バランスボールにさよならする朝
バランスボールを叩く練習をしたことはあるだろうか。
ある時、彼氏はバランスボールを叩く練習を始めた。バランスボールの一点をじっと見つめる。深く息を吐き出した後、静かに息を吸い込みながら腕をあげる。大きくは振りかぶらない。小さいモーションだ。息を止め、腕を振り下ろしながらタイミングよく手首のスナップをきかせる。パチン。その音の余韻を楽しむようにゆっくりと息を吐き出す。これを日に何度も続けた。
彼の友だちにスキンヘッドのカナダ人がいる。名前は忘れた。仮にダニエルとするが、彼がバランスボールを叩く練習を始めたのはダニエルのためだ。
彼とダニエルは幾人かの友人とともにとある山奥の温泉旅館に出かけた。そして酒を飲んだ。まるで一年ぶりに酒を飲み、一年分の空白を一晩で埋めると意気込んでいるかのように、大量の酒を飲んだ。実際にはその前日にも、いや当日の昼食の時にも酒を飲んでいたのに。
彼は酔っぱらった。泥酔した。泥酔標本があれば中央の左隣にピン留めされるくらいの泥酔。そして泥酔の勢いのまま、運悪く隣で飲んでいたダニエルを抱え込むように寝ころばせ、おもむろにスパンキングを始めた。その様子は運よく同席していた友人たちの笑いを誘い、翌朝ダニエルから「昨夜は愉快な夜だったよ、ナイスガイ」的な笑みを送られたことに気をよくした彼は、翌日、バランスボールを買い求めた。
練習は半年近く続いただろうか。結局、彼はそれ以来ダニエルと泊りがけで飲む機会に恵まれず、バランスボールは部屋の片隅で埃をかぶった。
彼とはそれなりに長い付き合いだが、練習に打ち込む姿を見たのは、後にも先にもこのバランスボール叩きだけだ。少年の頃から「楽していい想いをしたい」と思いながら育ち、いまも少年の心を持ち続けている。それが彼だ。練習などしない。
一方、しまちゃんは練習の鬼だ。もう一度しまちゃんのラップを聞いてみよう。
何かを得ようとすれば、何かを差し出さなければならない。この、大人なら誰でも知っている真理を、しまちゃんはしっかり理解している。
しまちゃんは、今日（1/24）の21時からMOMOリーグの対戦に挑む。私はしまちゃんを応援しようと思う。桃鉄ワールドのことはよく分からないが、1位の欄にしまちゃんの名が刻まれることを心から応援したい。みなさんお願いです。わたしの祈りをかなえるために、ぜひ対戦の様子を配信するyoutubeチャンネルにアクセスして、しまちゃんを応援してほしい。
なお、桃鉄非公式大会のあれこれは二度と話題にしたくないので、お手数をおかけして恐縮だけど、このあたりのnoteを読んでいただけますと幸いです。
しまちゃんが1位を獲得した時、私は彼にこういうのだ。
「楽していい想いをしたいという考えを、そろそろ改めませんか？」
どうか私のささやかな願いを応援してほしい。
youtube配信はこちらをチェケラ
明日の朝、彼にバランスボールを捨てると告げたい桃子より
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