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連れて行こう、あのサバンナへ(ちょっと長い)

5歳になったらライオンキング

確かこれは、僕が一番よく観ていた時期の、劇団四季の「ライオンキング」につけられていたコピーでした。テレビでCMをしていた、そんな時代。

劇団四季は、日本を代表する劇団です。全国に専用劇場があり、毎日のように各所で公演が行われています。数々の演目の中でも、ディズニー作品のミュージカルは、どれも必見の価値があります(と信じています)。

そうかそうか、自分の子どもが5歳になったら「ライオンキング」を観せよう、と思ったものです。(検索しても見つからないので、何かを勘違いしたかも・・笑)

ただし、その頃は、相手どころか恋人もおらず、いったい何年経ったら実現できるのかという思いもありました。

当時、僕は、「ライオンキング」だけではなく、同じネコ科の動物が主役の「キャッツ」にハマり、大崎、そして横浜に通いました。おそらく、毎週のように劇場に足を運んでいました。

ライオンキングは、もともとディズニーのアニメ映画ですが、ミュージカルとなって日本では劇団四季が公演を始めてから25周年を迎える作品。アフリカのサバンナを舞台にしたライオンの王子の成長物語という趣き。人間とパペットが動物を表現する世界観がとても印象的です。

僕の四季デビューは、「キャッツ」でした。もちろん、舞台を踏んだわけではなく、観たのですが(笑)。ミストフェリーズ役の俳優さんが果てしなく黒猫のようで、驚愕したことを思い出します。

そんな初観劇で、終演時に「イエイ!」と叫んでしまいました。学生ジャズバンドの演奏を褒めるときの掛け声として、その界隈では一般的だったため、そんな声を出してしまいましたが、恥ずかしかった・・。

友人とともに品川区・大崎で公演していた「キャッツ」に行ったときには、客席に芸人の“大西ライオン氏”を発見し、パンフレットにサインをもらいに行ったこともありました。(大西ライオン氏は、ライオンキングの主役の真似が持ちネタだった・・のにキャッツって!)

この人。客席では、服着て、普通の帽子でした。

もちろん、多くの人が熱狂したであろう「ウィキッド」も、何度も見にいくことができました。僕の誕生日が、四季の初演日だったこともあり、誕生日に観劇に行って、2周年記念の緑色のカーネーションをもらって帰ってきたこともありました。

オリキャス(オリジナルキャスト:初演時に演じた人)のエルファバの俳優さんを追いかけて(演目は「マンマ・ミーア!」でした)広島まで行ったこともありました。

職場が、四季劇場のどこにいくにも便利な場所にあったのをいいことに、「コーラス・ライン」の初日や、「李香蘭」、「異国の丘」などの作品や、55周年の特別ショーも観ました。「コーラス・ライン」に出ていた俳優さんが、翌日観た「ライオンキング」に出ていたりしたこともありました。

札幌公演を観た帰りには、千秋楽を終えた俳優さんたちと同じ飛行機になったりしました。僕の後ろの席には、「キャッツ」のスキンブルシャンクスを演じていた方が座っていて、嬉しかったなぁ・・。

「アラジン」の初演抽選にも見事に当選したのですが、子の出産予定日の前日だったので、親族に譲りました。結局、まだ観に行けていません。

と、なんだかんだと書いていると、延々続いてしまいそうなくらい、劇団四季が好きなのです。

とはいえ、結婚してから、とんと、観に行くことは無くなってしまっていました。(実際には、2回観ましたが笑)その間に、「キャッツ」は地方に行き、あれよあれよと新作もオリジナルも始まっていました。「ライオンキング」は、浜松町から有明に引越していたのです。

いよいよ、子が5歳になった時、巷では新型の感染症が猛威を振るっていて、密室空間である劇場で、不特定多数の人と小さな子どもが過ごすことに不安もあって断念しました。当時、観たかったなぁという気持ちを書いていました。

ようやく落ち着きを見せはじめた今年の3月、チケットを予約したものの、演者が陽性になってしまい観劇2日前に公演中止の連絡が入ったのでした。

そんなハプニングから、新学期の忙しさにかまけて過ごしていたら、5歳だった子は7歳になり、あっという間に7月になってしまったのです。

そんなある日、ばあばが「上の子ちゃんとライオンキング行っていい?」と言うので、家族でも行ったことないのに・・とショックを受け、少しムッとしました(笑)

そんなことがあって、じゃあ行こう!となって、そのまま予約。せっかくだからと、ばあばも一緒に、次の週末に観劇というスピード解決でした。

今度こそ、ちゃんと観たい・・思えば10年近くも観ていない「ライオンキング」、浜松町から移転した有明の新しい劇場も楽しみでした。

有明の劇場は、りんかい線の国際展示場駅などから歩いて数分。初めての土地で、着けるか心配でしたが、駅からは謎の人波・・こ、こんなに「ライオンキング」観に行くの?と驚きつつ流れていくと、四季劇場と隣接するシアターで、KーPOPアーティストのライブがあったのでした。

劇場に着いて、お土産を冷やかしたり、キャスト表を観たりして客席に移動しました。できれば真ん中で、そして1階席でと思っていましたが、やはり人気の作品ですし、休日ということもあり、辛うじて2階席の数列後ろの中央が予約できていました。

