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癸卯葉月 処暑 四国行 夏休み編その4

廿八日 午後
予土線で伊予から土佐へ。土佐は20年ぶりぐらい、けれどもこのルートで行くのは始めてである。そのまま高知まで突っ走るという手もあったのだが、今回は途中の江川崎駅で下車し、一泊することにした。

お目当ては四万十川だ。長年、一度は見てみたいと念願していたのだ。

日本最後の清流

「最後の清流」と名高い四万十川は同時に暴れ川でも有名である。穏やかな流れが一旦ことが起こると橋もなにも破る激流に豹変するという。
よって、上流には「沈下橋」と呼ばれる簡易橋が架けられている。欄干もなにもないコンクリート打ちっぱなしの無愛想な姿は、流れてもすぐ再建可能という実利最優先のデザインによるものだ。だが、それがむしろ用の美となり、景色にここにしかない風情を与えている。

沈下橋
緑映る水面

景色を見ていたら覚えず口をついて出てきたのは井上陽水の「少年時代」だった。

夢に見た 清き流れの夏模様

本当なら泳ぎたいところだったが、さすがに一人川遊びは危険過ぎるので、しばし足を水につけ涼を楽しむだけに留めた。大人になると、何事もつまらなくなる。

夕食は「口の四万十川探求」と洒落込んで、四万十川の鰻を奮発した。

うな重

ただし天然物ではなく、養殖。四万十川も近年不漁が続いているそうで、名物の川エビや鮎などは口に入らなかった。近年は各地でこの手の話を聞く。私達はすでに戻れない橋を渡ってしまったのだろう。

夜は満天の星空を楽しむつもりが日が暮れると雲が出てしまった。
心残りができたので、いつか再訪したい。

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