12/20発売「怪と幽」18号 特集について
「怪と幽」はKADOKAWA発行のお化け好き専門誌で、私は編集業務や記事作成などで協力しております。12月20日に18号が発売されたばかりなので、本日から数回にわたり内容をご紹介していきますね。
本日は特集について。
特集の内容は以下の通りです。
【ルポ&エッセイ】有栖川有栖と行く幻想鉄道旅
【新作怪談】一穂ミチ 「もう忘れます」
【ルポ】澤村伊智×田辺青蛙とめぐる廃線敷探訪
【インタビュー】三上 延 「内田百けん「阿房列車」の魅力 ―鉄道旅と怪異―」
【寄稿】伊藤龍平 「鉄道怪談 今昔物語 ―「偽汽車」から「きさらぎ駅」まで―」
【駅ガイド】村上健司 「日本全国 妖怪に会える駅ガイド」
【対談】竹本勝紀×登龍亭獅鉄 「鉄道員が語る怪談」
【ブックガイド】千街晶之 「鉄路は異界へと続く ――鉄道怪談傑作ガイド」
【名作怪談】江戸川乱歩 「押絵と旅する男」
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【グラビア】霧にむせぶトンネル駅
私はこのうち「有栖川有栖と行く幻想鉄道旅」のルポ記事と三上延さんのインタビュー記事「内田百けん「阿房列車」の魅力 ―鉄道旅と怪異―」を手がけました。
前者は、有栖川有栖さんに同行してえちごトキめき鉄道の旅をするという僥倖に恵まれ、ほぼ半日楽しいひと時を過ごした際のレポートです。
有栖川さんは日本ミステリ界きっての乗り鉄でいらっしゃいますが、私も実はプチ乗り鉄でして、今回訪れた筒石駅はあこがれの地でした。そんな場所を大好きな作家さんとご一緒できるんですから、これはもうご褒美仕事以外の何物でもありませんでした。
と、個人的なうれしさはさておき、旅のあれこれはぜひ本誌でお読みいただければと思います。なぜ、今号に江戸川乱歩 「押絵と旅する男」が収録されたのか。そのあたりの謎も、有栖川さんのエッセイを読めばわかるかと。ふんだんな写真も見どころですよ。
日本文学史上、嚆矢にして最高峰の乗り鉄が内田百閒であることは疑いようもありません。なにせ本邦初の乗り鉄随筆「阿房列車」シリーズを書いた人なんですから。
でも、あれはあくまで鉄道エッセイで「怪と幽」はあまり関係ないのでは? と思ったあなた。それは早計というものです。実は、ところどころに怪しくて不思議なものが入り混じっているんですよ。
そのあたりを、百閒を心から愛する三上延さんに解説していただいたのが「内田百けん「阿房列車」の魅力 ―鉄道旅と怪異―」です。
百閒を知り尽くす方から「阿房列車」の魅力を直に伺えるなんて、こちらも一百閒ファンには過ぎたよろこびでした。
どちらも読みごたえばっちりなので、ぜひに。
また、年が明けて1月6日発売の「ダ・ヴィンチ」誌では、今回の特集に連動する形で、初の実話風怪談「もう忘れます」を寄稿された一穂ミチさんと有栖川さんの対談記事が掲載される予定です。こちらもまとめを担当させてもらいました。併せてお目通しのほどを。
なぜお化け雑誌で鉄道特集? と首を傾げた方には伊藤龍平さんの解説を、さっそくお化け鉄道旅をしようと思った方には、村上健司 さんの「日本全国 妖怪に会える駅ガイド」と千街晶之 さんの「鉄路は異界へと続く ――鉄道怪談傑作ガイド」をお勧めします。何ごとも知識があるとより深く楽しめますし、良きガイドは良き旅に連れ出してくれます。
竹本勝紀さんと登龍亭獅鉄さんの対談は 「鉄道員が語る怪談」は怪談実話好きにはたまらない内容です。澤村伊智さんと田辺青蛙さんが共に廃線を探訪して各々書かれたルポ記事は視点の違いがおもしろい。
なお、鉄道マニアの世界には「廃線鉄」というジャンルがあることは、念のため明記しておきます。
鉄道好きなら楽しめること請け合い、それほど興味がなくてもきっと怪しい鉄道に乗りたくなる特集です。
お読みくださいね!