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【ロンドンへ行こう!】ナショナル・ポートレート・ギャラリー/英国君主の肖像画を鑑賞する

私は、博物館や美術館へ行くのが好きです。
イギリスに住んでいて良かったと思うことの一つは、歴史的建造物、芸術作品に気軽に触れられること。ナショナル・トラストやイングリッシュ・ヘリテージ、その他のチャリティー団体が管理運営するお屋敷やガーデンが沢山あります。この利点を生かして、私はイギリス国内にある歴史的建造物とガーデンを訪れるのが、楽しみのひとつになっています。

イギリスへ観光に来た時に、芸術作品に触れたければ、ロンドンにある無料の博物館、美術館がお勧め!

大英博物館、ヴィクトリア&アルバート博物館、自然史博物館。絵画が好きな方は、ナショナル・ギャラリー、ナショナル・ポートレート・ギャラリー、テート・ブリテン、テート・モダンへも足を運んでみてください。

最近は、観光客で賑わっているようなので、入り口で並びたくなければ、
大英博物館、
ナショナル・ポートレート・ギャラリー
ナショナル・ギャラリー
自然史博物館は、
予めネット予約してから行くのがお勧めです。(他の場所は予約できないみたい。)

今回は、ナショナル・ポートレート・ギャラリーについてご紹介します。(目次の部分をクリックすれば、好きな場所からご覧いただけます。)

最寄り駅は、地下鉄のチャーリング・クロスかレスター・スクエア。


ナショナル・ポートレート・ギャラリー

広くて美しいエントランスに改築されました。

ナショナル・ポートレート・ギャラリーは、地下鉄のチャーリング・クロスかレスター・スクエア駅からすぐ。しばらく改装工事のため閉まっていましたが、再オープン。以前とは違う入り口となり、広めの美しい正面玄関から入ります。

他の美術館に比べると小規模です。

この美術館は名前の通り、ポートレート(肖像画)を専門に扱う美術館。その中でも、イングランド、英国君主達の肖像画が多数。チューダー朝、スチュワート朝、ジョージ王朝、ヴィクトリア朝の素晴らしい肖像画が飾られています。時代別に部屋が分かれているので、観賞しやすい。しかも、どの絵画も一度は資料で見たことがあるような有名なものばかりです。

ここに飾られていたのか!

と、感慨ひとしお。今回の訪問の際にしみじみと鑑賞してきました。

館内のマップ


‐1 カフェ
0 正面入り口 特別展 ギフトショップ (日本では1階)
1 2000‐Today
2 1850‐2000
3 1300‐1850
4 レストラン トイレ

地上階から3階へは直通エスカレーター。階段、リフトもあり。

展示作品の目玉は、3階にある展示フロア【1300‐1850年】
ゆっくりと鑑賞すると2時間、速足なら30分ぐらいの広さ。

2階の展示フロア【1850‐2000年】は、写真技術が生まれてからの絵画が展示されています。こちらの方の王族は、ヴィクトリア女王とアルバート公だけで、主に著名人の肖像画が中心に飾られています。

フロアマップ⬇

https://www.npg.org.uk/visit/floor-plans/


チューダー朝の王族達

エリザベス1世の戴冠式。

ポートレート・ギャラリーの見どころは、チューダー朝の王族の肖像画。ヘンリー7世、ヘンリー8世とその妻達、エドワード6世、メアリー1世、エリザベス1世、スコットランド女王メアリー。さらに、エリザベス一世がお気に入りだった家臣達の肖像画もあります。

ヘンリー8世と1番目の妻キャサリン・オブ・アラゴン

歴史が好きな人だったら、一度に2度楽しめる構成になっています。

現在は、

特別展「The Six Lives:The Stories of Henry VII's Queens」
ヘンリー8世の6人の妻達

が、2024年9月8日まで開催中。


スチュワート朝

アン女王

別の部屋に行くと、スチュワート朝の王族の肖像画。どの絵画も巨大で有名なものばかりです。特に、映画「女王陛下のお気に入り」で知られるアン女王と女官サラ・ジェニングスの肖像画が並んで飾られているところが、イギリス人のユーモアというかセンスを感じます。

アン女王の幼少期からの友人で、のちに女官となるサラ・ジェ二ングス

宮廷内で個人的に女王に謁見できるのは、サラの腰についている鍵によって女王の居る部屋に通じる扉を開けてもらえる人だけだった。その特権を生かして、サラは夫のマールバラ公爵の地位、自らの政治的立場を確立していく。

天井の高い美しい部屋に巨大な肖像画が飾られています。


映画「女王陛下のお気に入り」

この映画では、アン女王が政治的に無能なイメージで描かれていますが、実際に彼女が女王として即位している間に成し遂げた政策は、イングランド、英国史に残る偉業とされています。エリザベス1世以来の単独での女王。(姉のメアリーは、メアリー2世として夫のウィリアム3世と共同統治した。)現在に至るまで、アン女王にはあまりよくないイメージがありますが、これを広めたのは宮廷を追放されたサラ・ジェニングスで、女王のスキャンダラスな悪評を本(現在なら暴露本)にして自費出版までしたと言われています。


