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フランスからコロナの現状報告(3/23)

現在フランスでは16018人の感染者、674人の死者、そして過去24時間で112人の方がなくなっています。1746人の深刻な症例を含む7246人が入院している状況ですね。

入院患者の35%が65歳未満ということで若い人であっても決して人ごとでなくなってきているように感じます。

本当はこんなことを書きたかった訳でも発信したかった訳ではないです。

でも、フランスにいてあまりにも日本と世界のギャップを感じたので、一応自分の記録としても、少し大きめな声でメモとして残しておけたらなと思いました。

今に至るまでのフランスの状況

とりあえずここまでの私から見た状況を簡単に箇条書きします。

2/27 3ヶ月間フランス語の勉強をするためにフランスへ旅立つ。
2/28 フランスに到着、パリに一泊して夜行バスで南フランスのニースに向かう
3/2~3/11 南フランスの街ヴィルフロンシュシュルメールという小さな町のフランス語の語学学校に通う。毎日友達とご飯を食べたり卓球をしたりコロナとは無縁の日々。
3/12 みんなで朝食を食べていると何人かの生徒がコロナのせいで母国に帰るという話を耳にする。そして1時間目の授業を受けていると、急に先生たちが召集されて数日学校が休校になることが知らされる。しかし、学校が急になくなったので、生徒たちは各々で集まってフランス語の勉強を続けようと集まる場所を決め出す。
3/13 フランス政府からスーパーと薬局を除く娯楽施設およびレストランの閉鎖の決定を発表される。この時点で、学校が再開されるまで自分の国に帰るという生徒がちらほらと出ているので、お別れ会が開かれる。
3/14 と言いつつもフランスにいまだに残っている生徒たちで飲みに行ったり外での休日を楽しむ。
3/15 薬局とスーパー以外の全ての施設が閉鎖され、暇を持て余した人々が公園に集まりピクニックを楽しむ。
3/16 再びマクロン大統領から発表があり、15日間の外出禁止と30日間の国境閉鎖を言い渡される。
3/17 正午より外出禁止令および国境閉鎖が施行されるため午前中にスーパーや空港に人が殺到する。今まで残っていたほぼ全ての生徒たちが自分の国に帰る。
3/18~3/22 私が住んでいるところが田舎だったせいもあるが、外出の際に必要な書類がなくても比較的自由に出歩ける。ジョギングをする人々や子供達が公園で遊んでいたりする。しかし一気にマスクをする人の数が増える。大きなスーパーマーケットでは入場制限があり、列に並ぶさいも1mの間隔を保って並ばされる。
3/23現在 さらに規制が強化され、道端で何度も警察官から書類やパスポートを見せるように言われる。どんなに小さなスーパーに行くのにも1人ずつしかお店に入れないようになる。どんな人でも必ずマスクを着用し、道端でも人と人との距離を1m以上あけるよう促され、近寄れば怒られる。

事態が急変した日

これは完全に3月12日木曜日です。ほんの10日前、この時アメリカのトランプさんが、30日間の国境閉鎖を決定させた関係で私の学校の生徒たちの何人かが自分の国に急いで帰って行きました。

加えて、私の学校で熱を出した生徒が出ました。それがコロナかどうかという判断は置いといて、熱を出した生徒はすぐに自分の国に帰り、自分の健康に自信のない生徒も自分の国に帰っていきました。

そしてこの時には、ヨーロッパから帰国した人は2週間の隔離が決定づけられてしまったので、仕事を1ヶ月休んでフランスに来ていた生徒は仕事の為にも緊急帰国を決めたのだと思います。

この日、大きく事態が急変しましたね。前日までみんなで卓球しながら海を見るような穏やかな日々だったのに。もちろん、学校内でもコロナのニュースは話題になっていたし消毒や手洗いに関しては厳しかったですよ。

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しかしこの時は私もまだそこまで深刻に物事を考えていなかったように思います。学校も5日間だけ休校としか言われていなかったので。

この日に行ったスーパーマケットも全くいつもどうりで物がありました。若干のペーパー系の不足はあったかもしれませんが。

マクロン大統領大激怒

激変した日の翌日の13日金曜日、フランス政府から学校だけでなくレストラン含む美術館などのあらゆる施設の閉鎖を決定づけられました。

なので、行く場所のなくなったフランス人たちは天気がいいのをいいことにみんなで週末に公園にピクニックに行っちゃったんですよね。

どうやら危機感を持っていたのはフランス政府だけだったようで、当の市民たちはそこまで危機感を持っていなかったんです。フランスにきて気づいたんですけど、ここの人たちは結構楽観的で鈍感です。もちろんいい意味で。

