フィンランド・タンペレ小学校視察記録①🇫🇮
5月末の夏休み前ギリギリの時期に
タンペレ市内のとある小学校を訪問した。
この学校は、1、2年生とプレスクール生だけが通う学校で
3年生以降は別の校舎で学んでいる。
フィンランドは土地に対して人口が少ないので
学校への通学路がかなり遠い子も多い。
小学校低学年の子達が自力で通うために分校スタイルが普及している。
自転車に乗って通学できる子は自転車もOK。
自然が豊かで、走り回る庭もあって、とても気持ちのいい小学校だった。
1:見学内容
①プレスクール生と1、2年生みんなが集まって、夏休み前に行う保護者会で披露する歌を練習する姿を見る。(春の歌やラップ調の歌を歌っていました🎵)
②1、2年生合同クラスを見学する。合わせてで12名ほど。算数のまとめで、自分で問題を作ったり、残りのプリントをやったり、教えあったりしていた。
③図工でフェルト人形を作る様子を見学する。
④給食の時間と休み時間を一緒に楽しむ。(合計1時間くらい)
フィンランドの給食は時間が11時ごろで早い。みんな自分でビュッフェのように取って、自分でお片付けもする。(当番制で2人が最後まで片付けをしていた)
食後には、キシリトールを噛んで、校庭へみんな爆走!笑
休み時間が好きなのは万国共通だなと。
⑤休み時間の後は、体育を見学する。体操服などは無く、スポーティーな服装ならなんでもOK。
この日は、ボール遊びがメインで、ボールをキャッチしたり投げたり蹴ったり、ダルマさんが転んだ風のボールを使った鬼ごっこ?のようなゲームをしたりしていた。何度も同じ子が鬼になりそうな雰囲気の時には、先生が他の子にしなさいと注意をしていた。同じゲームをひたすら繰り返す授業だったが、子供達は汗だくになり、楽しんでいた。
⑥プレスクールの帰りの会、下校、放課後の学童を見学する。
就学前の子供達をプレスクール生と呼び、小学校の雰囲気に1年かけて慣れてもらうための期間である。そのため、日本の幼稚園でもやっていると思われるが、帰りの会があった。子供達が並んで、先生の話をきちんと聞く体制が作られていた。
放課後はプレスクール生の部屋が学童部屋になり、担任の先生ではなくアシスタントティーチャーの方が世話をするシステムになっている。学童のメンバーで何をして遊ぶかなど話し合いながら、チームに分かれて楽しく過ごしていた。女子を中心にやっていたお医者さんごっこは、実際の包帯も使いながらやっていて面白かった。(医療関係の保護者からの寄付だそう)
2:先生方にインタビュー
もうすぐご退職のベテランA先生とプレスクールの30代のB先生にお話を伺うことができた。
以下、印象に残った言葉を紹介していく。
<A先生>
・大学生の時にインターンやアシスタントティーチャーとして自分でアポをとった小学校現場で働きながら、その後採用されることが教員採用の自然な流れだということ。
・35年ずっと同じ現場で働いている。地域のみんなが教え子みたいなもの。
・特別支援の免許を持っていて、校内に必ず免許を持つ先生を1人配置するようになっている。
・「計算問題✖️プログラミング」や「国語✖️すごろく」など組み合わせて子供が楽しめる授業内容を考えている。
・最後までやり切ることを大切にしている(例:図工の作品は終わらなかったら次回もやり、終わるまでやらせる)
・多くても週24コマ、残りの12コマは授業研究や保護者対応に充てる。
<B先生>
・遊びが何よりも大切。そして、友人関係(ソーシャルスキル)をここで学んでほしいと思っている。
・選択肢を用意して、自分で選ぶことが大切。何をして遊びたいのか聞いて、その場の子供達で合意形成をする機会を作っている。
どちらの先生も共通していたことは、
子供の意見を聞くこと。
学校は安心して来られる場所でなきゃいけないこと。
子供も教員も校長もみんな平等な関係だということ。
A先生もB先生も
とても優しい雰囲気で、たくさんの質問に快く答えてくれた。
この学校はプレスクールから2年生までの子供達が通う学校だったので
日本でいう低学年の教室の雰囲気だった。
のどかな自然に囲まれ、優しい先生たち(時には厳しい)のもとで
すくすく学んでいるんだなと分かった。
日本と共通していることも多かった。
ただ子供の人数の少なさと教室に必ず先生が2人いることによって、
自由進度ができたり、個別対応ができたりする利点は大きな違いだった。
子供達は、先生の目を伺う様子はほとんど無く
良い意味で子供らしく見えた。
態度が大きい子もいるが、先生との信頼関係はしっかりとあった。
対等な関係、決して威圧ではなく。
A先生に「不登校問題はありますか?」と聞くと
『ほとんどありません』と返ってきた。
もしそういうことがあったらすぐにカウンセラーと繋がり
対応するとのこと、学校を怖いと思わせないという前提があるので
あまりそういう子供は35年間会ったことがないとのこと。
これに関しては、すごいなと思った。
環境の違い、先生のスタンスの違いが本当に勉強になった。
「誰もが安心して来れる学校」には
条件がいくつかあるのではないかと思った。
次回!タンペレの小学校視察②を書きます!
読んで下さり kiitos paljon!