【日本シリーズ2021】我がヤクルト、4勝2敗で6回目の日本一に輝く!【最高のシリーズ】
すごい試合だった。そして、すごいシリーズだった。
2021年の日本シリーズは、第6戦までもつれこんだ末、我がヤクルトが4勝2敗でオリックスを下し、通算6回目の日本一に輝いた。
まず、ベースボールチャンネルの速報から紹介したい。
【結果速報】ヤクルト、延長戦制し20年ぶり6度目の日本一! 代打・川端慎吾が殊勲打、セでは1<SMBC日本シリーズ2021第6戦 ○ヤクルト 2-1 オリックス●>(27日、ほっと神戸)
オリックス・バファローズと東京ヤクルトスワローズによる「SMBC日本シリーズ2021」第6戦(4戦先勝)が27日、ほっともっとフィールド神戸で行われ、延長12回の末にヤクルトが2-1で勝利。対戦成績4勝2敗で20年ぶり6度目の日本一を達成した。
オリックスは絶対的エース・山本由伸、ヤクルトは高梨裕稔の両先発で試合開始。山本は、圧巻の立ち上がり。3、4回は先制のピンチを背負ったが、要所で三振を奪い、無失点で抑えた。対する高梨は1、2回と得点圏に走者を置かれるも、得点は許さない。
試合が動いたのは5回、先頭の7番ホセ・オスナが中安で出塁。続く宮本丈の犠打で得点圏に走者を進めると、1つアウトを重ねたが、1番・塩見泰隆が三遊間を破るタイムリーヒット。沢村賞投手から貴重な先制点を奪った。
しかし、オリックスもすぐさま反撃に転じる。直後の5回裏、1死から8番・若月健矢が二安で出塁。続く太田椋は犠打で送り、1番・福田周平の三塁の頭を越える安打で二塁走者・若月が生還。試合を振り出しに戻した。
その後はオリックス・山本が抜群の安定感を発揮。クリーンアップと対峙した8回を三者三振で仕留めると、9回も続投し、三者凡退で打ち取った。対するヤクルトも5回途中からマウンドの2番手アルバート・スアレスが好投。8、9回はセットアッパーの清水昇がピンチを背負うも無失点で抑え、同点で試合は今シリーズ初の延長戦に突入した
1-1のまま迎えた延長12回、ヤクルトは2死から1番・塩見泰隆が三遊間を破る安打で出塁。続く代打・川端慎吾の打席でパスボールにより走者が二塁へ進むと、川端はフルカウントからショートの頭を越えるタイムリーヒット。土壇場でヤクルトが勝ち越しに成功した。
ヤクルトは、日本一のかかった12回裏も10回途中からマウンドの守護神スコット・マクガフが続投。走者は出したものの最後も無失点で締め、大熱戦の続いたシリーズに終止符を打った。2年巨人以来の頂点
https://news.yahoo.co.jp/articles/fd723cd87b121fb1f4659979a553d3e687bf0760
●戦前の予想ではオリックス有利という声が大きかった●
共に、シーズン最終盤まで優勝争いを展開し、クライマックスシリーズもファイナルステージを2勝1分で勝ち上がる、という似たような展開で顔を揃えたものの、世間の予想は山本由伸に宮城という今季パ・リーグを代表する先発投手を擁するオリックスが勝つ、という声が大きかった。特に15連勝を飾り、沢村賞にも選出された山本を、いかに打線好調とはいえヤクルトは打ち崩せないと見られていた。
しかし、シリーズが始まれば山本から大量点を奪う必要はなかった。第1戦の先発マウンドに立った奥川も、オリックス打線を封じ込める好投を見せて、接戦に持ち込むことができた。そう、点をとられなければ負けることはない、いくつかあったヤクルトの戦術には、この思考が脈づいていたのだ。
●第5戦までを振り返る●
第2戦までについては既に過去記事でまとめているので、恐縮だがそちらをご覧いただければと思う。
【日本シリーズ2021】第2戦を終えて思った「1992年の再現じゃね?」【最高のシリーズ】
https://note.com/momo19992000/n/ncb4d212f1538
第3戦はヤクルトが小川、オリックスは田嶋を先発マウンドに送って始まった。両軍エラーで失点するという予想外の展開から、逆転に次ぐ逆転のシーソーゲームになった末、7回裏にサンタナがライトへ逆転2ランを放ってヤクルトが5-4とし、このリードをブルペン陣が死守してそのまま勝利した。
