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MITで学ぶデジタルトランスフォーメーション(DX)

"Digitization"と"Digitalization"、この違いが分かるだろうか?デジタイとデジタライの違いである。

"Enterprise Transformation in the Digital Economy"では、企業がどのようにデジタル化を実現しうるのか、ケーススタディや理論枠組みを学ぶことができる。

ビジネスをデジタル化していくためには、まず、会社の事務プロセス(Operational backbone)を自動化・オンライン化していく必要がある。いくら顧客にデジタルサービスを提供しようとしても、社内プロセスが人手によるマニュアル作業だったら、競争力あるデジタルサービスは提供できない。この事務プロセスの自動化やオンライン化が"Digitization"だ。

歴史ある企業は既に確立したビジネスプラットフォームを有しているので、Digitizationに多大な労力がかかる。公共サービスも同様。菅新政権はデジタル庁発足を目指し動き始めているが、国民へのデジタルサービス提供以前の問題として、Digitization、つまり行政プロセスのデジタル化で手一杯になるだろう。

一方、"Digitalization"とは、サービス提供やビジネスのあり方自体をデジタル化していくことを言う。授業では4つのBuilding Blocksが必要であると説く。顧客のインサイトが組織的に共有されていること、デジタルサービスを提供しうるプラットフォームを有していること、自律分散的且つ連携のとれた組織運営、そして、外部デジタル企業との連携だ。デジタルトランスフォーメーションを実現するには、足元の個別事情を踏まえて、適切な順序でBuilding blocksを組み立てていく必要がある。

ケーススタディでは、世界的なデジタル銀行として名高いシンガポール開発銀行(DBS)によるデジタル化への取組みや、仏シュナイダーエレクトリックによるDigitizationなどを深掘りしていくのだが、いずれも5年超の長い時間をかけており、一朝一夕では実現できない現実をかみしめることができる。

新興勢力の勃興に加えて、各企業によるデジタルトランスフォーメーションの成否が、今後の業界地図の塗り替えを決めていくのだろう。

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