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【読感】今一番憧れている職業は古本屋さんです!

狭い我が家にも300冊ぐらいの本があります。
もちろん読んだ本の方が少ないです。
積読山は今日も私を見下ろして、強いプレッシャーをかけてきます。物理的に。

そんな本好きという人間が一度は憧れるであろう姿。
それは、古本屋の奥でお客に干渉することなく、何だかわからないけど何かしらの作業に勤しむ店主の姿ではないでしょうか。


わたしの小さな古本屋 田中美穂

倉敷で25年以上続く『蟲文庫』という古本屋の店主、田中美穂さんのエッセイです。
20代前半に突如思い立って開いた蟲文庫。
予算がなかったからこそ出会えた物件で、商品がなかったからこそお客さんたちと育ててきた本棚。
ひょんなことから一緒に暮らすようになった猫の話や、好きな苔の話。そんなほっこりしたエピソードばかりかと思えば、お店を維持することの苦労や、若い女だからと厳しい言葉を投げつけられた話も。
田中さんにとっては「結果そうなってしまった日々」なのかもしれませんが、こちらから見ればその全てがとても美しく、あまりにも主人公過ぎる…という感想を持ちました。

中でも特に印象的だったのが


「これだけはどうしても嫌だ」とか「無理」「出来ない」というものだけを避け、あとはなるべく来るもの拒まずでやてきた、それが形になったのがこの店なのでしょう。
文庫版あとがき

私はこの一文を読んだあと、財布の中で眠っているうっかり失効させてしまった免許証のことを思い出して深いため息を吐きました。
ここだけ読むと、それが出来ていいですね!!という風にも思ってしまうのですが、いくら「どうしても嫌だ」と思ったところで、開け放たれた出入りのしやすいお店には文字通り招かれざる客も紛れ込んでくるわけで。
来ちゃったもんは対処せねばというしたたかさも垣間見えます。
だってそれを乗り越えてきたから、ずっと愛されるお店になったんですもんね。

この本を読んで俄然古本屋さんに興味を持ち、また別の古本屋さんの本を購入してしまいました。
積読山がまた高くなりました。


#読書感想文 #本   #エッセイ  #ママ読書  #古本屋  

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