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【保存版】パンプルーム The Pump Room 【バースのティールーム】

ロンドンから南西へ電車で1時間半。
美しいバース市街地の一部はユネスコ世界遺産に登録されている。

私はバースがとにかく好き。
街の美しさ、歴史、食べ物にまつわるお話など興味が尽きない。

先日、バースに旅行してきた。今回、必ず行こうと思っていた場所がある。
それは、バースアビーの目の前に位置するパンプルームというティールーム。何度か入り口まで行ったことはあるものの、いつも長い列で入れず残念に思っていた。今回は、1月のオフシーズン。さらに比較的静かな午前中に行くことにした。

パンプルームでは、午前中10時から11時半までブランチ(朝食)か、モーニング・ベーカリー(お茶とケーキのセット)のメニューがある。ちなみに午後はアフタヌーンティーのみ。人気なのでオンラインで予約して行くのをおすすめする。

https://thepumproombath.co.uk/



美しい室内でお茶を楽しむ

ピアノの生演奏をバックに素敵な時間を過ごしてきました!
ティールームの隣にある小部屋からの風景。ローマンバスもここからよく見えます。
かつては舞踏会も開かれた大広間は、広くて高い天井。


郷土菓子のバースバンが食べられる。

遅い朝食、ブランチを楽しむ方も。食事の後もゆっくりとお茶。

バースバンは、ジョージ王朝時代に裕福な家の朝食に好んで食べられていた柔らかいバンズ。今でもバースの郷土菓子として知られる。私は、バースに来たら「ザ・バースバン」というティールームでこのパンを食べていたのだが、パンプルームでも楽しめることが分かった。モーニング・ベーカリーでは、バースバンとシナモンバターのセットになっている。ウェイターの方に、

トーストしますか?

と、聞かれたので、どちらがおすすめですか?
と聞いたら、

こんな寒い朝にはトーストがよろしいかと思います。

と、言われたので、バースバンをトーストしてもらいました。

郷土菓子バースバン。

さて、お味は。
うん、これはおいしい!
今まで行っていたティールームでは、半分にスライスしたものがそのまま出てきて、クロテッドクリームとジャムを塗って食べていた。しかし、このようにトースト(たぶん内側部分をグリル)してから、シナモン風味のバターをたっぷりと塗って食べてもすごくおいしい。このバターはそのままでも十分おいしいのだろうが、それにしっかりとシナモンが加えられている。

ウェイターさん情報によると、このバースバンはここから近くにあるベーカリーで焼いてるものを仕入れている。昔風のバースバンを作るお店はとても少ないそうだ。中に角砂糖のような砂糖の塊が入っているのが特徴である。

チェダーチーズとチャイブのスコーン

チェダーチーズがたっぷり。

もう一つ、チェダースコーンにバターのセットもある。
こちらのスコーンは、このティールームのキッチンで手作りだそう。ホカホカしていて、塩味がしっかりきいていてバターをたっぷりと塗っていいただくとすごくおいしい。

どちらも紅茶かコーヒーのメニューから飲み物は選べる。
このほかに、お店のケーキを選ぶこともできるが、バースバンかスコーンをおすすめする。


鉱泉の水を飲んで療養する

Pump Room in 1798

1688年にアン女王(当時は王女)がバースに温泉療養のために訪れてから、鉱泉の湧くバースが注目されるようになる。ローマンバスでは入浴、パンプルームの大広間にある一角では、湧き出る鉱泉をポンプでくみ上げて飲むことができた。街の家からパンプルームまで美しい服を着た女性たちや体の弱い人達はセダンチェアと呼ばれる「椅子かご」に乗って行く。

No1ロイヤルクレッセント博物館に前に展示してあるセダンチェア。家の中にまで入れるので、必要であればベットルームからローマンバス、パンプルームまで移動することができた。温泉の保養地だったバースでは人気のある乗り物だった。*¹


パンプルーム(The Pump Room)とは

現在のパンプルームは、レストラン、ティールームになっている。

1705年 ウィリアム・オリバー医師がバース鉱泉を飲むための施設を作ることを提案。翌年に1階建ての建物が建てられる。
1751年 増築
1793‐99年 Thomas Baldwinにより外装の改築がはじまる。John Palmerが引き継いで内装を完成。現在の形となる。

今でも、くみ上げられる鉱泉を飲むことができる。


ウィリアム・オリバー医師の功績

市街地にあるRoyal Mineral Water Hospital(現在は移転し建物は工事中)

医師、慈善家であったウィリアム・オリバー医師は、バースの市街地にミネラルウォーター・ホスピタル(The Bath General Hospital 1742設立)の創設者のひとり。彼は、患者のために薄いクラッカーのような食べ物バース・オリバー・ビスケットを発案した。バースバンも発案したともいわれているが、その真相は明らかでない。とにかくバースには病院(リハビリ施設)とパンプルームが建設された。

この病院には主に、戦場でけがをした人や周りの人から支援をうけて療養を勧められてきた貧しい人が滞在した。入院してからは、その費用は病院側で負担する。そのかわり、街の中を歩くときには入院患者であるというバッジを身に着けていた。市内の酒屋では、この者たちにアルコール飲料(健康を害するもの)を販売することは禁じられていた。一日の決まった時間になるとパンプルームまで行き、鉱泉を飲んで体の治癒を試みた。

英国においてホスピタルというのは、今日とは少し意味が違い、貧困に苦しむ人たちの救済施設、さらに時代をさかのぼると巡礼者の宿泊施設、若者に教育を施す場として存在していた。


ジェーン・オースティンの物語にも登場

ジェーンオースティン未完の作品「サディントン」にもリゾート地が架空の海水リゾート地が登場

ジョージ王朝時代、リージェンシーの時代。
この頃になると、バースで入浴したり、鉱泉を飲んで療養するよりも、ライムリージス、ボグナーリージス、ブライトンなど海辺の町へ行き海風にあたり、海水浴をすることが流行し始める。しかし、バースには社交界の街として多くの人々がシーズン中に訪れるようになった。昼間のパンプルームには社交のために人々が訪れ、この大広間でおしゃべりしたり、時にはみんなで丸く行進しながら楽しく会話を楽しんだ。ジェーン・オースティン「ノーザンガー・アビー」「説得」には、パンプルームで社交する人々の様子が描かれている。そして夜になると、美しい大広間で舞踏会も開かれた。当時、社交界で華やぐバースには、シーズンになるとたくさんの人々が滞在。年頃の娘がいる家庭では、舞踏会に行き良縁の結婚相手を探すのだ。
この頃にはバースバンとサリーランは、裕福な家庭の朝食用のパンとして人気となる。もちろんお茶の時間に楽しむこともあっただろう。ジェーン・オースティンが姉に書いた手紙の中にもバースバンの記述が残されている。

英国内で唯一鉱泉の湧く街、バースのお話はいかがだったでしょうか?
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参照:
https://thepumproombath.co.uk/

http://bath-heritage.co.uk/pump_room.html

http://bath-heritage.co.uk/oliver.html



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