【小説】藻のぐらいプールの底から【ショートストーリー】
女の子の家には金魚がいた
夏祭りで、おじいちゃんがすくった金魚だ
2匹の金魚は、金魚鉢の中を気持ちよさそうに泳いでいる
女の子は毎日エサをあげた
金魚鉢の中にエサを入れると、水の底にいた金魚が水面まで上がり、口をパクパクさせている姿が可愛いからだ
女の子は毎日毎日エサをあげた
パクパク
透明だった金魚鉢が、だんだん緑色になっていく
それでも女の子はエサをあげ続ける
エサを食べる姿がみたいから
パクパク
金魚鉢が濃い緑色になった頃、女の子は夢をみた
近所の市民プールで遊んでいる夢だった
プールサイドに座り、足をパチャパチャさせていた
しばらくすると透明だったプールの水が、だんだん緑色になっていく
「あれ?」
と、女の子は首をかしげた
緑色が濃い緑色になった瞬間
プール一面、無数の金魚が口をパクパクさせていた
「うわーっ!」
女の子は目を覚ました
その日から、金魚鉢が濃い緑色になる事はありませんでした