人が動くアプローチ|広告営業の視点で考える
広告の仕事をはじめて16年。
22歳のころ広告制作の仕事をしていたわたしは、いかにして人を動かすような広告を作るかということに没頭していました。
広告によってどれだけ集客できるか?
どれだけ成約率・購買率をあげるか?
このことを常に念頭に置き、流行りの写真やデザイン、ヒットしたコピーを日々勉強していました。
なのに、広告の反響はまったくの無風。
心に刺さらない、記憶にも残らないような出来栄えだったんでしょうね。
そこで気づいたのが、
小手先のテクニックで人は動かない
ということ。
テクニックは効果的だけど、やりすぎは胡散臭い
わたしはマーケティングや行動経済学の書籍が大好きです。
レジ横にあるチョコやガム…買う予定はなかったのに、ついつい買っちゃったという経験はありませんか?
これは行動経済学にもとづいたマーケティング戦略のひとつです。
ほんとだ、やってる!という気づきがあるところがこの分野のおもしろいところ。
人の行動パターンや癖・習性が様々なサービスや商品に生かされている点も魅力的です。
広告を作るうえでも、インパクトを与える言い方や、商品を引き立たせるデザインなど思考錯誤することはよくあります。
ですが、テクニックに騙されるほど人は単純ではありません。
テクニックに溺れると、先述したわたしの広告のように胡散臭さを感じ取り嫌煙されてしまいます。
「人を動かす」から「人が動く」へ
「人を動かそう」という視点はとても傲慢です。
きらびやかに加工した写真、非現実的な世界が広がっているかのように書かれた文章…ほら、こういうのが好きなんでしょ?
と言っているような商品、サービス、行動で人は本当に満足できるでしょうか?
もちろん、テクニックを駆使した広告は、認知してもらうためのきっかけづくりとして必要だと思います。
ですが納得して購入し、満足してリピーターになってもらうには、相手の欲求を引き出すことが大切です。
旅人のコートを脱がせるために、北風は風でコートを吹き飛ばそうとしました。
北風の行動は「コートを脱いでほしい」という思いがとても伝わりますが、だからと言ってなぜ言うことを聞かないといけないのか!という反発が出てもおかしくありません。
しかも北風で寒いから、脱げないように対策をしようと考えます。
コートを脱ぐ理由もなければ、コートを脱げば寒いというデメリットがあります。
つまり、わかりやすくインパクトはあるけれど、満足度は低く継続にはつながりません。
一方、太陽は光を照らし、旅人が自分からコートを脱ぎたくなるような環境を整えました。
「コートを脱げ」という行動は取っていません。
だけど、コートを脱いだ方が涼しくなるというメリットがあります。
最大のポイントは、旅人自信に気づかせ、自発的に「そうしたい」と思わせるという点です。
人は自分が考えて取った行動には納得し、よくない結果だったとしても防衛本能により肯定的にとらえる傾向があるそうです。
(「だから仕様がない…」と思うことって多々ありますよね)
人を動かそうとするのではなく、どのようにしたら人は動いてくれるのか?を考えることで、太陽のような発想が浮かんできます。
広告の役割が二極化した時代に
インターネットの普及により、広告の役割が二極化しました。
一般的な広告(CM、動画・雑誌広告など)→知ってもらう、気づいてもらうため
口コミ広告(ブログ、Twitter、インスタなど)→判断する、購入する
わたしが社会人になった2006年のころは、今ほど口コミの影響力はありませんが、それでも居酒屋を探すときは食べログを見ていたし、就職活動をしていた時はmixiなどのSNSを使って情報収集をしていました。
16年経った今はGoogle検索が古くなってきていると言われるほど、Twitter、InstagramをはじめとするSNSが生活に定着しています。
人が何かを選択し決定する時、広告ではなく口コミを頼りにすることが増えました。
誰が言ったかわからない広告よりも、頼りにしたい人・サイトの口コミの方が行動につながりやすいという状況です。
広告営業をしているわたしは、広告が簡単に売れない時代に苦しんでいますが、購入者側の立場で考えると納得して得やすくなった現代はとてもいいなとも思えて複雑な気持ちです。
が!それを逆手にとって、
知ってもらうための広告と購入につなげるためのコンテンツをパッケージにして、以前の倍の価格で提供しちゃおう!の営業戦略でやっていこうかなとプランニング中。
これも、相手はどんなものを欲しがっているのか?どんなものだったら倍額でも購入するのか?という視点に立つ、太陽の視点が大切ですね。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?