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バレンタインデーに唯一無二の贈り物とは?

2月14日はバレンタインデー。

イタリア語では、giorno di San Valentino。
元々は、273年2月14日にローマ皇帝の迫害によって殉教したサン・ヴァレンティーノ(聖ウァレンティヌス)の記念日。

イタリアのバレンタインデーは、カップル/恋人たちがお祝いする日となっていて、お互いにプレゼントを贈りあったり、食事に行ったり(レストランではバレンタインメニューを提供するところも)、もしくは、家でもちょっとしたご馳走を用意したり……というのが一般的な過ごし方だろうか。

何年も前のエピソードになるが、いまだに印象に残っているイタリアでのバレンタイントピックをひとつ。

ある年のバレンタインデーの日に、スーパーのレジで並んでいた時のこと。レジの順番が回ってきたシニアのシニョーラ(ご婦人)が、レジ係の女性に話しかけていた。

「朝食の時に、夫に『今日は、バレンタインデーじゃない!あなた、何をくれるのよ!?』って言ったの。そうしたら、彼、何て言ったと思う?『ボクの存在(la mia presenza)さ!』ですって!(笑)」

その話を耳にしたその場にいた人たちの間にドッと笑いがはじけた。

これは、ロマンティックな返答をねらったというよりは、物質的なプレゼントは何も用意していないけれど、咄嗟にエスプリの効いたコミカルな返答をしたということだと思われる。
すっかりツボに入って、そのご主人には座布団を何枚かあげたいぐらいなのだが、よくよく考えると、おもしろいだけではなくて、深い返答でもあると気が付いた。

長い間一緒に連れ添っていて大切な相手だったら、もしくは、付き合いは長くなくても大好きな相手だったら、プレゼントやご馳走よりも何よりも、その人がそこに存在すること自体が、やはり一番貴重なのだと。

生きている間に別れることもあるかもしれないし、そうでなくてもどちらかの死がふたりを別つということは、目の前に「その人が存在する」ということが当然でも不変でもないことを表すのだから。


バレンタイン時季のパスティッチェリアのショーウィンドー

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