それに激怒したマクロン大統領は週明けの月曜日には15日間の外出禁止を国民に発表しました。私はこの発表をテレビで見ていて完全に怒っているようにしか見えなかったのですが、やはりフランス人からしたらそうでもないように思ったようですね。笑

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これは戦争である。と何度も言い聞かせるように話すマクロンさんは力強さを感じました。

この時発表されたことは、

翌日(3/17)の正午から15日後まで移動を最低限に制限する。
仕事の通勤や移動が必要な場合、買い物、ジョギングや犬の散歩などのスポーツ、介護が必要な家族の面倒や面会が必要な場合。これ以外の外出の際は他人との接触を避け、必要な書類の所持を要求する。これに反したものは罰金および、罰則が課せられる。
加えて30日間のシェンゲン国内の国境を閉鎖する。
そしてここに宣言する「会社を倒産させない」と。この隔離期間にはいかなる会社も倒産させない努力をしよう。ローンの延期、中小企業の税金の免除、そして家賃や光熱費の免除を約束する。

ということですね。私のフランス語力ではここまで察するのが限界でした。

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ちなみに必要な書類とはこういったものものですね。自分の名前と生年月日を記入して、該当するものにチェックをして外出の際に持ち歩くものになるます。

ちなみに外国人は、これと一緒にパスポートも持っていないと身分の証明にならないので気をつけないとダメですね。

この激怒から1週間

私は南フランスのニースという街の近くの小さな街にいます。なので、パリのような騒動はありません。スーパーに行っても、いまだにトイレットペーパーもパスタもあります。

この1週間は一応書類を持ち歩いていましたが、見せろと言われることもなく、好きな時に散歩に行ってもジョギングをしている人とすれ違うくらいでした。

しかし、スーパーには1mルールが作られて、人と人との距離感を規制する物が絶対つけられていました。

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こういう張り紙が、あちこちにありました。

そして街からも人が消えてどこに行っても廃墟と化していましたね。

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これはこれで美しいんですけどね。もう怖いですよ。ほんの1週間前まで人で溢れていたのにと思うと。

今現在のフランス

今なおコロナの拡大は広がっており、パリや大都市の病院では家に帰ることなく治療に当たっているようです。フランスでは3人の医師がコロナで亡くなっていますからね。

そういう点でも、多くの医師はフランス人はまだこのコロナという病気を軽視しているのではないかと危機感を募らせており「Restez chez vous(家にいてください)」と呼びかけています。2時間前に歩いて病院に来た患者が既に集中治療室にいる事態になっていると。

これは医療が崩壊する前のイタリアでも同じような声明がイタリアの医師から発信されていたことがありました。フランスもまだイタリアほどではないにしても、このコロナの騒動に歯止めがきかなくなってきているのかもしれません。

毎日夜8時になるとみんなベランダから顔を出して拍手するんですよ。多分それって、そうやって帰れない医師への応援というか頑張れの気持ちを込めてみんなやっているんだろうなとうっすら感じています。

そしてフランスの専門家の間でも、中国やイタリアのように厳重な監禁体制にするように求めています。外出禁止の期間は15日としていましたが、ピークが4月頭になるのではないかとの懸念があり、封じ込めの影響を見る前に状況は悪化し続けるだろうという声が広がっています。

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フランスの教育大臣は、5月4日までに学生がクラスに戻ることを想定していないという声もあります。

加えて、仕事以外の夜の不用意な外出制限も大きな都市から広がっているように思います。私の元にも毎日のように日本国総領事館からメールが届いているので。

この状況を鑑みて、再びマクロン大統領は24日でも監禁期間の延長を検討を発表するのではないかと思っています。もちろん、その際はまた経済的な対策法に触れなければならないというのもあるので簡単な決断ではないかとは思いますが。

