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大好きな息子のことをもっと好きになれた本

私はときどき外来で
「この子の障害は重いんでしょうか。軽いんでしょうか」
と聞かれます。そのときにはいつも答えます。
「お母さんが重いと思ったら重い。軽いと思ったら軽い。障害の重さは、お母さんの心が決めることだと思う」
と。
『診断』より

この一文は本のかなり序盤で出てくるんですが、なんかこれだけで泣いちゃったし、この先生は信頼できるって思ったんですよね…



小沢浩先生の『“輪”で“和”をつなぐ「島はち」診察室100のものがたり』を読みました。

読書感想文の前に


保育園の先生から、この子はお昼寝をしません・他のお友達を噛んでしまいます・じっとしていられません・みんなで一緒にやるというのが難しいです等と言われ、息子は勧められるがままに発達支援センターに通い始めました。
まだ三歳になる前のことでした。
手に負えないので預ける日を一日減らしてくださいと言われた悲しみもあり、赤ちゃんとも呼べる年齢で、子どもなんてそんなもんでは?と怒りにも似た感情もありました。
ただ、それまでに私の中にも息子は周りの子とちょっと違うかもしれないなぁという思いもあったので、ありがたい機会を頂いたのかもしれないと素直に従うことにしました。

発達検査をすると特別重大な問題があるというわけではありませんでした。
グレーゾーンというものなのでしょう。
はっきりとした診断がおりることもなく、その後は月に一度のペースで支援センターに通い、担任の先生と一対一で様々な課題を行ってきました。

息子はもうすぐ五歳になります。
今は集団療育という形で月に一度支援センターに行っています。
幼稚園からの報告もほとんどなくなり、お迎えの時間にはお友達と仲良く遊んでいる様子も見られてほっとしています。
毎日のように先生やお友達からクレームを受けていた時は申し訳なさと、お互い様でしょうよ…という気持ちで私の心も荒んでいましたが、今は母子ともに健康で仲良く暮らしています。


4歳、独創的な絵を描く


実際に読んでみて


先生の「今週のひとこと」というメッセージをまとめた本で、一つのお話が一ページから二ページ半でとても読みやすいです。
内容というか、デザインの話になってしまいますが、ページをめくるごとに縦書き横書き、段組も色々、フォントも文字の大きさも違います。
まずそれがすごく面白い。
発達障害、病院、お医者さん、親、子どもと、立場や職業でのグループ分けはできても、その中にいる人間はそれぞれ全く違う悩みを抱えて、全く違う物語を生きているというのがそのデザインからもよく伝わってきました。

医療の現場である以上ハッピーエンドだけではありませんが、障害や悩みを抱えた子どもたちと心を寄せ合う様子や、その子どもたちの親とも真剣に向き合ってくださる姿に、お医者さんや専門施設のありがたさを感じました。

私にも経験がありますが、何が何だかわからないまま進んでいくというのは本当に怖くて、不安で、どうして?どうしたら?どうなるの?とどんどんイライラが募るものです。
先生が挙げている子どもたちのお話はほんの一例であり、どんな成長をするかなんて神のみぞ知るところではあります。
だけど、こんな子がこんな風に育ちましたというお話は、暗中模索の親には一筋の光であり、大きなパワーになります。
実際深い闇の中にいる時は、でも!うちの子は!もっと!と思ってしまって余計に不安定になることもあるかもしれませんが、少し落ち着いた時に読むと、大丈夫まだまだこれからと思える本です。

良い帯

帯のとおり、子育てに悩んだら読む本として大切に持っていたいと思います。

#読書感想文  #エッセイ #発達障害 #子育て



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