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米国債ショックで株安は投資のチャンスでしかない理由を解説

日経平均株価は33,000円回復、TOPIXも年初来高値を更新し、再び上昇基調を強めていた矢先に、米格付け会社フィッチによる米国債格下げ報道で投機の妄想売りが発生。日経平均は3日で約2,000円近く下落する急落相場に発展した。
 また8/4の米雇用統計で平均時給の伸びが予想を上回る前年同月比+4.4%を記録。これによりサマーズ氏の賃金上昇が高すぎる発言でNY市場はインフレ再加速による継続利上げ懸念により引けにかけて急落した。8月に入り世界的に株安の流れとなっている状況だ。
 まずは結論から言っておくが、米国債の格下げで金利が上昇したことで、グロース株に売りが出た反応をリスク・オフと市場関係者は解説しているが真に受けないように。このような解説を真に受けているレベルだと、いつまで経ってもリテラシーは向上しない。当然、今回の投機売り局面も、投資にとっては絶好の好機と判断できるため、逆張り投資で対応すればよい。現在発生している急落時点から、好機だと断言してもいいだろう。
 まず、現在の国際政治の環境下で経済危機が起こる可能性は皆無であり、今回の下落もこれまでの短期急落同様にバリュエーションを低下させるだけのイベントで終わるため、どのように解釈しても、投資にとっては好機なのである。
 そもそも格付け会社の先進国のソブリン債に対する格付けなど、いい加減であることは常識レベルの話だろう。
 イエレン財務長官が「格下げには根拠がない!」と反論しているが、これは当然の反応である。また、こうした格下げによる政治の反論は、今に始まったことではない。実は過去に日本でも外資系格付け会社の格下げに対して、普段は財政懸念を吹聴する財務省ですら、格付け会社に猛烈に反論していた。
 一部の市場関係者が指摘するように、格下げが市場に影響を与えたようにみえるが、昨年からの米国市場の反応をみればわかるように、格下げで反応しているのではなく、金利上昇でグロース株の一部にポジションのクローズが発生しただけの話だろう。
 米国株は、金利に反応して動く傾向が高くなっている。ポートフォリオ戦略の比率が高くなっている分だけ、債券市場と株式市場の相関関係も高くなっているのだ。その相関をベースにした機械トレードの比率も高い。しかし、このトレードは、毎度ながら最終的には失敗する。そもそも、今回の金利上昇は、ファンダメンタルズの悪化をもたらさないからである。
 以下でその理由を解説する。毎度急落が起きるたびにビビッて投資のチャンスを逃す個人投資家の皆さんはぜひ読んでいただきたい。


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