人間を滅ぼすのは誰だ #書もつ
毎週木曜日は、読んだ本のことを書いています。
言わずもがな、まだまだ先が見えない状況なのと、もう以前とは違う世界になっているのだという諦観にも似た感情が、巷では渦巻いています。
以前、読書感想文を投稿した「世界は贈与でできている」に引用されていた、日本におけるSF小説の大家である小松左京の作品を読みました。
復活の日
小松左京
SF小説は、時に現実逃避ですが、場合によっては現実透視のような、実現してしまいそうな恐ろしさを秘めているものです。
新種のウイルスがみるみる世界を飲み込み・・という設定は、いま笑って読むことは出来ない切迫感でした。
読み始めてから、おや?と思ったのは、話の内容ではなく、章立ての体裁が歪(いびつ)だったということでした。
未知のウイルスが広がり、驚異的なスピードで世界中の人々を殺していく様が、延々と続くのです。ざっくりいうと物語の2/3が、そんな感じ。
さまざまな国で起こる現象、政治家の思惑、そして科学的な解明劇、さらにはキーポイントになる南極での活動など、それなりに登場人物が現れては死んでいく、あるいは生きていく、そんな繰り返しに、リアルさが増して、背筋が冷たくなるような感覚を覚えながら読み進めました。
未知のウイルスという敵と戦っているのかと思いきや、実はその後ろには「人間の憎悪」と表現される恐ろしい核兵器が隠れていて。その気付きからの展開が緊張感が漲って、早く読まなければ世界が滅びてしまうような、焦りを覚えました。
地球の歴史上、わずかな期間しか生きていない人類が、地球を我が物のように扱っているような現代に、大きな一石を投じる作品でした。
人類が滅びるかも知れない、とようやく気がついた時、残された人間は何をすべきなのか。それは、もっと手前でも実現できるのではないかと、これからの世界に希望が持てる、読み終わりでした。
今こそ読んだらいいのにと思いつつ、怖すぎて読むと外に出られなくなるかも、とも思ったり。
作中で、マウスが異常に死んでしまう描写がありましたが、サムネイルのマウスが示唆的に見えてきました。 infocus📷さんありがとうございました。
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