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藤井風「帰ろう」に込められた意味を検証 その②

https://www.youtube.com/watch?v=goU1Ei8I8uk

 今回は、前回書かせていただいた、藤井風「帰ろう」に込められた意味を検証その①の続きを綴っていこうと思います。検証と言いましても、私一個人のオピニオンといいますか、感想となっておりますのでご了承下さい。しかし、曲というのは、観測者がいて、それを観測した観測者と曲がどのように共鳴し、効果が作用したかということに意味があり、そこに曲の存在意義があります。したがって、あなたがあたた自身で感じる「帰ろう」と比較して、わかるわかる!や、ちょっと違うなぁなどなど色々感じて楽しんでもらえたら幸いです。

③死と生

この曲から、多くの皆さんが感じられる感覚、それは、死と生についてではないでしょうか。

5時という黄昏時。
それは、死と生の境目であるとも言われています。


あなたは夕日に溶けて
わたしは夜明に消えて
もう二度と 交わらないのなら
それが運命だね

帰ろうOfficial Videoより

再び朝を迎える人と
もう朝を迎えない人

共に歩みを揃えてこようともそれぞれの人生の分岐点にたどり着けば、そこで"バイバイ"、お別れです。
別々の道に進み、もう二度と交わらないとしても、運命というシナリオは変えることはできず、それぞれに歩みを進めていかなければなりません。

一期一会
長い人生の間のそれぞれの分岐点では、生きているからこそ交わって離れてを繰り返すことができる。でも、生と死の境目を跨げば、この次元で、今の姿で再び交わることはなくなってしまいます。

それじゃ それじゃ またね
少年の瞳は汚れ
5時の鐘は鳴り響けど もう聞こえない

帰ろうOfficial Videoより


5時のチャイム(夕焼け小焼け)でバイバイする少年は、家に帰ります。いつもの日常にいつも通りに帰っていきます。
しかし、当たり前の日常を離れた少年には、その鐘の音はもう聞こえません。帰る場所は今までの日常にある暖かい家ではなくなります。今度は、色んなものを手放して、0地点に帰っていきます。

死というものを迎えれば、身体は朽ち果ててなくなっていきます。でも、意識というものはどうなのでしょうか。
人生にちりばめらていた様々な要素から生まれた様々な感情や想い。その一つ一つ拾い集めながら生きてきた人間は、今度は、一つ一つ手放していかなければ、あちらの世にはいけないのかもしれません。

それじゃ それじゃ まるで
全部 終わったみたいだね
大間違い 先は長い 忘れないから

帰ろうOfficial Video より


走馬灯
死というものを覚悟した瞬間、自分の歩んできた人生をまるで映画を見るように一瞬で振り返ります。そのときに、人は、どう思うのでしょうか。

ああ、そうだったんだね。ごめんね。
もういいよ。さよなら。
ありがとう。

絶対に許せないと思っていたことも、客観視してみると、なんでもないちっぽけな出来事や些細なすれ違いから生じたものだったのだと実感することもあります。そうやって場面場面を振り返って一つ一つ紐解いていく作業を行うために、人は走馬灯を見るのではないでしょうか。

ああ 全て忘れて帰ろう
ああ 全て流して帰ろう
あの傷は疼けど この渇き癒えねど
もうどうでもいいの 吹き飛ばそう

帰ろうOfficial Video より


色んな場面場面で、色んな思いを手放して、赤ちゃんの時のように真っさらな自分に戻っていく。サビ部分からは、そんな開放感を感じ、心が軽くなります。

わたしのいない世界を
上から眺めていても
何一つ 変わらず回るから
少し背中が軽くなった

帰ろうOfficial Video より


自分が人と支え合って生きてきた実社会。
自分がいなくても、もう大丈夫だと、安心した瞬間に、最後の意識の欠けらがフワって空に舞い上がっていく🎈。この歌詞から、そんなイメージが湧いてきます。

あぁ今日からどう生きてこう

帰ろうOfficial Video 


死生観
死後の世界とは未知の世界です。人生2000年とするならばまたこの世に生まれ変わり、多次元説とするならば今度は違う世界に生をなします。
人が死を迎え、新しい日を再び迎えたるとするならば、今度はどんな人生を歩もうかと、またその一歩を踏み出すことになりますね。

また、ひとまとまりに日常といっても、朝太陽は生まれ、夕日となって死んでいき、再び新しい朝が生まれます。どんな辛いことを抱えていても、明日になればまた新しい太陽が地球をてらし、新しい朝がやってきます。”今日からどう生きていこう”って1日1日を新鮮な気持ちで迎えられたら素敵ですね。

去り際の時に 何が持っていけるの
一つ一つ 荷物 手放そう

帰ろうOfficial Video より


そしてまた、物質的な執着も全部全部手放さなければなりません。人は裸で生まれ、裸で死にゆくもの。そう考えると、今生きているこの瞬間にもそんな執着は不要なのではないかと考えさせられます。


今回は、③について解説しました。続きはまた次回。

新しい朝を迎えるフレッシュな気持ちで、今日という1日を生きていきましょう🍋!

藤井風「帰ろう」に込められた意味を検証 その③はこちら


歌詞

あなたは夕日に溶けて
わたしは夜明に消えて
もう二度と 交わらないのなら
それが運命だね

あなたは灯ともして
わたしは光もとめて
怖くはない 失うものなどない
最初から何も持ってない

それじゃ それじゃ またね
少年の瞳は汚れ
5時の鐘は鳴り響けど もう聞こえない
それじゃ それじゃ まるで
全部 終わったみたいだね
大間違い 先は長い 忘れないから

ああ 全て忘れて帰ろう
ああ 全て流して帰ろう
あの傷は疼けど この渇き癒えねど
もうどうでもいいの 吹き飛ばそう
さわやかな風と帰ろう
やさしく降る雨と帰ろう
憎みあいの果てに何が生まれるの
わたし わたしが先に 忘れよう

あなたは弱音を吐いて
わたしは未練こぼして
最後くらい 神様でいさせて
だって これじゃ人間だ

わたしのいない世界を
上から眺めていても
何一つ 変わらず回るから
少し背中が軽くなった

それじゃ それじゃ またね
国道沿い前で別れ
続く町の喧騒 後目に一人行く
ください ください ばっかで
何も あげられなかったね
生きてきた 意味なんか 分からないまま

ああ 全て与えて帰ろう
ああ 何も持たずに帰ろう
与えられるものこそ 与えられたもの
ありがとう って胸をはろう
待ってるからさ もう帰ろう
幸せ絶えぬ場所 帰ろう
去り際の時に 何が持っていけるの
一つ一つ 荷物 手放そう
憎み合いの果てに何が生まれるの
わたし わたしが先に 忘れよう

あぁ今日からどう生きてこう

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