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コンビニスイーツにおけるモンの可能性

ローソンというコンビニがある。青いストライプのシャツが印象的な、ロールケーキを筆頭に、コンビニスイーツの雄という雰囲気がある。noteにもアカウントがある。

毎年のようにモンブランを食べている僕としては、コンビニスイーツにおけるモンは、コンビニとしての常備品ならぬ、常備スイーツ的な立場だと思っていた。

季節になれば、ちゃんと出しますよ的な、無難なモンがコンビニの特色でもあった。毎年食べているが、コンビニ毎の味の違いはあれど、同じ店で出てくるモンは、あまり変わり映えしないものだと思っていた。

しかし、ここ数年、モンのアレンジ商品が増えている。菓子パン、どら焼き、マリトッツォ(懐かし!)、大福、パフェ、アイスクリーム。モンの風味を出す技術(主に香料だと思う)が進化し、また安価になっているのだろう。

定番の栗を材料にしたモンを離れて、芋やカボチャ、チョコや抹茶のモンも軒並み登場している。

そんな中で、ローソンの存在感は際立っている。昨年も感じていたが、おしゃれスイーツへの挑戦が鮮やかなのである。

昨年、スティックケーキのモンを出した。チーズケーキが定番の棒状のケーキに、マロンクリームを載せたのだ。写真で見るとそれはとても美味しそうだったけれど、実際に買って食べると、思惑からはやや違った結末になった。

スティックケーキは食べやすい大きさが信条だが、トッピングのマロンクリームがアダとなって、食べにくかった(個人の感想です)。横に倒せばクリームが落ちるし、首をぐいっと傾けるのも無粋である。何にでも成功と失敗はある。

そして今年、ローソンはさらに仕掛けてきた。

まだ夏の暑さも引かない頃、暑さに弱いチョコとコラボしたモンを出した。名門ゴディバ監修のモンは、チョコソフトクリームを絞ったような見た目だった。

食べてみると、単純なチョコの味ではない、苦味と甘味のバランスの良い大人のチョコの味がした。クリームの油っぽい”もったり感”を、カカオの爽やかさが打ち消していた。ただ、素材の変化がないため単調になるのではと思った矢先、モンの中に隠れていた。

隠れていたのは、こっくりと甘く、洋酒の香りがほのかに残るマロンクリームであった。…やられた…(何に?)この発想は見事だった。しっかり栗の存在感もありつつ、クリーミーなチョコとのバランスも良かった。マロンクリームが、他にはないくらい濃厚さがあったことも、台のココアスポンジも、ちょっと日本にはない雰囲気だった。

さすがゴディバ監修である。モンに乗ったチョコのプレートは、ゴディバ製なのかな…などと考えながら、唸った。しかし、また食べようとお店に行くと、これまた攻めたモンに出会うことになった。

モンのアレンジのしやすさと奥深さは兼ねてから書いているが、店頭で見かけたのは、これまでの”モンはマロンクリーム”という常識を覆すものだった。

かつて、CDプレーヤーのクリーニングディスクという商品があって、それにはディスクの表面についたブラシに薬液を垂らして回す湿式と、何も付けずに乾いた状態で回す乾式というものがあった。

これまでのモンのマロンクリームが湿式なら、ローソンのモンは乾式とも言えるものだった。飾りではなく、メインとしてマロンクリームの代わりに栗の粉が載っていたのだ。

数年前、カップ入りのケーキがコンビニで多く見られたことがあった。他者が透明なカップで断面を出して売っていたが、ローソンはカップ自体を真っ白にして、中が見えない仕様することでおしゃれさを出していた。小さなカップで、こだわりのモンを出していたこともあった。

カップ入りであることを生かしたのが、今回の”栗粉のモンブラン”だと思った。商品名に載っていることから、和栗を使っていて(ローソンは兼ねてから和栗を使っていた)、しかも嵩を増やせるクリームとは違って、素材そのもに近い”粉状”にしたところは、挑戦的すぎて目眩がする(誰だ)。

モンに載った”粉状”の和栗は、僕がマロンクリームに求めている”ザラ感”そのものだった。やや甘みが強く添加されている印象だったけれど、栗のほっくりした食感に近く、ホイップとの相性も良かった。

コンビニにおけるモンというと、ホイップ系マロンクリームが主流で、ザラ感とこってり感のあるマロンクリームが好きな僕としては、いつも「惜しい」と思いながら食べるものでもあった。今回の栗粉のモンは、果たして新鮮だった。

和食の特徴として、口内調味というものがある。文字通り、口の中で味を調えるというもので、素材の味わいを混ぜ合わせて、料理を味わう方法でもある。今回のモンは、それをケーキで行っているような感覚になった。

栗の粉とホイップが混ざり合い、モンを食べた時のマロンクリームの感じが再現されていた。欲を言えば、もっと栗の粉を載せて欲しいとは思いつつも、新しいモンを発見した気分だった。

まだ秋も始まったばかりで、2種類のモンを出してきたローソン。近所にないばかりに侮っていたが、さすがである。栗粉のモンも、すぐに店頭から無くなってしまったようで、あれ?もうないの?と思っていた矢先、店頭の棚に定番のドーム型のモンがしれっと並べられていて、声を出して驚いてしまった。

隙間を縫うように、昨年とても印象的だったマロンクリームのタルトも復活していて、これも慌てて食べた。タルトの底にあるマロンペーストの存在感が増していて、さすがだなと、ひとり悦に入る。ローソンのスイーツへの情熱を感じた。

ふだんの投稿の2倍以上の長さになっている。ドーム型のモン、についてはまだ食べていないので、書くことができないでいる。読み手の方は「助かった」と思われたかもしれない。僕も、ドーム型を食べてから投稿しようと思ったけれど、こんなに長くなってしまったので、やめておく。

ローソンとモンの凄さを感じてもらえたのであれば満足である。




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