第4戦はヤクルトが41歳のベテラン左腕石川に先発マウントを託し、オリックスは山崎(颯)を立てた。乱打戦になるという予想もあったが、始まってみれば両先発が試合を作り、2回裏にサンタナが2試合連発となるソロ本塁打をまたライトへ放てば、オリックスも6回に1点を挙げる、という先発陣が踏ん張りを見せる形になって、1点を争う接戦となった。
しかしその裏、ヤクルトがオスナのライト前タイムリーで決勝点を挙げ、再びこのリードを石山、清水、マクガフのリレーで守り切り、2-1でヤクルトが勝って日本一に王手をかけた。
第5戦はオリックスが山崎(福)を、ヤクルトは原を先発させて始まったが、6回までは2-2とまたまた接戦で進みながら、7回、8回にオリックスがタイムリーで計3点を挙げ、ここで勝負あったかに思われた。しかし、8回裏に山田が同点3ランを放って試合が振り出しに戻って迎えた9回表、代打に立ったジョーンズがヤクルトの守護神マクガフが投げた高めのストレートをとらえて本塁打、これが決勝点となってオリックスが6-5で勝利している。
そして迎えた第6戦は、場所をほっともっと神戸へ移して行われた。
●寒空の中、試合は延長12回へ●
第5戦まではドーム球場だったのでまだよかったが、第6戦へもつれ込んだことで、予定通り最後の2試合はほっともっと神戸での屋外開催となった。
ここまでくると、もちろんヤクルトには勝って欲しい気持ちは強かったものの、寒さから怪我をしないでくれ、と選手たちの身の安全を願う気持ちの方が大きくなっていた。
試合はヤクルトが高梨、オリックスは第1戦に続くシリーズ2試合目の登場になる山本由伸が先発して始まった。
5回表にヤクルトが塩見のタイムリーで先制すると、その裏にオリックスも1点を返して同点とし、ここからまた両軍が0行進となるしびれる展開になった。
ヤクルトは4回1死で高梨を諦めた後は、スアレス、清水、田口とつなぎ、10回2死からマクガフを回またぎで起用する背水の陣を敷く。
オリックスも山本由伸に9回を投げ切らせた後は、平野、能見、比嘉、富山、吉田(凌)と小刻みな継投で打線の奮起を待つ形になった。
迎えた12回表、ヤクルトは塩見のヒットとパスボールで2死2塁とした後、代打川端がレフト前にポトリと落とすヒットを放って塩見が生還、この1点のリードをマクガフが守り切って勝利している。
●シリーズMVPは中村●
毎試合ヒーローが違う状況で6試合が進んだ為、MVPは誰が選ばれるのかに注目が集まっていた。やはり第2戦でプロ初完投を完封で飾った高橋か?それとも2本塁打を放っている村上もしくはサンタナか?など諸説が入り乱れる事態となったが、結局6試合全てにフル出場し、好リードで高橋の完封勝利を演出しただけでなく、第3戦では2点タイムリーヒットを放つなど打撃でも打率.317をマークした中村が選ばれた。
また敢闘選手賞はオリックスの山本由伸、優秀選手賞はヤクルトの高橋とサンタナ、オリックスの杉本となっている。
●長い1年だった●
考えてみれば、今年のNPBは開幕が3月で143試合の長丁場だった。しかも途中で東京五輪があり、その間を休止してエキシビジョンマッチを各球団12試合ずつ開催するということで、ヤクルトと激しい首位争いをしていた9月の時点で、阪神の矢野監督が「今年は長いですね」と弱音を吐いたほどだった。
コロナ入場者数に制限を置き、なおかつ延長戦は行わず全試合9回で打ち切り、各リーグの順位を勝率で決めるという変則的なルールで進めてきたとはいえ、それでも見ているファンの側にとっても長い長い1年だったと言っていい。
そんな中、ヤクルトは選手たち、特にブルペンの疲弊を考慮して、3連投以上は投げさせず、起用法を固定はしながらも、例えその試合を落とすことになろうが休ませるべき投手を休ませて、登板間隔の開いた投手を代替起用して急場を乗り切る、というスタイルを徹底していた。これが奏功し、今季72試合に投げた清水は、50ホールドを挙げながら故障を発症せず、今日の第6戦にも元気にマウンドへ立っていた。
考えてみれば、毎年必ずチームを悩ませてきた故障者も、今季は近藤が登板中に右肩を肉離れして離脱しただけで、入国規制で合流が遅れたオスナ、サンタナ、サイスニードが加わった後は、ベンチが固定できたと言っていい。実は、選手たちが健康だったことが、日本一奪取への最大の理由だったように思われる。
