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マネゴリ相場展望レポート①

【調整相場最終局面か?】
 日経平均は、7月に入り下落日が僅か3日で、堅調な動きを維持している。特に直近の戻り局面では、グロース株が相対的に堅調となっているが、その流れが今後も続く可能性が高いだろう。7/19の米国市場では、SOX指数が4%超の大幅高となっていることも買いをサポートしている。エヌビディアやAMD、クアルコムなどが大幅高となっており、東京市場でも半導体関連が特に堅調な動きとなった。
 米金利は、来週のFOMCを控えて再び10年債利回りが3%を超えてきているが、既にポートフォリオのリバランスも大きく進んでいることもあってか、市場の反応は以前と明らかに変わってきている。
 年初から続く急落相場は、市場金利の急上昇によるポートフォリオ・リバランスがベースなので、株式価値の毀損リスクがそもそも乏しいだけに、リバランスが一巡すれば、バリュエーション調整も大きく進んでいるので、下値リスクは徐々に後退する動きとなるだろう。ただ、グロース株の戻りは継続しているものの、昨年のような大幅に上昇となる環境でもない。よって銘柄選定が重要になる。利上げ一巡までは、クオリティ株と割安のバリュー株投資を引き続き意識した投資戦略が有効となりそうだ。
 
 そもそも今年のリスク資産の大幅な下落は、過去のような景気悪化が深刻化し、株式価値の毀損を意識させるようなものではなかった。ただ、一部の銘柄の下落率は、過去の弱気相場を意識させるほどの下落率となったため、経済・政治・マーケットに対する理解力が乏しいメディアや一部の市場関係者は、この反応に対してネガティブな捉え方をしていた。今年の急落は、市場金利の急激な上昇に伴うポートフォリオ・リバランスが背景であり、株式価値を大きく毀損させるほどの景気悪化(経済危機)にはなりえないことから、急落はバリュエーションの低下をもたらすだけのイベントであり、急落は投資にとって絶好の好機となっていた。本質が理解できるだけの知識がないと、リスク資産の変動だけで思考が停止してしまい、論理的思考力が欠如し、折角の投資の好機も生かせなくなるので、しっかりと経済・政治・マーケットの本質から理解した方が良い。
 米国株は、リーマン・ショック後のボトムから10年以上も半年にも亘るような大幅な調整を経験してこなかった。だから、本質が理解できないと、本気で弱気相場が発生していると勘違いしてしまうのだろう。しかし、今年に入って、株式価値を投資の判断基準とするようなバリュー投資家は、逆に積極的に投資していたはずだ。直近もウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハザウェイは、オキシデンタル・ペトロリアム株をさらに追加取得していただろう。エネルギー需要は、今後も拡大することは、人口増加が続く社会では当然のことだが、これまではグローバル化がエネルギーコストの上昇を抑制していた。しかし、ウクライナ問題によって、この環境が激変してしまった。
 しかも、欧米は、ウクライナ問題を収めるどころか、さらなる対立を煽り、エネルギーコストの引き上げを自らもたらしたのである。なお、ウクライナ問題により、グローバリズムは完全に終焉したことは意識しておくべきだろう。もう元に戻ることはないのだ。そもそもグローバリズムの崩壊は、その仕組みからして自明の理だったのである。何故なのか?それは自由が行き過ぎたからだ。自由の名のもとに競争が激化すれば、社会は必ず不安定化する。理由は競争により大幅な階級格差が発生し、それが社会を不安定化させる。資本主義では当然の流れだ。その社会の大きな変革を理解できずに、未だに新自由主義的政治・経済システムの思考のままで経済や政治、マーケット分析をしている市場関係者が大半なので、まともなマーケット分析にならないのだ。しかし、資本主義の本質から理解している投資家たちにとっては、政治が経済に積極的に介入し始める社会になった時点で、過去に発生したような経済危機が発生するリスクは乏しいことを理解している。株式価値が毀損しにくい社会に変化したことを理解しているので、株価の急落初期から積極的に投資を行っているのである。社会の大幅な変化の背景を理解できない投機家たちは、相変わらず株価指数の変動率や一部の経済指標のモメンタム分析をベースに投機判断をしている。しかし、社会が大きく変化しているので、残念ながら彼らの分析の質は大きく低下している。

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