「年齢がいくとささやかな事で喜びを感じられるようになる」


何かでそんな記述を読んで、納得するところがあった。

「逆に、若いうちは大きな出来事や報酬にしか反応しない」とも書かれていた。

確かに自分も若い頃は、今だったら深く有難みを感じることに何の感慨も感じていなかった。

思春期の頃から20代30代になっても、周囲の人たちに感謝も有難みも特に感じることなく、ただ自分の事にだけ夢中だったように思う。


今だと例えば、狭い歩道ですれ違う人と道を譲り合う、というようなことでもだいぶ嬉しい。

仕事の打合せで、ユーザーにより配慮した改善案をさり気なく出してくるクライアントの担当者に、真剣に感動し男として惚れてしまう。

テレビで初めて見るようなタレントさんだかモデルさんだかの、小さい頃の可愛らしいビデオ映像なんかを見ると、初対面から2分後くらいなのに、姪の結婚式くらい泣いてしまったりする。


スーパーの店員さんの配慮や、学生同士が通学途中に笑い転げている様や、ふだん犬に冷たい猫が眠っている犬にそっとくっついて寝ようとしている様子やらを見るにつけ、幸せゲージが満タンになるくらいの幸せを感じている。

そんな風に、ちょっとしたことでも深く感動してしまうように、だんだんなってきていると思う。

若い頃は、ささいなことを大袈裟に喜ぶおじさおばんさんが、鬱陶しかったしワケがわからなかったが、私も順当に、若い人を当惑させる感動しやすいおじさんになった。

ホルモンの量や質の変化による影響なのか、人生の経験値が上がったことで共感性が高まりやすくなったのか、理由はわからないが、加齢にまつわる色々な変化の中で、この「幸せを感じやすくなる」という変化は、決して悪いものではないと思っている。






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