フリーランスの実態 #7「ひとりで仕事をするということ」
この「フリーランスの実態」シリーズでは、約12年フリーランスとして過ごしてきた私が、自身の経験や感じたことなどをもとに、さまざまなテーマについて自分なりの考え・想いをまとめています。
「組織に属さないひとりの人間がどんな生き方をしているのか?」をお伝えすることで、フリーランスに関心のある方はもちろん、生き方に迷いを抱えている方にとって何かしらのヒントや気づきになれば…と思っています。
▼シリーズはマガジンに。
今回のテーマは、「私が『いい状態』でフリーランス生活を続けるために意識していること」を書いていきます。
フリーランスは、ひとりです
フリーランスは、組織に属さず、個人で仕事をします。
私はもともと大人数の場が得意ではなく、ひとりで過ごす時間を苦にしません。「フリーランスだから寂しい…」と強烈に感じることもありませんでした。
でも、あるとき、気づいたんです。
ひとりで仕事をしていると、「他者から自分がどう見えるかを知る機会」が、少ないことに…。
私はかつて会社員でしたが、会社では、定期的に上司との評価面談や1on1ミーティングなどの場が設けられました。また日常業務でも、ちょっとしたアドバイスや意見をもらう機会が多々あったのを覚えています。
望まずとも、自分の仕事に対する考え方やパフォーマンスについての「他者の声」が入ってくる…だからこそ、自分を客観視しやすいと思うのです。
でも、フリーランスになると、他者のフィードバックを受ける機会が大きく減ります。
それは、ある意味とても自由。また、他者に惑わされず物事を進めやすいといえるでしょう。でも、常に自分ひとりで何もかも考える状態は「伸び悩んだり、迷ったり不安が膨らんだりする要因にもなり得るな…」とも感じるときがあります。
私は、自分の軸や価値観を大事に生きていきたいけれど、だからといって視野や世界がどこまでも狭くなってしまうことは避けたい…。そんな思いをもちながら、これまで過ごしてきました。
意識してフィードバックをもらう機会をつくる
そこで、私がやってきたことのひとつは、「他者からのフィードバック(声)」をもらう機会を、ときどき意図的につくってみること。
ここでいう「他者」のわかりやすい例としては、クライアントが挙げられます。
実例を出しますね。
ちょうど先日、そこそこ長くお付き合いのあるクライアントさんの一人に会う機会があり、その際に以下のことを聞いてみました。
「改めて伺いたいことがありまして…」
と前置きした上で、
「◯◯さん(クライアント)が私に期待していただいていることって、どんなことでしょう?」
「どんなところに魅力を感じてくださっていますか?」
といった感じです。
なお、この方とは関係性がやや密なので、上記のような聞き方をしました。もっと浅いお付き合いであれば「私のどういった面を評価いただいていますか?」でもいいと思っています。
(ちなみに、そもそも「継続的な付き合いがある=一定の評価や信頼が得られている」と考えられます)
フリーランスとクライアントの関係性では、普段は業務連絡が中心になるはず。また、納品物そのものに対するフィードバック(修正依頼、コメントなど)は受けられても、もっと大きな視野での「声」をしっかりともらうことは、そこまで多くないでしょう。
もちろん、先のような質問を頻繁にするのは違和感がありますし、知り合ったばかりの方に聞いたら相手に負担をかけてしまうかもしれません。
なので、ある程度の信頼関係ができたタイミングでサラッと聞いてみるのがおすすめです。自分を客観視する、よい機会になります。
最初は少し怖さを感じるかもしれませんが、私は過去にこういう話を問いかけて、「は?何言ってるの?」みたいな反応が返ってきたことはありません。むしろ、一緒に良いお仕事をするために、喜んで伝えてくださる印象です。
(ただ、前提として日頃から信頼関係を築いておくことが大事。この辺りのお話は、また別記事にまとめようと思います)
そして、いただいた声については、私は専門スキル的なもの(ライターでいえば「ライティング力」など)以上に、「人間性」「個性」「コミュニケーション(仕事の進め方)」といった点に着目します。