王族だけではなくて、著名人の肖像画もあります。

サラ・ジェニングスの夫マールバラ公爵。スペイン継承戦争中にブレンハイムの戦いを指揮して勝利。その褒美としてアン女王から建設中だったブレナム宮殿を下賜(かし)された。それから現在まで、ブレナム宮殿は、ジョン・チャーチル(マールバラ公爵)の家系にによって受け継がれている。イギリス元首相のウィンストン・チャーチルは、祖父が住んでいたブレナム宮殿で生まれた。


別の展示室へ移ると、ジョージ王朝時代の肖像画。

ジョージ王朝時代

シャーロット王妃とジョージ3世

ジョージ3世とシャーロット王妃の肖像画が対になって展示。

これにも、感動。

近年、Netflixブリジャートン家の公開によって、世界中の若い世代の人達にもシャーロット王妃(クイーン・シャーロット)の名前が知られるようになりました。若かりし二人の明るい雰囲気が伝わってくる素晴らしい作品です。

ジョージ4世、ウィリアム4世とその妻達の肖像画もあります。

ジェーン・オースティンの肖像画

ジェーン・オースティンのファンであれば、彼女の肖像画も見逃せません。

バースのホルバーン美術館に特別展示されていた時に撮影(2019年9月)

ナショナル・ポートレート・ギャラリーには、ジェーン・オースティンの姉がスケッチした「ジェーン・オースティンの肖像画」が所蔵されています。残念ながら、今回私が行った時には展示されていませんでした。ナショナル・ポートレート・ギャラリーでの次の公開は、2024年12月から3カ月間の展示。その後は、オーストラリアでの特別展“Writers Revealed”に出展されるそうです。

私は、バースのホルバーン美術館での特別展示の時に実物を見ることが出来ました!

ジェーン・オースティンの小説が出版されたのは、ジョージ4世が父親の代わりに摂政王太子になった摂政(リージェンシー)時代。当時、皇太子だったジョージ4世もジェーンの作品の大ファンとして知られています。女性小説家としての彼女の躍進は、その後に続く女性作家への道を開きました。


2階にある肖像画【1850‐2000年】

このフロアには、写真技術が生まれてからの絵画が展示されています。こちらのフロアは現代アートに近いように感じました。

その中から、イギリスを代表する作家をご紹介します。

チャールズ・ディケンズ Daniel Maclise(1839)

チャールズ・ディケンズは、写真も残されていますが、この肖像画はディケンズが若かりし頃に友人の画家が描いたもの。

ブロンテ姉妹
彼女達の弟が描いた肖像画。なぜか、本人の顔の上には柱が描かれて消されていました。長年経過により油絵の下から、彼の肖像画が浮かび上がっています。この絵は、折りたたまれてアイルランドの農家の戸棚に保管されていたため、折り目がついています。


ロイヤル・ロッジで、お茶を楽しむ風景。(1950)
ジョージ6世、クイーンマザー、エリザベス2世、マーガレット王女

この絵の隣には、普段着でリラックスしている感じのダイアナ妃の肖像画がありました。

2階から1階【2000‐現在】へ通じる階段。


0階(日本の1階)には、レセプションとギフトショップ

中央エントランスホールの脇にあるギフトショップ。ヘンリー8世の妻達!

奥の方には、特別展への入り口と現代絵画の展示が少しだけあります。

チャールズ3世の肖像画。(2013年制作)


ウィリアム皇太子とキャサリン皇太子妃(2022年制作)

英国王室、絵画が好きな方は、ぜひ訪れてみてください!


オードリー(カフェ)で一息。

オードリー・ペップバーンにちなんだ名前かな。

地下一階にある入り口(以前はここが美術館の入り口だった所)からすぐ左手にカフェがあります。

金曜日の午後4時。

この日は空いていてのんびりできました。

オーストラリアのお菓子ラミントンが推しのお菓子のようです。
スコーンは、プレーンとフルーツが選べる。
外に見える木々も美しい。

この席を確保!

美術館や博物館は立ちっぱなしで歩くので、鑑賞後はぐったり・・なんてことが多い私。静かな場所でゆっくりと寛げるのは嬉しいです。


カフェモカを注文。小さめのグラスでかなり濃いコーヒーなので追加でミルクをいただきました。


【まとめ】

英国史を振り返りながら、歴代の王、女王の肖像画を見るのが楽しいです。女王が身にまとうドレスの豪華絢爛さには圧倒。大きな肖像画は、まずは遠くから鑑賞。それから近くに寄って宝石や装飾の緻密なタッチを眺めます。

エリザベス1世の肖像画。

こんな風に一度に英国君主、王妃の肖像画を楽しめることが出来るのは、ここだけではないでしょうか。歴史に名を残す著名人の肖像画も多数。建物自体も美しい。室内の中心に椅子がある部屋も多いので、座ってゆっくりと鑑賞することが出来ます。近くにあるナショナル・ギャラリーに行く前に、気軽に立ち寄ることも出来ます。英国史が好きな方には特におすすめの美術館です。


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ナショナル・ポートレート・ギャラリー付近のロンドン観光については、こちらの記事もどうぞ!⇩


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