開幕直後に西田がコロナに感染し、青木と内川が濃厚接触者と判断されて一時チームを離れたこともあったが、その苦しかった時期も残る全員が一丸となって克服できた点も大きかった。
●奥川、高橋、金久保を育てたあげた手腕●
ヤクルトと言えば打線こそセ・リーグ有数の強力な陣容と言われながら、常に投手力、特に先発陣の脆弱さを指摘されてきた。逸材を2軍に何人も抱えながら、リーグを代表する投手を排出できない理由は育成力の弱さだ、という声もあった。だが、高津政権になってからは根本の部分からその弱点を見つめ直している。特に中10日での登板を崩さなかった奥川がシーズン9勝を挙げて、終盤は次世代エースの名を欲しいままにした事は象徴的だった。同様にここ数年伸び悩んでいた高橋も、休養と調整をしっかりとらせてマウンドへ上げる手法を貫き、日本シリーズでは完封劇を演じるまでになっている。またシーズン序盤に投げればチームへ白星をもたらせていた金久保も、打球の直撃を受けた後も焦らず調整を続けさせた結果、シリーズでもロングリリーフ要員として不可欠な存在としている。
こうした、高津監督が投手出身であるからこその無理をさせない起用は、先発投手が余るという副産物をチームにもらたし、巨人からローテ投手としてトレードで獲得した田口を左のワンポイントで起用するなど、これまでになかった新しいヤクルト投手陣の構築にも成功している。
●高津マジック●
終盤戦を迎えるにあたり、チーム全員ミーティングの中で優勝を目指してナインを鼓舞した「絶対、大丈夫」が有名になったが、現役時代から高津監督は言葉が与える影響をよくわかっていた人だという印象が強い。当然、ブルペンで多くの時間を過ごしていた選手時代も含め、野手陣と行動を共にすることは少なかったはずだが、監督になってからは意識して青木や山田にも声をかけ、日々連携を強めていたと言われている。また気配りの人として有名な宮出をコーチに置き、自分が回りきれない部分のフォローをさせるなど、常に選手ファーストで2年間最下位に沈んだヤクルトの復興を「声掛け」から果たそうとし、それが今日の日本一につながったと言っていい。
●2021年で忘れられない試合●
最後に、日本シリーズも勝ち進んだヤクルトがその歩みを始めたと感じた試合を取り上げておきたい。
それは神宮で行われた4月25日の対中日戦だ。来日が遅れた新外国人選手たちが、戸田での調整を終えて1軍に合流したまさにその日、9回表に京田に本塁打を浴びて1-2となったその裏の2死に、オスナが中日守護神のマルティネスから右中間へ逆転サヨナラ2点タイムリーを放った。あの一打で、オスナが早速チームの一員になれたというだけでなく、全員で喜ぶヤクルトベンチの雰囲気を実感しているように見えたのだ。
以降、本塁打を放ってベンチへ帰ってくると、両手でハートマークを作って家族にメッセージを送り、凡ゴロでも諦めずに全力疾走、守備でも泥だらけになろうが横っ飛びでボールを止めにいく姿勢、ヒットで塁に立てば両腕をワイパーのように降ってベンチへ「やったぞ!皆も続け!」と鼓舞する姿、どれもヤクルト躍進の原動力になっていったような気がする。真面目なサンタナも、今でもはオスナと一緒に飛び上がって喜ぶほど、楽しい男に変貌している。
サイン盗み疑惑やバンテリンドームでの誤審騒ぎと、ヤクルトが一丸となったきっかけは他にも指摘されているが、おいらは全てが始まった試合こそあのサヨナラ打だと思っている。
●日本一、おめでとう!●
1978年はもちろん、93年、95年、97年、2001年とヤクルトの日本一はどれもこの目にしてきたが、2021年は格別だと言っていい。全員がチームの為に戦う姿は、去年まで無敵を謳われていたソフトバンクにさえなかったものだった。2Sを挙げながら2敗を喫したマクガフが、第6戦の12回も俺が行く、と準備をしていた石山を制したと聞き、本当にいいチームに仕上がっているんだな、と感じた。
改めて、ものすごい日本シリーズをありがとう、おいらは日本一の感動を一緒に分かち合えて幸腹を感じている。本当に、素晴らしい1年だったよ。
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