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燃えろ燃えろ燃えろ 旅芝居の熱ささびしさ生きることは炎の座長が教えてくれる

旅芝居の劇場で、
お客さんが盛り上がり劇場が熱をおびればおびるほど切なくなるのはなぜだろう。
旅芝居の役者が、
熱く魅せれば魅せるほど切なくなるのはなぜだろう。

ある座長を観た。
近年の旅芝居のショーでひとつの「型」を作った人だ、時代を作った人だ。
十八番の曲もある。毎日歌う。『炎』。アイライク演歌。冠二郎公認らしい。
歌うとどの劇場でも揺れんばかり割れんばかりに盛り上がる。
コールアンドレスポンス。
舞台と客席が一体となりまるでお祭り騒ぎを越え、大興奮と大熱狂だ。
でも、だから。だから、でも、私はいつも笑いながら泣いてしまう。
毎日毎日毎日この歌を歌っているんだなあこのテンションで、って。

この日は言った。歌の前に。
「ちょっと静かに観すぎてませんか?!」
「練習するよ。はい、こちら側から。はいオーケー!!」
投げやりやけっぱちにすら見える姿すら「芸」の一部のよう。

もう若くない人。でも舞踊でのチャラくエロい芸風は健在。
今の若い世代の座長たちに大きな影響を与えたひとりだろう。
悲鳴のような歓声があがる一方で、
熱狂的なファンはつく一方で誤解を招いたりもする。
本当は古典が好きで芝居が好きで、
先輩たちや上の座長たちをすごく尊敬し立てている人だとは年配の役者たちからも聞いた。

この日は2度ほど口にしていた。
「ただでさえお客入らんのに」
「イブニングショー、帰らないで下さいね。人数、数えますよ」
コロナ禍の影響で、いつもは二部制の夜の部を休演する替わりに、
昼の部終わりに「イブニングショー」という構成をする劇団・劇場もある。
他の劇団は昼の部終演後30分後にやるというその夕方のショーを
毎日昼の部終演後5分後に毎日行っているらしい。
昼を観たお客さんに1人でも多く残って観てもらえるように。
「しんどい。けど、慣れてくるもんですね」

炎のあとの舞踊にも笑いながら泣いてしまった。
舌を出して、抱きしめる真似をして2曲。
≪暖めてあげよう≫からの≪何度でも火をつけて≫
身をくねらせればくねらせるほど、
煽れば煽るほど、客席からは声があがり、盛り上がる。
お客さん入れなきゃね。座長として劇団(家)を守らなやね。継がせ、残さなきゃやね。
でもどうぞ強すぎる炎で自身も燃え尽きぬよう……。
じっと見る。
何度か目が合った気がした。
で、イブニングショーも残ってしまったのだから、私もチョロい客なのだけれど。

鬼滅の刃には全くハマらなかった。
でもアニメも映画も全部観た。
主人公たちが対峙する「鬼」は元は人間、
それぞれに鬼になった理由がある、ならざるをえなかった過去がある。
炎の座長を観た数日後、ふと、そんなことが頭に浮かんでならなかった。
旅芝居の役者もなんだかまるであの鬼たちみたい、だなんて。
いや、そんなこと感じないくらい声援をしペンライトを振るべきなのだろう。でも。
燃えて燃えて燃えて燃やして、イカロス? よだか? 
熱く、楽しく、熱と力、と、同時に切なさやさみしさのようなもの。
旅芝居や旅役者にのめりこむ皆はきっとこの両者を感じ惹かれているような気がしてならない。
舞台。客席。鬼はどっち?どっちも鬼、どっちも人、人は鬼。
それでも毎日は続いていき、そうして毎日を生きてく、舞台で、舞台と共に。
だから皆でまた劇場に集おう、そして燃えよう。

(今月中ごろに観た際のインスタでもすこし)

(以前の記事)

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これ書きながらなんか思いついてってか思い出して、続いてセットもしくはB面みたいなん書きました。

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大阪の物書き、
構成作家/ライター/コラム・エッセイ/
大衆芸能(旅芝居(大衆演劇)やストリップ)や大衆文化を追っています。
現在、lifeworkたる原稿企画2本を進め中。
演劇、古典芸能好き、からの、下町・大衆文化も好きです。
現在、女2人の酒場巡りを連載中。
現在第9回まで書かせていただいています。

なかなか呑みに行けない時代でしたが、第10回、まもなくアップ予定ですよ!!


そして、あたらしい連載「Home」。皆の大事な場所についての文章です。こちらもぼちぼち進めます。


ふだんはラジオ番組の構成などにも関わっています。
現在の主なものは、AMの懐メロリクエスト番組。(昭和1桁〜50年代歌謡)

旅芝居・大衆演劇関係では、各種ライティング業。
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