SVB、シルバーゲートキャピタル破綻がマーケットに与える影響

週末の米国株は大幅安となり、日経平均先物の夜間取引も大幅安となっている。背景は、金融持ち株会社のSVBフィナンシャル・グループが資金繰りに苦しむ新興企業からの預金減少を乗り切るために株式売却を発表、その後3/10(米国時間)で経営破綻になったことや暗号資産業界の苦境を受け経営難に陥っているシルバー・ゲートキャピタルが任意清算することを発表したことで、米金融株が急落したことが影響しているようだ。
 この影響により仮想通貨が軒並み暴落、米国市場では金融関連株が下げを主導する結果となっている。
 まず、この点に関して結論から言えば、これを理由にした日本株に対する投機の売りは、当然ながら投資にとっては絶好の好機以外の何ものでもないということである。
 そもそも価値が乏しい暗号資産に投機資金が群がることで、ビジネスの好機と捉えて群がった一部の企業がブームが去ったことで、これまでの拡大路線経営が裏目に出ているだけの話である。価値がないものに大きな価値があると壮大な勘違いをした連中の宴が終わっただけである。
 仮想通貨に対する規制強化や市場の影響に対して、当局から何度も警告がなされていた上に、既に既存の大手金融機関はリーマン・ショック後の規制強化で、過度なリスクを取れなくなっている。よって、これによる米金融システムへの影響は極めて限定的である。そもそも大きな影響があるなら、FRBは利上げを終了し、逆に利下げに転換するだろう。でも、そのような可能性はないだろう。
 既存の大手金融機関が過度にリスクを取れなくなったことが、逆に金融ビジネスを行う新興企業の参入を容易にしたので、暗号資産に対するリスクを過度に取っていたのだろう。しかし、既存の大手金融機関の株価が投機の狼狽売りで下がったとしても、本源的価値への影響は極めて限定的だろう。そもそも、仮想通貨の暴落でも実体経済への影響が極めて限定的だからである。

ここから先は

2,401字

¥ 390

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?