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七種粥 蓋から噴き出す お湯しぶき

一月七日
今朝は七草粥を作りました。
俳句を詠むようなりましたが、「季語」が全くわからないので
いつもインターネットに「俳句 季語 ○月」と入力して助けを求めます。
今回、いくつか出た季語候補の中から「七種」が目に止まりました。

はて?これはなんだろう??と思い、
読み方を調べると「ななくさ」。

なるほど、正式な字は「七種」と書くのだなと根拠なく思い込みました。

でも、スマホで「ななくさがゆ」と入力すると、候補に「七草粥」が出てきます。
「じゃあ、「七種」ってなんだろう。」疑問が湧いてきます。

またまたネットで確認すると、平安時代中頃、「人日の句」(正月七日)に七種の菜のあつもの※(七種菜羹)を奉納する宮中行事がありました。
(※「羹」は、古代中国では穀類と菜を混ぜる雑炊と混ぜない菜葉だけの吸い物の両方の調理法を指していたようです。ちなみに日本では、奈良・平安時代は、七種菜羹は吸い物か雑炊、両方の調理法があったかもしれない(定かではない)が、室町時代以降は七種の菜をお粥に混ぜて食べる「七種粥」になって、今の「七草粥」に転じたようです。)

この七種の菜は、正月の厳しい寒さが続く頃、雪の間に芽を出す若菜たち。
人々が若菜の生命力と神秘の力を感じ取り、それを羹として食することで無病息災、長寿を願うといった由来から来ています。
(平安時代は「七種」のほかに「十二種」があったようです。「七」は陽数でありその呪力を借りようとした、「十二」は吉数で若返るという縁起のいい数字であり、採用された数字自体にも意味があるようです。ただ、時代の流れとともに「十二種」の方は廃れ、「七種」だけが残ったのだとか)

ということで、「七種」は
「平安時代の人日の句(正月七日)に、無病息災を願って奉納された7種類の若菜」
といったところでしょうか。
「七種粥」でも意味は通じるようですが、正確には「七種菜羹」なので、知ったかぶりせずに素直に「七草粥」とした方がいいようです(と言いつつ、今回だけこの記事のタイトルは意味も知った上で「七種粥」にしました)。

年始早々、こんな調べ物をして勉強した気になりましたが、詠んだ句の意味はなんのことはない、お粥さんを作るのに蓋をして30分タイマーつけて弱火にかけたら、蓋から湯がプスプス!と音を立て、泡立て、ふきだしていました。というだけです…

この後、30分の間別のことをして、タイマーが切れたころにコンロに戻ったら、
鍋の周りが、吹きこぼれた白いおかゆ汁の洪水になっていました…
幸いなことに、おかゆ自体は焦げずにいい具合に柔らかに出来上がりました。
お粥に七草を混ぜ、焼き餅乗せて無病息災を願いながら美味しくいただきました。

この七草粥、小さい頃は土臭くて苦手でした。
が、今年は七種の意味がわかったせいか、おいしさもひとしお。
ようやく大人になったのか、歳を重ね過ぎて若菜の生命力に絆されたか。


参考文献「季節を祝う食べ物」森田潤司(同志社女子大学生活科学 Vol . 45, 78~89(2011))


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