個人的に思うこと

これを踏まえて。これはあくまで、私が個人的に思うことです。批判する気も文句をいう気もありません。ただこれだけは言いたい。

日本は油断しすぎじゃないか?と。

日本のニュースを見ていて思うのは、おそらくまだ日本にコロナのピークが来ていません。感染が他の国に比べてゆるやかであるが故に、察しにくいというのはあると思いますが、日本とてこれから先欧米諸国のようになってもおかしくないと思います。

どうやら先月日本ではやっていたコロナとは型が違い殺傷能力が強くなっているコロナが今はやっているそうです。それが日本に今逆輸入してまた日本でもコロナが流行ってしまうのではないかと言う懸念もあります。

というか、コロナの話題に飽きてお花見してる場合ではないかなと。

日本の感染がゆるやかな理由

思うに、日本の文化的にも人と人との距離感を大事にするところや手洗いうがいが習慣化しているという衛生観念の発達が、コロナの感染数を増やしていないというのも一理あるとは思っています。加えて、ゲーム文化が盛んであるが故に引きこもることに抵抗がなく人と不用意に接触せずとも生きていける人が多いことも理由の一つでしょう。

もちろん、オリンピックのために感染者数をごまかしているという批判もあるかもしれませんが。数字遊びのように手当たり次第に感染をチェックして、軽症の人にも感染レッテルを貼ることで混乱を招き、医療機関がパニックになるくらいならば外出自粛を呼びかけている現状はまだマシだと思っていました。

もちろん、それを賛成だと言っているわけではないですし、政府を擁護してるわけでもないです。政府が自粛を要請してちゃんと「自粛」できる国民性を持っているうちは大丈夫じゃないかと思っているというだけです。

こちらの方達は「外出禁止」にでもしないと、ダメと言われていないからいいや!とあちこちに出かけて人に会うたびに挨拶で顔にチューし放題で、ましてや握手が日常茶飯事です。それでも手も洗わずベットにダイブする人が普通にいますから。

ちなみに差別については、私はフランスに来てから差別をされたことは一回も無いです。むしろみんないろいろ優しく教えてくれるし、困ってたら声をかけてくれます。

あとイタリアが中国の感染者数を超えたいま、「アジア人差別はあったのにイタリア人はやっぱり差別されないんだ」って言っている方に言いたい。

そんなこと気にならないくらい、今コロナは世界中の敵になっているんですよ。それどころじゃないっていう雰囲気の方が強いと思います。

震災を体験したからこそなのか

ただ、対岸の火事と欧米諸国のコロナパニックを傍観している場合ではないとだけは言っておきたい。

ここの人たちは、この騒動を戦時中のようだとよく表現します。しかし、私からしたら震災時のようだと感じるのは完全に私が日本人だからでしょう。

大型台風や巨大地震、ゲリラ豪雨などを毎年のように経験してきて理不尽に人の死や不幸を目にしている日本人からしたら、コロナはインフルエンザの延長線上の回避出来うる悲劇でしかないのかもしれませんね。

しかし、だからこそ当たり前の日常が翌日理不尽に崩れ去る現実を知っているはずなのにと思わずにはいられません。

私はフランスに来て、コロナのせいで前向きになろうとする心を毎日叩きつぶされていく悲しみに襲われました。せっかく仲良くなった学校の友達や先生とはちゃんとお別れも言えないまま別れなければならなかったし、次の日会えるはずの好きな人とも引き裂かれてしまいました。

自分の意思で選んで来たことにかわりはないけれど、異国で一人直面するにはあまりにも悲しすぎて受け止めきれないことも沢山あったように思います。

だからこそ言いたい。このままでは、同じことが日本でも起こるかもしれない。コロナに飽きててもいい。お花見したっていい。私もしたい。美味しいお肉やお酒も飲みたい。

けれど忘れないで欲しい、まだコロナの悲劇は全部終わってないってことを。それを今なら抑えられるかもしれないってことを。

最後に

長々とごめんなさい。結果愚痴っぽくなってしまいました。

私がいるのはフランスの片田舎ですが、イタリアでこのコロナの惨劇を目の当たりにした人の記録です。私のふわふわした話よりももっと分かりやすいと思うので、もしよければ見てみてください。

いろいろ書いちゃいましたけど、今たまたまフランスにいるからリアルに感じるだけで、私も日本にいたらきっと、楽しくご飯食べに言ったり映画観に行ったりしていたと思います。

もしここまで読んでくれた人がいたなら、本当にありがとうございました!!どうかみなさんお気をつけて!

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