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藤井風「帰ろう」 込められた意味を検証 その①



皆さんは、藤井風さんの「帰ろう」という曲を聴いたことはありますか?とても感動するいい曲なのですが、ただシンプルにいい曲と聴き流せない、とても考えさせられる、でも聴いていて心地の良い、なんだかとても不思議な曲です。どことなく懐かしさを感じるのですが、色んな感情が湧き上がっては混ざり合い、打ち消し合い、統合していくような。一言では言い表せないのですが、人が人生を歩みながら感じていった感情を一つ一つ思い起こさせ、噛み砕くように解釈させようとしてくれているような、でも答えは自分で探しなさいと課題を与えてくれているような、とても複雑なメッセージが込められている深い曲です。

そこで、今回は、藤井風さんの「帰ろう」を私なりの解釈で解説していきたいと思います。最初に、この曲を聴いて湧き出る感情の一つ一つを歌詞に当てはめて解説し、最後に、どんな壮大なメッセージが込められているのかを紐解いていきたいと思います。それでは、まずは藤井風さんの「帰ろう」をお聴きください。

まず、私がこの曲を聴いて感じる感情は、以下の通りです。

①懐かしさ
②その懐かしさを手放す切なさ
③死と生
④人間関係の蟠りとその発展から巻き起こる戦争と平和
⑤新しい自分・時代を迎える準備をしなければならないという意識付け
⑥汚くて弱い自分と自分の中の神様

①懐かしさ。

それじゃ それじゃ またね
少年の瞳は汚れ
5時の鐘は鳴り響けど もう聞こえない
それじゃ それじゃ まるで
全部 終わったみたいだね
大間違い 先は長い 忘れないから

帰ろうOfficial Video より


学校から帰ってきて、公園に行って、友達と遊んで、5時のチャイム(夕焼け小焼け)で「それじゃまたね」と言ってバイバイする。

誰もが子供時代に経験した日常なのではないでしょうか。

この歌のリズムや伴奏なども、どことなく懐かしさを感じるのですが、このフレーズでは、子供の頃のあの感覚が蘇ります。あの自由に思いっきり遊んだ記憶、5時のチャイムが鳴った時の、まだ遊びたいけどもう帰らなきゃというあの思い。

あの頃は、こんな生活がずっとずっと続いていくものだと思っていました。今考えると、子供の頃のそんな時間なんて、人生のうちのほんの一瞬に過ぎませんが。

あの日のあの当たり前だった日々。

この曲を聴くと、そんな感情が蘇ります。
懐かしさという形で。

②その懐かしさを手放す切なさ

あなたは灯ともして
わたしは光もとめて
怖くはない 失うものなどない
最初から何も持ってない

帰ろうOfficial Videoより

私は、最近、慣れ親しんできた日常を変えなければならない出来事に遭遇し、新しい日常を送っています。そのときに強く感じたのが、今まで当たり前に思ってきた日常への愛しさ。その愛しさから、当たり前だった日常を手放す切なさをとても強く強く感じさせられました。

学校を卒業する
引越しをして新しい土地に住む
仕事を辞める
恋人や夫婦が別れる
親愛の人を亡くす

人は、生きていく中でいろんな状況において、慣れ親しんだ日常を手放す日がやってきます。

そんな分岐点において感じる感情が、この曲を聴くと湧き上がってきます。
切なさという形で。

今回は、①と②についてお話ししました。
また次回、この続きをお話ししますね。
それでは良い休日を。

藤井風「帰ろう」込められた意味を検証その②はこちらから
藤井風「帰ろう」に込められた意味を検証その③はこちら💁‍♀️


歌詞

あなたは夕日に溶けて
わたしは夜明に消えて
もう二度と 交わらないのなら
それが運命だね

あなたは灯ともして
わたしは光もとめて
怖くはない 失うものなどない
最初から何も持ってない

それじゃ それじゃ またね
少年の瞳は汚れ
5時の鐘は鳴り響けど もう聞こえない
それじゃ それじゃ まるで
全部 終わったみたいだね
大間違い 先は長い 忘れないから

ああ 全て忘れて帰ろう
ああ 全て流して帰ろう
あの傷は疼けど この渇き癒えねど
もうどうでもいいの 吹き飛ばそう
さわやかな風と帰ろう
やさしく降る雨と帰ろう
憎みあいの果てに何が生まれるの
わたし わたしが先に 忘れよう

あなたは弱音を吐いて
わたしは未練こぼして
最後くらい 神様でいさせて
だって これじゃ人間だ

わたしのいない世界を
上から眺めていても
何一つ 変わらず回るから
少し背中が軽くなった

それじゃ それじゃ またね
国道沿い前で別れ
続く町の喧騒 後目に一人行く
ください ください ばっかで
何も あげられなかったね
生きてきた 意味なんか 分からないまま

ああ 全て与えて帰ろう
ああ 何も持たずに帰ろう
与えられるものこそ 与えられたもの
ありがとう って胸をはろう
待ってるからさ もう帰ろう
幸せ絶えぬ場所 帰ろう
去り際の時に 何が持っていけるの
一つ一つ 荷物 手放そう
憎み合いの果てに何が生まれるの
わたし わたしが先に 忘れよう

あぁ今日からどう生きてこう

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