まえ、

去年の夏、朝イチでパリからマルセイユへ向かうため、始発のメトロを待っていた。 前の日に駅へ時刻を調べに行って、確か5:30過ぎが始発だったように思う。少し早く着いて5:00過ぎ、すると、電光掲示板には始発より早い5 :10と5:20の表示が。 構内には列車を待っている人がちらほら。 私は少し離れたところから、アフリカ系の若い男の三人組を見やった。アフリカ系といっても色々いる。彼らは、ヒョロっと背が高いタイプ。引き締まった筋肉がチョコレートブラウニーのように黒光りし、美しい