劇団四季の専用劇場は、普通の劇場よりも観やすく設計されています。特に、2階席は列の高低差が大きく、前列の背もたれは後列の人が座ると膝くらいまでの高さ。前の人の頭がかぶって見にくいという状況が起こらないようになっています。

さすが専用劇場。1番前でなくても舞台はきちんと観ることができるのです。ただ、冒頭のシーンでは1階席の方が楽しいだろうなぁ・・という思いがあったので、ちょっと悔しいのでした。開演前のわずかの時間に舞台の緞帳を撮影。

ほぼ目線の高さでズーム無しで撮影。

久しぶりの劇場ということもあって忘れていたのですが、開演してから、その距離の近さに驚きました。今まで見てきた劇場(浜松町)よりも、舞台との距離が近く、キャストの表情がよく見えました。

久しぶりの観劇で、各場面を思い出しつつ、それぞれのキャストを観察していると、注目するポイントや重ねるキャラクターが以前の観劇の時とは違っていることにも気がつきました。

主役であるシンバの成長物語として観ていたものが、ムファサ(父ライオン)に自分を重ねるように見ていたのです。これは確実に、自分が親になったからでしょう。

さらに、ヤングシンバやヤングナラ(どちらも子役)に対する視線も、その子たちの親になったかのような謎の緊張を感じたりして(笑)

それにしても、今回のヤングたちはとても上手でした。ヤングシンバは、歌もダンスもブレることなく、発音も明瞭で、表情も豊かでした。二人で歌うシーンも、とても楽しく聞くことができました。

それまで、子どもだからしょうがない、みたいなちょっとした物足りなさがあったのですが、歌もダンスもその上手さに驚き、ひとり高揚しながら観ていました。(後から聞いたら、妻も同じ感想でした)

ヤングたちがハイエナと遭遇するシーンは、不安で怖い雰囲気が続くので、隣に座る子どももドキドキしているようでした。場面転換や音楽、踊りなど、初めての観劇で、子どもは緊張しながらも、楽しんでいました。

これまで観てきた「ライオンキング」から、少しずつ演出にも手が入っているのか、セリフが違ったようにも感じました。伝統的なセリフでは、もう今の観客には伝わらないよね、とも思いました。

王の執事である鳥が歌うシーンでは、それまでアニメ映画に合わせて「イッツアスモールワールド」が歌われていたのですが、そこも変更されていて、僕も含めて観客を笑わせていました。さすがディズニー。

子の初めての観劇を「ライオンキング」にしたのは、ストーリーの分かりやすさ(映画もすでに観ていた)、音楽の良さ、僕が何度も観ているという安心感、それはミュージカルを楽しんで欲しいという思いからでした。

変わらない価値のようなものを見出していたのですが、少しずつ変化があり、またキャストによっても、その作品の完成度の高さを実感することとなりました。さすが四季。

舞台と客席の近さは書きましたが、もしかしたら舞台も従来よりも少し小さくなっているのかも知れないとも感じました。

これを書きながら思い出した、ちょっとした不満がありました。それは、舞台上の装置が動く音がしていたということ。これも、今までと違う点でした。

僕は舞台を見に行くと、そこに仮想の世界を求めてしまうので、何となく人工的な音がしてしまうのが気になってしまったのです。いままで「ライオンキング」を観ていて、舞台の機構が変わる音が聞こえた記憶がなくて、今回はあえて効果として出しているようにも聞こえてきたのでした。


そんなこんなで思うところもありましたが、やはり、ミュージカルの良さをぎゅっと詰め込んだような作品でした。

人がキャラクターを演じるだけでなく、動物や植物になること、子と年齢の近いキャストがいること、ストーリーが明るいこと、音楽も緩急様々で、登場する動物が多いことは、見た目の華やかさを助けていました。どっさりと登場すると、いったいどうやってるんだろう?と気になるものです。

主役のシンバ役の俳優さんも声がよく、掠れ気味に歌う部分は、心の叫びを表現しているようで、切迫感のあるリアルな声だったのが印象的でした。遠吠えも、程よく長く、力強かった!

ずっと真面目なムファサと、ちょっとふざけるスカーの対比も楽しく、江戸弁バリバリのティモンの声も好きでしたし、女ことばのプンバァも何だか親近感・・。

作家により、ティモンとプンバァ(シンバの友達たち)は、公演地の方言(訛り)を用いるという演出指示があり、それを踏襲して、東京公演では江戸弁でしゃべるのです。

窮地に遭ったシンバをムファサが助け出すシーンでは、その演技だけでなく、演出上の装置のやりとりがさりげなく行われていて「これぞ親子の絆!」と、密かに感動したことも書き置かせてください。

終演後、妻と「ヤングたち凄かったね!」などと興奮気味に話し、気持ちを抑えられないままに劇場を出ると、外は真っ暗になっていました。

そうそう、観終わるといつのまにか外が暗くなっていて、日常に戻った感じになるんだった。

そんなふうに、ちょっと寂しい気持ちもありつつ、久しぶりの観劇と、家族での初めての観劇に、やっぱりミュージカルって、劇団四季って、いいよなぁと思うのでした。



あっという間に4,000字を超える投稿になってしまいました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

今度は、アラジン、アナ雪、バケモノの子・・夢はまだ続きます。


どうしても気になる、というマニアックな四季ファンのために。キャスト表、載せときます。


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