新しいお友達。

コロナウイルス

これが壊したものはとても大きいです。

彼女とのディズニーデート。あのアーティストのコンサート。鍛え上げたシックスパック。人の命まで。

小さなものから大きなものまで壊してきたコロナウイルスですが、ひとつ新しいものを僕に与えてくれました。

それはお友達です。

プロフィールに書いてあるとおり僕はしがない留学生です。今でも日本に帰ることなく、アメリカの田舎町でステイしています。アメリカ人の友達も少し遠くに住んでいてなかなか会えず、留学生の友達もみんな母国へ帰ってしまいました。

そんな中、僕にできた新しい友達は、
「カフェのおばちゃんです」

カフェのおばちゃんと言っても、日本でよく見るようなカフェではありません。アメリカにはコーヒースタンドと言って、小さな小屋のような建物で、テイクアウト専用のコーヒー屋さんがあるのです。

外出自粛の影響で家族はもちろん友達とも圧倒的孤立を強いられた僕は、寂しかったのです。しかもとっても。
そんな中、こんな僕に唯一話しかけてくれた存在、それはカフェのおばちゃんだったのです。

柔らかい笑顔に、優しい声。それとは裏腹にビターなコーヒーを入れてくるおばちゃんは。僕の寂しさを拭ってくれる唯一の存在でした。

それからというもの、午後２時には閉まってしまうそのコーヒースタンドに、月から金まで毎日通った僕でした。

いきなりの休日や、世紀の大寝坊をかました日には、おばちゃんと話すことができない1日に、涙ぐむこともありました。

僕は今いる街を年末に飛び出し、カリフォルニアへ引っ越す予定です。きっとおばちゃんには今までの感謝を込め、$100のチップを入れようと思います。あたかもディズニーチケットをサプライズで渡す彼氏の如く。ドヤ顔で。

コーヒーはブラック派。なんなら毎回ワンショット追加してます。