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白井千遥のクリエイティブワイドショー /2020年3・4月篇

こんにちは、コピーライターの白井千遥です。

前回お届けしたのが、2月末。そして今日が4月末。まさか世界がたった2ヶ月でここまで変わるなんて、誰が想像をしたことでしょう。そう、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)です。
最前線でこのウィルスと戦っておられる皆さんには、本当に頭が下がります。そして、クリエイティブ界隈でお仕事をされている皆さん、ご無事でしょうか。この困難な状況をどう乗り越えるのか、私たちのクリエイティブ力が試されています。必ず、生還しましょう。


さて、クリエイティブ界隈の出来事で私が気になった話題を、折々にまとめていく『白井千遥のクリエイティブワイドショー』、今回も2ヶ月をまとめて振り返っていきます。本当は1ヶ月に1度書きたいのですが、なかなか時間が取れず……(という言い訳を、2ヶ月後にも言えているのでしょうか)。

ということで、『白井千遥のクリエイティブワイドショー』スタートです。例によって 時事ネタを鋭くぶった斬る!というわけでは決してなく、コピーライター的な視点を交えながらゆるゆると綴っていきます。お茶の間で、ワイドショーを眺めるような感覚で、お付き合いいただければ幸いです。

さて、2020年3・4月で僕が気になったのは、

・仲畑広告大賞スタート

・100日後に死ぬワニ

・ドラえもん「STAY HOME」メッセージ

の、3つです。それでは順番に、いきましょう。

コピーライター界の巨人の御眼鏡に適うのは?仲畑広告大賞スタート

野球界のスーパースターといえば、王・長嶋。コピーライター界の王・長嶋と言えば、糸井重里さんと仲畑貴志さん。異論は認めますが、異論のある人なんているの?というくらい、広告の歴史に燦然と輝くおふたりです。
さて、そんな王・長嶋の長嶋の方、仲畑さんが個人の名前を冠した広告賞を、雑誌ブレーンの誌面上でスタートされました。

映えある第一回受賞作に選ばれたのは、雪印メグミルク/6PチーズのTVCM『とろッピ〜』篇。チーズを加熱している電子レンジの前で可愛く、ユーモラスに踊る女の子が印象的な作品です。

スクリーンショット 2020-04-30 19.10.38


雪印メグミルク/6Pチーズ
https://www.snow6p.jp/to6p/


選評を超ざっくりと書き出すと次の通り。

・少ない予算で大きな効果をもたらす広告が一等賞。
・今回の選出には「CM INDEX」に掲載されていた「2019年テレビ・コマーシャル好感度調査年間集計」をもとにした
・たくさん見たCMの好感度が上がるのは当たり前
・獲得した好感度数を放送回数で割ることで、その作品の実力がわかる
・同じ実力数値でも初エントリーとシリーズモノでは初エントリーが勝ち
・同じ実力数値でも初エントリーとシリーズモノでは初エントリーが勝ち
・6PチーズのTVCMは上記の観点でぶっちぎりのNo.1
・さらにロングライフ商品に新しい訴求ポイント(とろける)を加えた点で優秀

ということでした。納得。正論。ぐうの音も出ません。しかし、しかし、言わせてください(震)。せっかく「仲畑広告大賞」と名がついているのですから、もっと仲畑さん個人の好き嫌いや気持ちで選ばれてもよかったのではないでしょうか。数字をもとに賞をあげるというのはとても客観的でフェアだと思うのですが、それであれば仲畑さんがされなくても良いのではないでしょうか….。私個人的には、あの巨匠が今の時代、どの広告、どのコピーに心が動いたのか….ということが知りとうあります。(すみません、私のような小コピーライターが….)

個人の好みなんて関係ねーよ。広告は結果がすべてだ。

そんなふうに叱られるかも知れぬのですが、それでも一ファンとして、そのように感じた次第であります。
ちなみにこの仲畑広告大賞、ブレーンの「新連載」としてスタートされています。毎月発表されていくのでしょうか。次回以降も大変楽しみにしております。よろしくお願いします(誰にやねん)。

答えは風の中に。「100日後に死ぬワニ」

twitterから生まれた名作マンガ、「100日後に死ぬワニ」。
最終回に主人公であるワニが死ぬことが明かされた状態で、一日一話公開されていくという手法。100日後に死ぬことがわかっているから、読者のみんなは、主人公が過ごす平凡な日常に別の思いを重ねていく。ほのぼのとしたタッチ、動物たちのシュールな会話もいいスパイスとなって多くの人の心を動かしました。

