【後編】松尾豊先生講演内容 後編[2019年4月5日第3回AI・人工知能EXPOセミナー]

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4月5日 [金] 13:00~14:30 <ディープラーニング最新動向>
「ディープラーニング」の最前線と今後の展望
東京大学 大学院 工学系研究科 教授 松尾 豊 先生
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※本内容は、上記講演会の内容を筆者が解釈し要約したものとなります。
また要約内容は講演の内容をそのまま転記したわけではなく、より理解しやすいように追記した部分や、追加した例題的な事例を含みます。
筆者の理解が追い付かず、誤解を招く表現や間違っている箇所がある可能性がございます。そのような点を発見された場合は、コメントにてご指摘いたらければ幸いです。

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【後半】ディープラーニングの最前線と今後の展望
2019.4/5 松尾豊氏講演内容の要約 後半

1. 松尾豊先生の活動

a.東京大学 松尾研究室 https://weblab.t.u-tokyo.ac.jp/
※松尾研究室は日本のディープラーニング最前線なので、常にチェックしましょう

松尾研究室出身のAI企業
いずれも業界のリーディングカンパニーとなっている。


 株式会社 PKSHA Technology
  https://pkshatech.com/ja/
 機能特化型アルゴリズムモジュール

 株式会社Gunosy
 https://gunosy.co.jp/
 ニュースキュレーションサービス

 READYFOR株式会社
 https://readyfor.jp
 クラウドファンディングプラットフォーム

 株式会社DeepX
 https://www.deepx.co.jp/
 AIによる機械自動化技術

b.一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)  
https://www.jdla.org/
 【目的】ディープラーニングを中心とする技術による日本の産業競争力の向上を目指す
【活動】
・産業活用促進 ・人材育成 ・公的機関や産業への提言
・国際連携 ・社会との対話

人材育成について

●概要
ディープラーニングに関する知識を有し、事業活用する人材(ジェネラリスト)と、ディープラーニングを実装する人材(エンジニア)の育成を目指す。各々に必要な知識やスキルセットを定義し、資格試験を行うとともに、協会が認定した事業者がトレーニングを提供

●具体的に
ディープラーニングに関する知識を有し、事業活用する人材(ジェネラリスト)を育成する経営者、管理者がディープラーニングを使った事業を行う為の適切な知識を習得する事が目的

【方法】
概要:ディープラーニングを事業に活かすための知識を有しているかを検定する
受験資格:制限なし
試験概要:120分、小問226の知識問題(多肢選択式)、オンライン実施(自宅受験)

ディープラーニングを実装する人材(エンジニア)の育成
実際に開発するエンジニア向けの試験、結構難しいっぽい。
 【方法】
 概要:ディープラーニングを実装するエンジニアの技能を認定する
 受験資格:JDLA認定プログラムを修了していること (※1)
 試験概要:120分の会場試験にて、107問を出題
 試験会場:全国の指定試験会場から、お申し込み時に選択
(※1)https://www.jdla.org/business/certificate/?id=certificate_No04

2.AI人材育成における、高専生の可能性について

[前提1]
ディープラーニングの進歩の前提として、
① 画像認識・自然言語処理のフェーズ ←今ここ
② 機械・ロボットのフェーズ ←もうすぐここ
③ ???のフェーズ ←まったく未知
上記のような流れで進んでいる。

② 機械・ロボットのフェーズ
に突入する今のタイミングで、①で世界に後れを取って、AI後進国となってしまった日本は、②のフェーズで世界のトップに躍り出る為にめっちゃ頑張らないといけない。幸い日本のロボット技術は世界的にみてもトップレベルなので、AI先進国となる素養はある。

[前提2]
しかし、ディープラーニングエンジニアの多くが、ハードウェアの知識に乏しいという問題がある。
これまでディープラーニングに取り組む人は、IT技術者が多かったので機械工学に精通しているディープラーニングエンジニアは非常に少ない。
現在育ってきた、IT系のディープラーニングエンジニアに機械工学を習得させる事は難しいので、機械工学を習得している若い人材にディープラーニングを学ばせる事で、機械に精通したディープラーニングのエンジニアを量産する必要がある。

[前提3]
全国には、工業系の高等専門学校(通称高専)が多数存在する。
彼らはハードウェアに精通しており、ロボット工学を学んでいる生徒も多い。特にロボコン経験者など、ゼロからの高度なロボット作成を経験している生徒も多い。

 ●まとめ
 ディープラーニングはロボットの時代に突入する
 ロボットに精通したディープラーニングエンジニアの育成が必要になる
 今後全国にある高専生(ロボコン経験者)にディープラーニングを学ばせることで、即戦力となる人材を量産していく 
 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37752760U8A111C1000000/

 ●具体
 高専ディーコン
 ディープラーニング×ハードウェア
 高専生による事業創出コンテスト

4.食のグローバルなプラットフォームの可能性

ディープラーニングの進歩により、食の世界のAmazonといえるような、食のグローバルプラットフォームが誕生する可能性がある。それは、「顧客に合わせた最適化」+「自動化」を兼ね備えている。顧客の嗜好データを収集し、顧客ごとに嗜好に合わせた商品をレコメンドできるようになる。

食のグローバルプラットフォームを作るために、食品系企業連携の構想がある。食品の品質等でアドバンテージのある日本で、早急に食品系企業連合群を作り、食のグローバルプラットフォームを作っていく。

5.ディープラーニングは急成長するビジネス

松尾先生はたくさんのビジネスプランをプレゼンされアドバイスを求められるが、実際にこれはすごいというビジネスは、100個に1つくらいしかない。
しかし、それでも99個のすごくないビジネスプランを始めてみる事が大切だ。凄くないビジネスプランでも、何か技術革新のタイミングときっかけに合致すれば、世界を変えてしまう可能性を秘めている。

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動力が発明され、1Fから2Fへ上がるエレベータが作られた
人々は2Fに行くなら、自分で階段を上ったほうが早いと笑った。
まったく普及しなかった。
しかし、エレベータは1889年、爆発的に普及する事となる。
それは、シカゴ、ニューヨークで起こった、高層ビルの建築ラッシュの為である。

今のディープラーニングは、上記の例でいえば、
1Fから2Fに上がるエレベーターだ。人々は拙いAIをみて笑っている段階だ。これが、高層ビルの建築ラッシュに相当するハード面での技術革新のタイミングで、爆発的な進歩を遂げる。
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ディープラーニングでは
[人間の認識能力の代替]して、それを[高速]で[常時]動かす事が出来る。

その結果
 1.人間の勘や経験をディープラーニングで実現する
 2.本来「流れるべき」であるが「流れなかった」フローを実現する
事が出来るようになる。

例えば、
 ・インターネットのポータルサイトに広告を載せる
  ⇒これは人でもできる
 ・インターネットの検索結果に合わせて広告を載せる
  ⇒これは人ではできない。自動化しないとできない。

6.まとめ

時代の大きな変わり目だと言うことをしっかり意識して欲しい
小さい視点ではなく、おおきな視点で考えて欲しい

 学術的にも大きな発見につながる可能性がある
 産業的にも大きな事業を生み出せる可能性がある

スピード感をもって取り組んでほしい
よく勉強して欲しい
自ら積極的に動いて欲しい
よく考え、調べ、手を動かす
そしてまた考え、調べ、手を動かす
これを高速に回して欲しい

本気でチャレンジするに足る変革の時代だ

以上、になります。
質問等ありましたら百瀬まで。

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