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「 日焼けした本に挟んでいたモノ 」

いつも笑顔でニコニコして
気が付くと中を覗いて
悪気もなく健気に笑って

無邪気さというナイフを
振り回していることに気づかずに
気づけば足元には踏まれた

おなかが減ったとハニカム笑顔
にうつる夕日が
忘れることを ブロック して
黄昏時に思い出す

夢中になって分解した機械たちは、
元通りにあるものもあれば
もう二度と戻らないものもあった

罪悪感などあるはずもなく
不燃物の袋につめて
その日が来たら忘れてしまう

その日が来たら
また新しいものを見つけては
壊れるまで使って
また分解して捨てていく

これは学びだと教え込まれ
これはいいことだと刷り込まれ
いくつになっても
その無邪気な笑顔で
ネジを回す

ネジが外れていることに
気づかないまま
修復したブロックのレゴの腕は
回したときに外れてしまった

猫を飼っているのか
猫に飼わされているのか
わからないまま今日も
無邪気に真っ黒な目で
ネジを回す

をたくさん読んだけれど
わからなかった」

近くでよく観察したけれど
わからなかった」

分解してみたけれど
わからなかった」

自信満々な男の子の言うとおりにしてみた

でカニを捕まえて分解してみた
んぼでヤゴを捕まえて標本にした

自信満々な彼に初めて憧れというものを持った
私もそうなれると思った

楽しかった

でも、それから

笑顔が少し歪んでいたことには気づけなかった。


気が付くと一緒になって


壊してはいけないものを壊していた。


積み木を「憧れ」に切り抜いて
少しでも猫の遊び道具になればなんて考えて、

いつのまにか時が過ぎて
流れてはいった、

けれど

あの時に忘れ物をしたまま
はにかんでいる自分

無邪気にけったくなく
はにかんでいる自分

日焼けした本に挟んでいたおもちゃの落書きが
鎖になって、ずっと私を繋いでる

夕日を見るたび思い出すのは
裸足で虫を踏んで笑っていたあの頃。

大人にはなれなかった。
深夜の高速の流れる景色に今の私がいた。
楽しさは消えていた。
街の夜景は面倒くさそうに

「奇麗だろ?」


と話しかけているように

影 を背負った

今の私を無邪気に笑っていた。

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時が過ぎた。というより
時間を掛けなければならなかった。

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