100日後に死ぬワニ
https://100wani.life/

そう、私たちは何も考えずに未来の話をするけれど、100日後も生きていられるなんて保証はどこにもない。そんな当たり前を改めて気づかせてくれたマンガでした。コロナな今だから、なおさら心にひびきますね。

ところがそんな名作ですが、100日目にちょっとした炎上騒ぎとなってしまいました。細かな経緯は省きますし、真相は知りませんが、

SNSはマスじゃない。SNSはフォロワーの思いを大切に。SNSはフォロワーと一緒に。

これ、忘れがちですが、めちゃくちゃ大切だと思います。そして世の中の広告代理店アレルギーの強さを改めて感じました。あー、怖い怖い。

最強のインフルエンサーで、プラットフォーム。ドラえもん「STAY HOME」メッセージ

朝日新聞のほか、公式サイト、そしてSNS(こちらは日本語の他に8言語で)で発表されたドラえもんからの「STAY HOME」メッセージ。

ドラえもん「STAY HOME」メッセージ
https://dora-world.com/contents/1411

めちゃくちゃいいです。

きみがおうちにいてくれたから。
ちゃんと手を洗ってくれたから。
家族を想ってくれたから。
ともだちと支え合ってくれたから。
やさしい気持ちでいてくれたから。
病気の人を助けてくれたから。
みんなのために働いてくれたから。
未来をあきらめないでいてくれたから。

だいじょうぶ。未来は元気だよ。

オールドドラえもんファンの私は、大山のぶ代さんの声で脳内再生されました。ドラえもんの優しさが、しみじみ心に入ってくるコピー。総理の言葉よりも、知事の言葉よりも、専門家の言葉よりも、心に届くのはドラえもんという最強のインフルエンサーの声を借りたから。そしていつの間にかドラえもんは漫画のキャラクターという枠を超えて、社会のメッセージを代弁するプラットフォームになっていたのですね。

今年のTCC賞グランプリはこれで決まりです。

それではまた次回。

また今回も長くなってしまいました。
最後にちょっとだけ宣伝と自慢をさせてください。

今年も関西学院大学男女ラクロス部のPVを担当させていただきました。メンバーはいつもの愉快なDIRECTOR:市山 光一(Accorder Inc.)、CAMERA&EDITOR:山嵜 明洋と一緒に。
とても楽しい撮影でした。

関西学院大学 男子ラクロス部
https://twitter.com/kglacrosse/status/1252571208433848320?s=20

関西学院大学 女子ラクロス部
https://www.instagram.com/tv/B_Pkoq6Bdte/?utm_source=ig_web_copy_link


そして、もうひとつ。
3年前の夏にクラウドファンディングをした「こよみッション」が『ゴールデンウィーク STAY HOME篇』として緊急復活しました。どれも新作。こちらも素晴らしいメンバーの一員に入れていただいて感謝感謝です。おうちじかんの足しに、ぜひお子さんと一緒に。

■「こよみッション」とは?
1日1つのミッションを通して、子どもが暮らしの中で季節の事に関心を持ち、学び、考え、挑戦し、楽しむきっかけになる日めくりカレンダーです。
2017年夏、クラウドファンディングで制作資金を募り、夏休みにぴったりのミッションを収録した「こよみッション 夏休み篇」を販売しました。
その様子はInstagramで「#こよみッション」でもご覧いただけます◎
Instagram http://instagram.com/koyomission

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さ、それではまた次回!
今回も大好きな名作コピーをご紹介して終わりたいと思います。さいなら!


君よ、散財にためらうなかれ。

君の十銭で浅草が建つ。1923年、関東大震災後の浅草には、そんな看板が立てられたという。

それから驚くべき速さをもって、
東京は世界規模の大都市となった。
働いて、稼いで、そしてつかう。
そんな十銭たちが経済を回し、
東京は復興していったのだ。
あの時の看板は、今でも正しい。
土地も資源もない国は、
お金で生きていこうじゃないか。
日本人よ、散財にためらうなかれ。

君のお金で国が建つ。

(宝島社/コピーライター 磯島拓矢さん・外﨑郁美さん・ 大津裕基さん)


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