というのも、そちらのほうが、フリーランスとして生きる上で、独自の大きな価値や強みになると考えているからです。
(専門スキルは身につけて当たり前のものといえますし、上にはいくらでも上がいるし、経験や学びを重ねる中でいつまでも伸ばし続けていくもの)
私は内省的なタイプで、ある程度「自分はこういう人間」とわかっている(信じている)ところもあります。
でも、人に「自分はどう見えるか」を聞いてみると、意外なポイントが出ることはやっぱりあって。その答え合わせのような機会にもなるのが、他者の声を受ける良いところだと思います。
なお、言われたことはそのまま鵜呑みにするわけではなく、あくまでも「自分をより深く理解するための材料にする」イメージです。
こういう機会をたまに得ると、ひとりでやっていても、自分自身と外の世界とのバランスを保ちやすくなるように実感しています。
フィードバックを受けるにあたって気をつけていること
ここからは、私がフィードバックを受けるにあたり、気をつけていることをお伝えします。クライアントに限らずのお話です。
それは、問いかける人を選ぶこと。もっと詳しくいうと「信頼できると感じる人、自分という存在を尊重し、理解してくれる人にお願いすること」です。
というのも、話す相手を間違えると逆効果というか、心がとんでもないことになりかねない…と思うからです。
強靭なメンタルをもつ方であれば、誰に、何を言われても冷静に受け止められるかもしれません。嫌なことを言われても「何くそ精神」で頑張れたり。
でも、私は性格がキツい人、タイプがあまりに違って好きでもない人の強烈な声を直に受けると、心がえぐられて気力が抜けるような感じがするんです。
とくに、表面的なところだけを見て、考えや行動を強要されたり否定されたりするのが、とても苦手。(そんなのは、みんな嫌かもしれませんが…)
フリーランスは、仕事において、いざというときに守ってくれる人がいません。自分がやるべき仕事をカバーしてくれる人も。
もし、落ち込んで仕事ができない状態になれば、自分が困るのはもちろん、周囲に迷惑をかけて信用や信頼を失い、どんどん悪いスパイラルに陥ってしまうんですよね…。
だからこそ、私は日頃から「自分の心(精神)をどう守るか」を、とても大事に考えています。
そして、自分がどうありたいかをよく考え、自覚し、日々を過ごす…。そうやっていると、「いい状態」で自分らしく仕事をしつつ、誰かの力になり続けることができるのではないかな、と。
そんな思いもあって、私は大事なことを相談したり意見をもらったりする際には、誰彼構わずではなく、人を選ぶようにしています。
少なくとも他者を尊重してくれるタイプの人は、(たとえ少し耳の痛いでも)思いやりをもって誠実に伝えてくれるので、話を落ち着いて受け取りやすいです。
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フリーランスに限らずかもしれませんが、自分の中だけで何もかもを考え過ぎると視野が狭まり、閉塞感に苛まれたり、不安から未来が暗いものにしか見えなくなってしまったりするときがあるように感じます。
なので、「ひとり」が基本のフリーランスは、ときにクライアントや、ほかにもいろんな関係性の中で「この人なら」と思える人がいれば、フィードバックを受け、客観的に自分を見る機会をつくってみるといいと思います。
私自身、いまは他のフリーランスの方のサポーターやメンター的な役割をすると同時に、私にもそういう存在がいます。
たまには外の声も聞きつつ、自身をよく見つめ、自分の道を切り開いていくこと。そんなフリーランスの生き方を、私も含め、もっと自由な精神で楽しめる人が増えたらいいなと思っています。
※なお「他者のどんな声を、どれくらい許容できるか」は人によって違うので、どうかご自身にとって無理のないようにしてください。
「競争」ではないですからね。
フリーランスは十人十色。
ぜひ、いろいろな考え方に触れ、経験し、ご自身の理想の生き方を見つけてもらえたらと思います。
私も旅を続けていきます。
少しでもフリーランス生活を楽しく続けるヒントになれば幸いです!
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