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水の國の管理者④ (夢の創作物語)

なるべく心拍数があがらないように気をつけながら、意識のない小さき生命体の手をつなぎ、ゆっくり引っ張る形で左の奥へ進んだ。

本当は、抱きしめながら進みたいところだが、いつ攻撃がとんでくるか不明だったので、すぐに手放せるようにしなければならなかった。

上から差し込む光源の量が減っていた。あたりは暗くなりぼんやりとしか先を見通すことができない。

私は、足をとめた。

その15メートル先に、小型船のような朽ちた巨体が横たわっていた。

それは、腐敗し、不思議な黒い藻のようなものを纏った人魚の残骸に見えた。

黒い藻は、この存在を何倍にもおぞましいものにさせているかのように怪しく揺れていた。

眼があったであろう部位には、大きな穴が2つボッカリとあいていて、真っ暗な吸引装置のように機能していた。

アゴのような部分は形成が崩れ、ほんのすこし、触れたら、おそらくは下にゴトリと落ちるのであろうな、と思った。

肩から下の腕は、存在していなかった。どのようにして失われたのかはわからないが、もしいまもあるのならば、かなり長い上肢だったに違いないと推測した。

肋骨部分も、何本か残してあとは失われていた。

腰から尾にかけては、ほとんど、黒い塊になっていて、見たことない付属生物が寄生しているようでもあった。

こちらを向いて横たえているその大きなカタマリに、私は、思念を飛ばそうと試みた。

すると、ヴヴヴ……と細かい振動が私のまわりで発生しだした。その振動は私の視界を歪ませた。

極力、自己シールドをオンにしつつ小さき生命体を私のそばにまた手繰り寄せ、右腕でそっと抱きしめた。

つづく

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